未来国家建国記

ノベルバユーザー226196

005



「もう、わがまま過ぎんでしょ。いいわよ。その代わり帰ったら速攻で医療カプセルに入ってもらうから。」


医療カプセルとは医者の足りない今の時代、それを補うために作られた液体の入った全身を付けて治す型の医療器具だ。


例えば今の良の腕のように焼けただれた物なら3時間ほど浸かっておけば完全に完治する。むしろ傷跡も残らない。


その代わり激痛を伴うものが多く時間がある時は入りたがる人は少ない。


「げぇ、マジかよ。」


良が頬を引き攣らせながら笑う。ハズナもそれを見て苦笑しながら拳を構える。


『後1km、まだ、まだ、今!飛んで!!!』


リーシャの合図と共に上に飛び上がると先ほどと同じように蟷螂が地面に鎌を突き立て羽を広げながらと先程いた地面にいる。


良はそのまま後に飛び、ハズナは落下速度を利用して突きを繰り出すが鎌に阻まれて本体には全く届かなかった。


ハズナは小さく舌打ちをすると蟷螂を蹴って後に下がる。蟷螂も追撃はせずにゆっくりと距離をとる。蟷螂も五体満足とはいかず足が1本取れており、他にも大きな傷がところどころある。


「ハズナ、傷口を狙え、あそこなら簡単に拳がはいる。」


良がハズナに言うとハズナは静かに頷く。ハズナと良がアイコンタクトで左右に展開し、蟷螂の横に回ろうとすると蟷螂はどんどん後ろに下がって行く。

リーシャはここで蟷螂が横からの攻撃への異様な警戒心から弱点を三箇所に絞り込む。


『ハズナ、良、予想は当たり、たぶん横への高速移動は無理みたい。それと、早くしないと傷口が塞がり始めちゃうと思う。小さい傷口が無いのはたぶんもう塞がったからで。』


そこでリーシャはグッと拳を握る。今日はいつも以上に探知能力ソナーが、使いづらくジリジリと砂嵐のようにたまになるため頭が痛くなる。


「そうこうしているうちに回復始まったぞ!」


良の焦った声がリーシャの思考を戦場へと呼び戻しジリジリとなる探知能力ソナーに頭を切り替える


『仕方ない!一か八かで突っ込もう!』


そうリーシャが言った瞬間にハズナと良が左右から突っ込む。良は少し頭の方へと行き、関節部分を撃ちにかかる。


「はぁ!!!」


覇気が篭った声とともにハズナが拳を振り下ろすが蟷螂は高速でまっすぐと進み拳から逃れてしまう。


ハズナの拳は地面に突き刺さりバン!と音を立てて地面がえぐれる。ハズナの能力である音振操作能力フォノンキネシスを拳に纏わせ超音波振動で地面を割ったのだ。


蟷螂は顔だけをこちらに向ける。ハズナと良にはニヤリと笑ったように見えて昆虫が笑うはずないと分かっていながら気味が悪くなりブルりと震える。


その時間だけでも蟷螂の自己再生は随分と進み深い傷は無くなり足ももうすぐで生え揃う。


「え〜、ちょっと治んの早くないー?」

「ほんと、その能力欲しいぐらいよ」


蟷螂の再生の速さを目の当たりにした2人は今にも苦笑してそうな声を出しながらも目は全く笑っておらずランランと輝いている。


リーシャは離れたところからその経過を目の当たりにして登っている幹を思いっきり握りしめて、その整っている眉を寄せる。


おかしい、おかしすぎる。もしここまで再生が速いなら北西に向かってこっちに来ている時には治ってないとおかしい。なのになんで。


しかもハズナの拳を受け止めて何ともない鎌なんて、少しはヒビが入るとか足が地面に埋まるとかはあるはずなのに何もならなかった。


しかも移動速度も直線だけという制限があっても秘宝級アーティファクトの第六位にしては早すぎる。 


もしかして、ほんとにもしかすると。。。


そこまで脳が情報処理をしてリーシャは急いで信号を送ろうとするがその前に良から送られてきた信号の方が早かった。


その信号が送られてくると同時に2人が蟷螂に突っ込む姿がリーシャの目にはいる。


「ま、って!!」


信号で送ることを無意識に忘れてしまい普通にその場で叫ぶが当然聞こえるはずもなく2人は良が正面から、ハズナが左から回り込んで攻撃体制に入る。


距離は後約20m、ハズナがグッと拳を握り直した瞬間、目の前に蟷螂の瞳が現れた。


「え?」


それと同時にトンと胸に何かが当たる感触がして後に飛ばされる。自分の斜め上には蟷螂が笑っている瞳、右上には鋭利な蟷螂の鎌、そして目の前には、笑っている良の笑顔。


「よかった、自分の感をしん....」

そっから先をハズナとリーシャが聞くことは無かった。良の首が落ちたのだ。文字通り、良の首が蟷螂の鎌によりストンと切られぼとりと音を立てて地面に転がる。


「い、いや、いやぁぁぁぁぁぁあーーー!!!」


ハズナは目の前で起きた事がありえるはずがなくて、両手で両耳を抑えながら声を上げる。


リーシャは声も出ずに両手で口を抑えて木の上で後ずさりをする。


蟷螂は愉快そうに笑い、鎌を振り上げると今にも歌い出しそうなぐらい楽しそうな雰囲気を出しながらハズナに歩み寄る。


ハズナはパニック状態に陥りずっと「いや、嘘、いやよ、いや、」と繰り返している。蟷螂が鎌を振り上げ横から振りかぶる。


ハズナはブツリと肉が切られる感覚で現実に引き戻され反射で全力で鎌の無い方に飛ぶ。


そのおかげで鎌はハズナの骨を断ち切る前にハズナの肉体から消え。ハズナは腕は切断されることは無かった。


「いや、りょう、良、起きてよ、怖いよ、いやよ、良」


少しだけ意識が戻ったハズナは足元に転がる良の死体の首と体を抱き抱えると一緒に後ずさる。


しかし、蟷螂はそれを面白がるかのように1歩また1歩と少しずつハズナに近づく。


キラリと鎌に光が反射して鎌が美しいと思ってしまった。ニヤと笑う顔が地獄の番人と出会った気がして全身の力が抜け落ちる。それでも良の首だけは抱え、蟷螂の鎌が届く瞬間までハズナはこの危機を離脱する方法を頭を回らせ考える。


しかし、その巡らせた作も鎌のスピードによりあっけなく散るしかなく、最後の力で良の冷たくなり始めた首を胸元に抱き抱える。


バキッという音と共に枯葉がスれる音と舞い上がる音が聴こえる。


一瞬自分の骨を断ち切る音かと思ったが痛みはなく自分の腕も切断されてなかった。


ランランと輝く太陽の方に目を向けるとそこにはフードをかぶった、軍人と並んでいたその人が立っていた。その人の足元には私たちではどうすることも出来なかった蟷螂の鎌が落ちており蟷螂は随分後方まで下がって怒りの声を上げていた。


「GEGEGALLLAAAーー!!!」


蟷螂が私たちには一切取らなかった威嚇の体制を片方の鎌で懸命に取るがフードの人はそれに一切の興味を持たず私の方を向く。


「首を切って何分?」


女の人の綺麗な声だった。いつ、どのように現れたかも不思議でその声が頭の中でグルグルと回りなかなか処理されない


「え?あ、に、2分ほどです!」


ハッとしてから答えると女の人はフードを被っていても分かるぐらい優しい雰囲気を出してくれた。


「そう、ならこれで今すぐ止血をして首は胴体と必ずずっとくっつけていて。」


そう言ってどこからか大きな赤い救急道具を取り出しドサッとハズナの横に放り投げる。それと同時にハズナの頭の上に女の人が来ていたフード付きマントがかけられる。


「せっかく可愛い顔してんだから血濡れところぐらいそのマントで拭いて隠しときなよ」


そう言って女の人は顔を見せてくれないまま蟷螂に向き直った。しかし胸元に光る3つの真っ赤なバッチと真っ黒な長いウェーブのかかった髪を1つ結びにしている姿ははっきりと見えた。


ハズナは急いで救急道具開けると止血用具を取り出し良の首に止血を施し言われた通りにくっつけ外れないように工夫してギュッと抱きしめる。


女と蟷螂はの戦いは蟷螂が逃げ出したことによりハズナとリーシャの目では追えなくなり見ることは出来なかった。


しかし女は無傷で、そして返り血も何もなくハズナが見た時と変わらぬ姿で帰ってきた。


そこでようやく見れた顔は逆光があることにより女神のように思え、その美しい顔立ちは軍人と言うより昔あった職業であるモデルや女優である。


女はすぐに良に何かをすると口笛を吹き鳴らしり大きな鳥を2羽呼びつけると、ら私を1人で、良と女の人で乗るとすぐに本部に向かって飛び、先に帰るように信号で伝えていたリーシャと合流をして、改めて女性と話し合うこととなった。


良は万が一の為に持ってきていた医療カプセルに入れて入るが教師もみな諦めたような顔をしていた。


今も昔も、手足をくっつけることは出来てもまた動かすことが出来るようにするには大量の資金と物資が必要となる。


今はそんなものを一般の生徒に割いているほどの平和な世の中ではないし、手足ならまだしも首など言語道断。


何故首が切られた良がまた息を吹き返したのか、あの女性が何をしたのかは謎だが女性は「救いたいのであれば話を聞け」そう言って服も何もかも着替えてくるように私たちに指示を出すと軍人用のテントに来るように言った。




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