ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~

佐倉唄

3章17話 変態淫魔のバーレスク(3)



「シャノンさん、学院にはなれたッスか?」
(ウソぉ……、いや、男子でも小さい方なら、少しだけ話すこともあるけど……)

「でもシャノンさん、座学も実技も優秀ですし、家督争いとも無縁ですし、余裕に溢れすごく優雅で、すぐにクラスで一番の人気者になりそうですよねぇ」
「わかるわかる! もう突如現れたクラスで唯一の清涼剤だもん! って、あれ? シャノンさん?」

(当然でしかないけど、音姫がない……)

 不意に、わずかだけ聞こえてきた衣が擦れるような音。
 次に強い勢いで弾けるような、連続して水の滴る音が響く。
 いつの間にか会話に混ざって3つのそれが聞こえてきたため、奇跡を信じて音姫を探し続けてみたが、そのようにハイテクなモノはここになかった。

(もしかしてあれなのか!? 子供の頃、女の子が集団でトイレに向かうのって、会話で音を誤魔化すためとか!?)

「いえ、わたしはだいぶガサツですし、肌もいずれは大なり小なり、傷付くと思いますし」
「今からでも魔術師学部を変えたらいいのに……」

「そもそも、シャノンさんがガサツだと言うならば、世界の女性の99%がガサツということになってしまいますよ? 特にエルとか」
「失敬ッスね!」

 ノーラに名指しされてエルゼが憤ってしまう。
 その間にも左右から、水が水に向かって零れ続けているだけなのに、その発生源を少しでも想像すると、なぜか淫靡《いんび》に思えてしまう音が聞こえ続けていたが……、……、……、不意に、ロイの身体と精神に異変が起きる。

 響く水の音に混ざり始めた、甘い匂い。
 その匂いを感じた瞬間――、たったそれだけで頭がトロトロになり始め。匂いを嗅ぐだけで気持ちよくなり過ぎ始め。自分の体温で火傷しそうなほど下半身に血液が集まり始め。そして、男の娘の大切なところが疼き始めて、胸は切なくて苦しくて、自分がどうにかなってしまいそうだった。

(情けない……。いや、確かにね? それはね? 隣でやたら可愛らしい同級生の女の子が、他人《ひと》には見せられないことをしているわけだから、むしろ反応する方が健全だよ? 性欲を抑圧するのは、自分や子供と成長を向き合えない人だとボクは思うし。しかも1人じゃなくて3人同時で、みんな淫魔の種族だし)

 が、そこまで自分自身に弁明するも、ロイは切り替える。

(でも……、それにしたって情けない。ボクにはシィや、アリスや、ヴィキーや、そしてイヴがいるのに……。しかも厳密には混じっている女性フェロモン、いや、淫魔フェロモンの影響だろうけど、女の子のその匂いで、なんて……。自分で自分が恥ずかしい……。なんで異世界に転生できたのに、サキュバスたちとの初イベントがこれなんだ……。ゴメン、シィ、アリス、ヴィキー、イヴ……)

 わりかし本気でロイは嘆いていた。
 と、その時、用事がすんだエルゼがなにかに気付いた。

「って……、あれ? んんっ? この濃厚で、独特で、刺激的でクセどころか中毒になりそうな美味しい臭いは――」
「あら♡」「ホントだ♡」

(は? えっ? ちょっ!)
「「男の人のアレの臭い!」ですわね♡」

「って、ちょっと! 気持ちはわかるけど、シャノンさんがいるんだから我慢したらどうなの!?」
(嗚呼、こんなくだらない理由で正体がバレたら、敵よりも先にシィとアリスとイヴに追い詰められそうだなぁ……)

 とはいえ、ここで正体がバレてしまうようなロイではない。
 魔族領に潜入開始前、キチンとアリシアと対策は練り終えている。
 具体的には――、

『ロイさん、これはすごく真面目な話です』
『はい』

『ふざけているわけでも、ロイさんを不快にさせたいわけでもありません』
『はい』

『ご、ご自分の……、その、えぅ、あっ、そのぉ……、せ、せ……き、を、持ち歩くように、してくだ、さい……』
『…………ふぁ?』

 王都の自室にて、極めて間抜けな声を上げるロイ。
 が、それ以降、少なくとも10秒は誰もなにも喋ることができず、沈黙が続く。
 その気まずさに我慢できなくなったアリシアは――、

『き、聞こえました?』
『す、すみません……。聞き間違えた気がしますので、もう一度……』

『~~~~っっ! 難聴なんですか!? で、です、っ、からぁ……、っっ、ご自分の精液を持ち歩くようにしてください! それが難しいようでしたら、最低限、ミルクを!』
『真面目な話、察するに……サキュバス対策ですか?』

『コホン! そ、そのとおりです。しかも、意外かもしれませんが、向こうには爵位を持っているサキュバスもおりますので』
『意外といいますか、驚天動地レベルの事実なんですが……』

『これも真面目な話、サキュバスに限らず、淫魔の類の種族スキルは、戦争を大局的に考えると非常に強力です。下種な価値観ではありますが、その反面、合理的でもあり、例として――、

 跡継ぎに恵まれない上層部の軍人、貴族に男子を産んであげたり。
 産んであげるのが女の子なら、当主は従来の何倍も政略結婚を仕組めたり。

 娼館で働けば、そこで身篭った子供に、平均以上の衣食住を提供しても、結局は戦力か労働力として育てたり。
 本当に最悪の場合、赤子を人体実験に利用したり。

 そして彼女たちの方だって、種族スキルを利用して魔王軍内部で成り上がることも、爵位のあるなしにかかわらずお金を儲けることも可能です。
 そもそも彼女たち本人が、まぁ、性行為にかなり積極的ですので、私個人的には認めたくありませんが、それで経済が一部、潤っているのも事実でしょう』


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