俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。

夜明

第2章 21話 「スティグマ」

<スティグマ>。今一番注目されている謎多き少数精鋭ギルドである。しかし、滅多に人前に姿は表さず目立つ事を避けている為、その情報は少ない。

「スティグマ......。先程丁度そういうギルドがあるっていう話をしてたんです」

「おお。我々がそんな噂されているとはね」

背の高い男性が爽やかに微笑んだ。装備からして恐らく【魔術師】だ。青色を基調とした綺麗なローブに身を包んでいる。胸にはギルドオリジナルであろうそのギルドを象徴するマークが施されていた。水色の線が複雑に絡み合っている模様である。

「最近、結構目立つクエストばかり受けてたからじゃない?」

こちらの女性は恐らく【武闘家】で、装備がこれまた青基調の道着を身にまとっている。そして胸には<スティグマ>のギルドマークだ。

「少し目立ちすぎかもしれんな」

ハイドと名乗った聖剣を持つ恐らく   【騎士】の男性がそう呟く。ちなみに彼の纏う鎧も青が基調だ。

「えーっと、とりあえず、俺はレンジっていいます。よろしく」

「私はリリス。この子はミア」

「よ、よろしくお願いします」

「レンジ、リリス。それにミアか。俺はセインだ。こちらこそよろしくな」

セインと名乗る男は俺に握手を求めてきたので、快く手を差し出した。彼の握力はとても強く離した後も少し痺れた。

「私はノノ。見ての通り、武闘家よ」

ノノとも握手を交わした後、先ほど勘違いされて一悶着あった彼......ハイドとも誤解が解けたので握手を交わした。

「先程は迷惑をかけて済まなかった。どうも俺は一直線なところがあるらしい」

「と、いうか馬鹿正直なだけじゃないの。見たもの全てが真実とは限らないのよ」

ノノは少し呆れた顔でハイドを見上げた。ハイドは気まずいといった風に明後日の方向に顔を逸らした。それを見てセインは爽やかに微笑む。

「......何か、いいギルドだよな」

「ええ、ベータテスターだけで固まってる<エンペラーロード>とは違いますね」

「そうさ、俺達は団結力をモットーに活動してるんだ」

ハイドは自慢気に聖剣を高らかに掲げた。

「人数こそ少なくてもギルドのメンバーはいい奴らばっかりだ」

「また始まったし。セイン、ハイド、もうそろそろ御暇おいとましなきゃね」

「ああ、そうだった。レンジくん。女性陣も短い時間ながらありがとう。また会えるといいね」

「ああ、こちらこそ」

ハイドは親指をこちらに立てて見せた。やがて馬にまたがり、セインとノノと共に去っていった。

「......嵐のような奴らだったな」
「ええ......」
「ですね......」

結局彼らが去った後、何とかミアを馬に乗れる様に練習させて<乗馬育成所>を後にした。


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「ライドシティにもかなりプレイヤーがふえてきたな。まぁ、まずは宿を押さえようか」

「そうですね」

ライドシティの中心部に戻ってきた俺達は適当に見繕った宿へ足を休めに入った。ゲームだから疲れてないはずだけど、やっぱり多少は疲れている気がする。まだ慣れてないのかな?

「ふう...」

「それにしても【大司教】なんて居るのでしょうか?」

「【大司教】ねぇ......」

実の所、その【大司教】とやらの存在をよく理解していない。魔王軍と敵対している人物と言うのは分かっているのだが、それ以上の情報が俺に入っていない。

「【大司教】というと、やはり教会などの神聖な場所に居るのでしょうか?」

「まぁ、そう考えるのが妥当だよな」

果たしてそんな神聖な場所に魔王は入ることが出来るのか...と言う心配もある。

「あ、えと、ミアみたかもです。教会」

「......え?どこで?」

「ライドシティですよ。<乗馬育成所>までの道筋から見える場所にありました。ただ、あまりにも古びれてて教会なのか、別の建物なのかは分からなかったですけど......」

「いやいや、お手柄だよミア。ありがとう」

「いえ!お役に立てて何よりです」

「なら一先ずの目標はそこに行くことですね」

そうだな、と相槌を打った後俺達は1度ログアウトして身体を休ませようということになったので、無造作に設置されたベッドに横たわった。

「じゃ、また一時間後に」

「はい!」「またね、です」


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目に光が差し込む。凝り固まった身体をほぐすように伸びをした。ずっと同じ体勢でいるから流石にチェア型ダイブマシンといっても多少の疲れはあった。

台所に行き、食器戸棚からコップを取り出して冷蔵庫を開け少し悩んだ後に冷えた牛乳を選択して、コップに注いだ。ダイブ後は何か飲むのが習慣付いたな。

牛乳を飲み干す際に内側からコップの底を除いた。そんな時に、ふと、思った。

「現実世界での皆はどんな奴らなんだろ」

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