俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。
第2章 18話「シルバーゴーレム戦 #2 」
シルバーゴーレムを打ち負かすには【魔剣ブロウ】が必須だろう。
VITが高い相手には貫通攻撃に限る。
ただHPもDEXも高いとか、ちょっと強過ぎませんか?
「レンジくん、考え...とは?」
「まぁ、簡単な作戦だよ」
そう言うと俺はアウェークニングラビットを1体召喚した。そして俺自身に攻撃をするように命令を下す。
「ゴガァァァ!!!!」
ブンッと空気を切り裂いたその棍棒が、真正面から降り注いだ。それを【魔剣ブロウ】で受け止める。一撃でもかなりのダメージが蓄積された。
「レンジくん!何してるんですか!」
「そうですよっ!!危ないです!」
「いいからいいから」
アウェークニングラビットの攻撃は威力こそ野良の魔物最大級を誇るが、その軌道は単調なもので、注意を払えば比較的容易く受け止めることが可能だ。
5、6発受け止めた所で俺への攻撃を止めさせ、相当量のダメージを蓄積させた【魔剣ブロウ】を構え、シルバーゴーレムの方へ身体を向けた。
「まだ【バニッシュ・コンパルション】は撃てるよな?」
「は、はい。まだ2、3発は可能です」
「よし、じゃあ俺の背中にフルパワーで撃ってくれ」
「っえぇ?!何でそんなっ!出来ません...」
その時、シルバーゴーレムはこちらと向かい合い、何やらスキルを発動させる予備動作を始めた。
「リリス。時間が無いんだ」
「...分かりました。」
俺の背中に重い振動が伝わる。波を打つ。波を打つ。最後の波を感じた俺は咄嗟に
【ジェットブラックカントリーシューズ】の能力を使った。
【ジェットブラックカントリーブーツ】 
任意のタイミングで3秒間だけAGIを100倍にする。一度使うと一時間使用不能。1日に3回まで使用可能。
今まで使う機会がなかった、装備の靴の能力を使う事にしたのだ。これで失敗したら終わりだろうな。
【バニッシュ・コンパルション】のタイムラグを利用して第三波を食らった瞬間、靴の能力を発動させ、地面を蹴った。今迄とは比べ物にならないスピードに少し驚いてしまう。
その後、後ろから何かに思い切り押された感覚を感じ、相乗効果で通常では有り得ない速度を生み出した。
そのスピードは傍から傍観していたリリス達が目に捉えきれないものであった。
正に''人間大砲''である。
シルバーゴーレムも今までのスピードを凌駕する速さで人間大砲となったレンジに向かう。スピードアップのスキルを使ったのだろう。
高速物体同士の衝突。それはレンジの【魔剣ブロウ】の威力をさらに大きく底上げした。
シルバーゴーレムの拳とレンジの【魔剣ブロウ】の剣先が混じった瞬間、化学反応でも起こしたかのように大きな爆発を巻き起こした。
「レンジくん!」
リリスとミアは爆風を防ぐ為、顔の辺りを腕でガードしながらもレンジの安否を確認しようと前を見る。
---そこに立っていたのはレンジだった。
ーーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
『【職業:進化の書】×2を入手しました。』
『【ダイヤモンド】×2、【サファイア】×2、【ルビー】×2を入手しました。』『Lv.33になりました。』
『パッシブスキル【闇の支配者】を獲得しました。』
『アクティブスキル【インフェルノ】を獲得しました。』
『アクティブスキル【シャドウハンド・パイロット】を獲得しました。』
『アクティブスキル【ダークマター】を獲得しました。』
うん。レア種とだけあってかなりの経験値やアイテムを得た。それに伴いスキルが増えたのはかなり嬉しい。確認は宿屋に着いてからすることにした。
戦闘の貢献度に合わせて経験値が貰えるのでリリスもそこそこレベルは上がっているだろう。
「あの、すみません。ミア、役に立たなくて...」
「私も申し訳ありません....」
「結果オーライ!全然大丈夫だよ。霧も晴れてきたし早くこの森を抜けよう」
俺とリリスは再び変身した後、三人で森を抜けるとそこから<ライドシティ>へは難なく辿り着くことができた。
俺達はとりあえず宿屋を抑えることにした。
「ふぅ...。少し疲れたよな」
「そう...ですね。ミアは何もしてませんが...」
「私もお役に立ててない...」
「まあまあ、二人共。そういえばミア。即席パーティーを組んだ仲間達はいいのか?」
「あ...はい。あまり親しくもなかったですし。ほんとに森に入る直前に組んだ御三方でしたので、正直よく知らない人達なんです」
「そっか。今までずっとソロだったんだよな。さっきは理由を聞き逃したんだけど改めて聞いてもいいか?」 
「はい。実は...。......私は多重人格というか。DIDという病気...なんです」
DID。解離性同一性障害ともいう。本来の主格とは別の人格が生まれる症状だが、その原因は様々で解決に至らない事例も多い。
「だから、決まった人と一緒に居るといつ私の病気がバレてしまうか怖くて。こんな話、人にしたのも初めてです。」
「そうだったのか。」
「.......。」
流石のリリスも人の悩みを馬鹿にすることは自分のポリシーに反するらしく、黙ってミアの頭を撫でた。
「少なくとも俺達はそんな事気にしないさ。」
「そうよ。レンジくんはいちいちそんな事気にする方じゃないの。貴女も私達と一緒に来ない?」
「え?」「え?」
俺とミアは同時に驚嘆の声を発した。
「どういう事だ?リリス。」
「【進化の書】と、レンジくんのパッシブスキル【カリスマ】があれば可能なんです」
「私、仲間にして貰っても良いんですか?」
「俺はもちろん、良いんだけど」
「レンジくん、【進化の書】を彼女に渡して下さい」
言われた通り、ミアに【進化の書】を渡した。リリスの指示に従いミアは【進化の書】を発動させた。
『ミア さんの職業【騎士】を進化させることができます。現在可能な【騎士】の分岐は三種類あります。』
『【聖騎士】【暗黒騎士】【竜騎士】から選択してください。』
「あ、あのっ、このアイテムってもしかして凄く貴重な物じゃないんですか?」
「ええ、<レジェンドアイテム>よ。レンジくん、使用しても宜しいでしょうか?」
「もちろん、構わないさ」
「いやいやいやいやっ!そんな、ダメです!」
「レンジくんのご好意を無駄にする気?早く【暗黒騎士】を選んで」
ミアは凄く申し訳なさそうな顔で【暗黒騎士】を選択した。その瞬間ミアの白基調の装備は、黒と赤基調の【暗黒騎士】に変身した。
「わぁ...すごい...。」
「おお。似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます....」
「ちょ、ちょっと!そんな事より【カリスマ】でミアを仲間に取り込んでください!」
リリスに言われた通り俺はメニューを開いてスキル画面から【カリスマ】をタップした。
『【暗黒騎士】ミア を仲間にしますか?』
俺は迷いなく承諾する。
「今日から仲間だな、ミア」
「宜しくね。ちゃんとレンジくんの手助けをするのよ」
「はい...私..。ダメ...。」
そう言うとミアの目頭が熱くなり、涙を浮かべた。そしてその感情は頬を伝った。
「ありがとうございます...」
「お礼なんか良いって」
「って言いなさい!この私が加入するんだから!」
「「!!!??」」
こりゃまた、強烈な個性をお待ちで。
VITが高い相手には貫通攻撃に限る。
ただHPもDEXも高いとか、ちょっと強過ぎませんか?
「レンジくん、考え...とは?」
「まぁ、簡単な作戦だよ」
そう言うと俺はアウェークニングラビットを1体召喚した。そして俺自身に攻撃をするように命令を下す。
「ゴガァァァ!!!!」
ブンッと空気を切り裂いたその棍棒が、真正面から降り注いだ。それを【魔剣ブロウ】で受け止める。一撃でもかなりのダメージが蓄積された。
「レンジくん!何してるんですか!」
「そうですよっ!!危ないです!」
「いいからいいから」
アウェークニングラビットの攻撃は威力こそ野良の魔物最大級を誇るが、その軌道は単調なもので、注意を払えば比較的容易く受け止めることが可能だ。
5、6発受け止めた所で俺への攻撃を止めさせ、相当量のダメージを蓄積させた【魔剣ブロウ】を構え、シルバーゴーレムの方へ身体を向けた。
「まだ【バニッシュ・コンパルション】は撃てるよな?」
「は、はい。まだ2、3発は可能です」
「よし、じゃあ俺の背中にフルパワーで撃ってくれ」
「っえぇ?!何でそんなっ!出来ません...」
その時、シルバーゴーレムはこちらと向かい合い、何やらスキルを発動させる予備動作を始めた。
「リリス。時間が無いんだ」
「...分かりました。」
俺の背中に重い振動が伝わる。波を打つ。波を打つ。最後の波を感じた俺は咄嗟に
【ジェットブラックカントリーシューズ】の能力を使った。
【ジェットブラックカントリーブーツ】 
任意のタイミングで3秒間だけAGIを100倍にする。一度使うと一時間使用不能。1日に3回まで使用可能。
今まで使う機会がなかった、装備の靴の能力を使う事にしたのだ。これで失敗したら終わりだろうな。
【バニッシュ・コンパルション】のタイムラグを利用して第三波を食らった瞬間、靴の能力を発動させ、地面を蹴った。今迄とは比べ物にならないスピードに少し驚いてしまう。
その後、後ろから何かに思い切り押された感覚を感じ、相乗効果で通常では有り得ない速度を生み出した。
そのスピードは傍から傍観していたリリス達が目に捉えきれないものであった。
正に''人間大砲''である。
シルバーゴーレムも今までのスピードを凌駕する速さで人間大砲となったレンジに向かう。スピードアップのスキルを使ったのだろう。
高速物体同士の衝突。それはレンジの【魔剣ブロウ】の威力をさらに大きく底上げした。
シルバーゴーレムの拳とレンジの【魔剣ブロウ】の剣先が混じった瞬間、化学反応でも起こしたかのように大きな爆発を巻き起こした。
「レンジくん!」
リリスとミアは爆風を防ぐ為、顔の辺りを腕でガードしながらもレンジの安否を確認しようと前を見る。
---そこに立っていたのはレンジだった。
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『【職業:進化の書】×2を入手しました。』
『【ダイヤモンド】×2、【サファイア】×2、【ルビー】×2を入手しました。』『Lv.33になりました。』
『パッシブスキル【闇の支配者】を獲得しました。』
『アクティブスキル【インフェルノ】を獲得しました。』
『アクティブスキル【シャドウハンド・パイロット】を獲得しました。』
『アクティブスキル【ダークマター】を獲得しました。』
うん。レア種とだけあってかなりの経験値やアイテムを得た。それに伴いスキルが増えたのはかなり嬉しい。確認は宿屋に着いてからすることにした。
戦闘の貢献度に合わせて経験値が貰えるのでリリスもそこそこレベルは上がっているだろう。
「あの、すみません。ミア、役に立たなくて...」
「私も申し訳ありません....」
「結果オーライ!全然大丈夫だよ。霧も晴れてきたし早くこの森を抜けよう」
俺とリリスは再び変身した後、三人で森を抜けるとそこから<ライドシティ>へは難なく辿り着くことができた。
俺達はとりあえず宿屋を抑えることにした。
「ふぅ...。少し疲れたよな」
「そう...ですね。ミアは何もしてませんが...」
「私もお役に立ててない...」
「まあまあ、二人共。そういえばミア。即席パーティーを組んだ仲間達はいいのか?」
「あ...はい。あまり親しくもなかったですし。ほんとに森に入る直前に組んだ御三方でしたので、正直よく知らない人達なんです」
「そっか。今までずっとソロだったんだよな。さっきは理由を聞き逃したんだけど改めて聞いてもいいか?」 
「はい。実は...。......私は多重人格というか。DIDという病気...なんです」
DID。解離性同一性障害ともいう。本来の主格とは別の人格が生まれる症状だが、その原因は様々で解決に至らない事例も多い。
「だから、決まった人と一緒に居るといつ私の病気がバレてしまうか怖くて。こんな話、人にしたのも初めてです。」
「そうだったのか。」
「.......。」
流石のリリスも人の悩みを馬鹿にすることは自分のポリシーに反するらしく、黙ってミアの頭を撫でた。
「少なくとも俺達はそんな事気にしないさ。」
「そうよ。レンジくんはいちいちそんな事気にする方じゃないの。貴女も私達と一緒に来ない?」
「え?」「え?」
俺とミアは同時に驚嘆の声を発した。
「どういう事だ?リリス。」
「【進化の書】と、レンジくんのパッシブスキル【カリスマ】があれば可能なんです」
「私、仲間にして貰っても良いんですか?」
「俺はもちろん、良いんだけど」
「レンジくん、【進化の書】を彼女に渡して下さい」
言われた通り、ミアに【進化の書】を渡した。リリスの指示に従いミアは【進化の書】を発動させた。
『ミア さんの職業【騎士】を進化させることができます。現在可能な【騎士】の分岐は三種類あります。』
『【聖騎士】【暗黒騎士】【竜騎士】から選択してください。』
「あ、あのっ、このアイテムってもしかして凄く貴重な物じゃないんですか?」
「ええ、<レジェンドアイテム>よ。レンジくん、使用しても宜しいでしょうか?」
「もちろん、構わないさ」
「いやいやいやいやっ!そんな、ダメです!」
「レンジくんのご好意を無駄にする気?早く【暗黒騎士】を選んで」
ミアは凄く申し訳なさそうな顔で【暗黒騎士】を選択した。その瞬間ミアの白基調の装備は、黒と赤基調の【暗黒騎士】に変身した。
「わぁ...すごい...。」
「おお。似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます....」
「ちょ、ちょっと!そんな事より【カリスマ】でミアを仲間に取り込んでください!」
リリスに言われた通り俺はメニューを開いてスキル画面から【カリスマ】をタップした。
『【暗黒騎士】ミア を仲間にしますか?』
俺は迷いなく承諾する。
「今日から仲間だな、ミア」
「宜しくね。ちゃんとレンジくんの手助けをするのよ」
「はい...私..。ダメ...。」
そう言うとミアの目頭が熱くなり、涙を浮かべた。そしてその感情は頬を伝った。
「ありがとうございます...」
「お礼なんか良いって」
「って言いなさい!この私が加入するんだから!」
「「!!!??」」
こりゃまた、強烈な個性をお待ちで。
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