モテない俺にある日突然モテ期が来たら

ドラオ

イキナリ終焉である。

さて、そんなこんながあった次の日である。

今日から俺は夏休み。ベットから見える天井はいつも通り。昨日のビショビショだった床は何となく乾いているし、部屋の暑さもいつも通りだった。

一つ違うとするならば、横にマイムちゃんが寝ていた。


「うおあぁ!」


何故かマイムは上半身裸だった。


肩から腰にかけての曲線美は、初めて女性の裸を見る俺には刺激が強すぎて叫び声を上げることしか出来なかった。 


「なんですかぁ?煩いですよ昴さん」


マイムは眠たそうに身体を起こすと身体を隠すことも無く、片腕をグッとストレッチのように上げ大きな欠伸あくびをした。


「お、おい!隠せよちょっとは!てかなんで隣で寝てんだよ!影に入るとか何とか言って無かったか!?」


そうだ、昨日突然現れたモテ期ナビゲーターのマイム。俺の好きなラノベのヒロイン100%の見た目の愛らしい女の子。
もうここまで来たら存在を認めるしか無いが、なぜ俺のベットに寝ている?
 

ももも、もし、仮にだ。
その、俺はこのパーフェクトヒロインのマイムちゃんと一夜を共にしたとするなら、何故その記憶が無いのだ?なんかもうここに書けないような行為を繰り広げたとするならば、その記憶が無いと言うのはあんまりじゃないか?神などこの世にいないという事じゃないのか?



「だ〜か〜ら〜、ちょっと朝から騒がしすぎますよ昴さん。」



さっきまで眠そうだったマイムの目が俺をジッと見つめている。



「別に何もありませんよ、昴さんは良く寝てましたし。私も影に入って魔力の充電をするのは良いんですが、充電し過ぎるとキャパオーバー分は電気の放電のように魔力が溢れてしまうんです。だからひとまず影から出てみたのですが、あんまりにも昴さんが気持ちよさそうに寝てたので私もついウトウトと隣で眠ってしまっただけです。」



なんだ。そういう事か、興奮して損した。
というか俺の心の声もダダ漏れな訳ね。


「いや流石に昴さんの心の声までは聞こえませんよ。だからさっきから言ってるじゃないですか騒がしいって。全部声に出てますよ。」



俺はどうやら隠し事が出来ない人間のようだ。顔に出るとかそういうレベルでは無く声に出てしまうのだから。 


マイムは指をヒョイと振ると、身体に瞬時に服が装着された。これも魔法の一つなのだろうか。


「それで、昴さん、今日はどちらへ?ばっちりナビしますので何でも言ってくださいね」


あぁそうか。肩を触ればその異性は俺の言いなりになって好感度が上がるんだっけか。本当かどうか一度試したいのは山々なんだが・・・
うん。ナビというくらいだ、まず相談してみるか。


「じゃー、ちょっと相談なんだけど、俺そもそも女の子の知り合いとか皆無なんだよな。知らない人でも良いの?学校で話すのも先生くらいなんだけど。」


頭の中に担任の晶ちゃんが浮かんだ


「え?そうなんですか?一応マニュアルでは昴さんと関わりのある異性の方が良いみたいですね。いません?クラスメイトとか、実は隣の家に幼馴染が住んでるとか」


「無い。おれ最近引っ越してきたばかりだし」


俺は即答した。


「実は義理の妹や姉が一緒に住んでるとか、ネットで知り合った人とか」


「無い。一人っ子だし、ネットとか基本ROM専だから」


俺は即答した。



マイムはちょっと考え込んだ後に満点の笑顔でこう言った。



「詰んでますね、昴さん♪」


モテ期1日目にして、この企画の終焉を迎えたのである。

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