複垢調査官 飛騨亜礼
転生作家
「この小説家、<作家でたまごごはん>で書いてた人じゃないですか?」
チャラ夫君が<ネット小説パラダイス>の小説を指さしながら言った。
今日もホストみたいなスケスケシャツにジーンズ姿である。
長髪は綺麗に金色に染められて、銀色ピアスがキラキラ輝いていた。
「あ、それって、<たまごごはん>で『異世界漂流クラス委員長』書いてた人だよね。確か」
神楽舞がいつもの軍服ワンピース姿で話に相づちを打つ。
京都生まれの切れ長の瞳と小造りな顔が、なかなか可愛いい。
いつの間にか運営リーダーの仕事に復帰して周囲に馴染んでいた。
「ピンチになると機知に富んだ機転でクラスメンバーを救うのが良かったけど、作者のサバイバル知識が凄すぎて元傭兵か?と思いましたもん。エロ描写が行き過ぎて削除になっちゃったけど、当時、すでに人気は書籍化レベルでしたからね」
チャラ夫君もファンだったらしい。
「僕はちょっとあの作者と交流してたから分かるけど、サバゲーやってて、サバイバル&軍事オタクというか、その方面の知識は凄かったですね」
メガネ君はお気に入り作家としてフォローしていた。
とにかく、毎日、更新していた『書ける人』だったし、いつかは書籍化作家になると思っていた。
「アカウント削除は失敗だったかしら? 飛騨君が削除したんだけど。飛騨君もちゃんと作品のデータファイルは削除した作者に送ってあげたり、結構、まめなとこもあったし。飛騨君もファンだったらしくて泣く泣く削除したらしいわ。規約違反なんで警告が三回ぐらい累積すると機械的に処分することにしてたのよ。感情が入ってしまうと削除基準がブレブレになるので、仕方ない面もあるのよね」
神楽舞は苦しい胸のうちを明かした。
地方発のネット企業IMT.COMの運営する<ネット小説投稿パラダイス>、通称<ネットパラ>は、ネット小説投稿サイト<作家でたまごごはん>を削除になった『転生作家』たちを拾いまくって人気作家に育てあげるという手法で急速にアクセスと人気を獲得しつつあった。
メガネ君はかつて坂本マリアがいた空席に視線を移した。
神楽舞の復帰と共にお役ご免となり、派遣先のIT企業『カレイドスコープ』に戻ったらしいが、その後の消息は聞いてない。
『カレイドスコープ』自体、IT人材派遣企業的な業務が増加しているので、またどこかの企業に出向になっている可能性が高い。
「あれれ、これマリアさんじゃないかな?」
織田めぐみが珍しく高い声を上げた。
コメントつきネット動画で有名な『ザブザブ動画』の生放送だった。
「ほんとだ。マリアさんだ!」
メガネ君も思わず叫んでいた。
「―――この度、<ネット小説投稿パラダイス>の運営会社IMT.COMのCEOに就任致しました、坂本マリアと申します」
パソコンの小さな画面に懐かしい顔が映っていた。
時折、碧色に変わる目をもつ坂本マリアは紅色のビジネススーツに身を包んでいた。
炎のように燃え上がる赤色の服は、まるで業火の中でも焼かれない戦闘服のように見えた。
坂本マリアの静かなる宣戦布告であった。
(あとがき)
どうもドラマ『ファーストクラス』的な展開ですが、書きだすと、自然にストーリーが浮かぶという作品らしく、僕もこの展開は考えていなかったのですが、ようやく、役者が揃った感があります。
今後の展開は予想出来ませんが、<作家でたまごごはん>の全てを知ってるマリアさんはかなり手強い相手だと思われます。
次回は『メガロポリスの虎』ということで、いろいろ設定が混じってますが、そちら方面のお話になる予定です。
チャラ夫君が<ネット小説パラダイス>の小説を指さしながら言った。
今日もホストみたいなスケスケシャツにジーンズ姿である。
長髪は綺麗に金色に染められて、銀色ピアスがキラキラ輝いていた。
「あ、それって、<たまごごはん>で『異世界漂流クラス委員長』書いてた人だよね。確か」
神楽舞がいつもの軍服ワンピース姿で話に相づちを打つ。
京都生まれの切れ長の瞳と小造りな顔が、なかなか可愛いい。
いつの間にか運営リーダーの仕事に復帰して周囲に馴染んでいた。
「ピンチになると機知に富んだ機転でクラスメンバーを救うのが良かったけど、作者のサバイバル知識が凄すぎて元傭兵か?と思いましたもん。エロ描写が行き過ぎて削除になっちゃったけど、当時、すでに人気は書籍化レベルでしたからね」
チャラ夫君もファンだったらしい。
「僕はちょっとあの作者と交流してたから分かるけど、サバゲーやってて、サバイバル&軍事オタクというか、その方面の知識は凄かったですね」
メガネ君はお気に入り作家としてフォローしていた。
とにかく、毎日、更新していた『書ける人』だったし、いつかは書籍化作家になると思っていた。
「アカウント削除は失敗だったかしら? 飛騨君が削除したんだけど。飛騨君もちゃんと作品のデータファイルは削除した作者に送ってあげたり、結構、まめなとこもあったし。飛騨君もファンだったらしくて泣く泣く削除したらしいわ。規約違反なんで警告が三回ぐらい累積すると機械的に処分することにしてたのよ。感情が入ってしまうと削除基準がブレブレになるので、仕方ない面もあるのよね」
神楽舞は苦しい胸のうちを明かした。
地方発のネット企業IMT.COMの運営する<ネット小説投稿パラダイス>、通称<ネットパラ>は、ネット小説投稿サイト<作家でたまごごはん>を削除になった『転生作家』たちを拾いまくって人気作家に育てあげるという手法で急速にアクセスと人気を獲得しつつあった。
メガネ君はかつて坂本マリアがいた空席に視線を移した。
神楽舞の復帰と共にお役ご免となり、派遣先のIT企業『カレイドスコープ』に戻ったらしいが、その後の消息は聞いてない。
『カレイドスコープ』自体、IT人材派遣企業的な業務が増加しているので、またどこかの企業に出向になっている可能性が高い。
「あれれ、これマリアさんじゃないかな?」
織田めぐみが珍しく高い声を上げた。
コメントつきネット動画で有名な『ザブザブ動画』の生放送だった。
「ほんとだ。マリアさんだ!」
メガネ君も思わず叫んでいた。
「―――この度、<ネット小説投稿パラダイス>の運営会社IMT.COMのCEOに就任致しました、坂本マリアと申します」
パソコンの小さな画面に懐かしい顔が映っていた。
時折、碧色に変わる目をもつ坂本マリアは紅色のビジネススーツに身を包んでいた。
炎のように燃え上がる赤色の服は、まるで業火の中でも焼かれない戦闘服のように見えた。
坂本マリアの静かなる宣戦布告であった。
(あとがき)
どうもドラマ『ファーストクラス』的な展開ですが、書きだすと、自然にストーリーが浮かぶという作品らしく、僕もこの展開は考えていなかったのですが、ようやく、役者が揃った感があります。
今後の展開は予想出来ませんが、<作家でたまごごはん>の全てを知ってるマリアさんはかなり手強い相手だと思われます。
次回は『メガロポリスの虎』ということで、いろいろ設定が混じってますが、そちら方面のお話になる予定です。
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