奴隷帝にしか、なれなかった『僕』へ

お手つき

『僕』のエピローグ

床に滴る水滴の音で時間を把握するようになったのはいつからだったか。

鼻を突くようなカビ臭さに体が馴染んだのはいつからだったか。

喉の奥に岩石が詰まった様な息苦しさに慣れたのはいつからだったか。

耳元で鳴き叫ぶ、嗤い声に興味を示さなくなったのはいつからだったか。

もう忘れた。覚えていない。ただ、ひとつだけわかることがある。



今、『僕』は死んだ。

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