【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

フィーア迷宮.攻略04

--- マルティナ Side ---アル達を守りながら、”何か”と戦おうと考えた。
扉を開けた瞬間に、僕には解ってしまった。あれは、パパだ!あんな姿になっているが、僕が間違えるわけがない!
『パパ!止めて、僕だよ。マルティナだよ。パパ!!』
聞こえているのか解らない。パパから、ブレスが”僕”の方に放たれる
!!
『パパ。なんで・・・僕に・・・』
ブレスは、ナーテのボイドが防いでくれている。エステルに引っ張られるように、ボイドの後ろに連れて行かれる。
何度も、何度も、何度も、呼びかける。
アルも、ヒルダも、フルールも・・・止めて、僕のパパに・・・。
「ヒルダ。聖魔法行けるか?」「よし、俺が踏み込んだタイミングで、頼む!」
アルがカウントダウンを始める。
「行くぞ!」
アルが、パパの所に懐に飛び込む。その瞬間に、癒やしの光が降り注ぐ、アルがパパの胸元を剣で切り裂く。甲高い音がして、パパが膝から崩れ落ちる。
”ダメェェェェェ!!”
アルが、剣でもう一度同じ所を攻撃しようとしている。
『待って!!!!!!!!!』
アルに、思いっきり強く念じた声で話しかける。
『マルティナ』『アル・・・やめて・・・ほしい』
アルは、剣を構えたまま、僕の方を見ている。『パパ・・・なの・・・。』『話は通じるのか?』『・・・・』『マルティナ!どうだ。俺は、このアンデッド・ドラゴンよりも、ヒルダやナーテやフルールやエステルやマルティナ。お前たちの方が大事だ!』
身体がこわばるのが解る。僕もわかっている。パパには、違いないが、パパじゃない。今も、ヒルダの魔法でどんどん弱くなっている。精霊の眷属としての、パパの面影は一切ない。あの強く綺麗だった・・・。
『アル』『マルティナ。いい。俺は、今からお前の父親を殺す。恨むのなら、俺に襲いかかってもいい。だが、このまま、父親を苦しめたままでいいのか?』
そうだ・・・なんで、パパは、こんな所に居るの?殺された・・・ううん。そうじゃない。今、目の前に居るのは、パパじゃない。あんなに強かった、パパじゃない。聖魔法程度で、苦しむはずがない。
『アル。ううん。僕がやる。パパの仇は、僕だ!僕が、パパを、こんな目に合わせた奴らを見つけて殺す!』
そうだ、アルにやらせない。僕がやる!
パパの胸元に移動した。僕には存在しない。魔核が露わになっている。パパは、魔物になってしまったのだろうか?ううん。その前に、パパは、アンデッド・ドラゴンになってしまった。殺されても、死ぬことが出来なかったの?
パパ。誰が、こんな事をしたの?教えてよ。パパ。
アルが、魔核に剣を突き立てる。僕は、アルが掴んでいる部分を押し込むように、パパの胸にある魔核に剣を突き刺す。
剣は、魔核に食い込んで行く。最後は思いっきり押し込む。”パリン”そんな音が響いて、魔核が壊れた。
僕は、パパを殺した。死んでいた、パパを消滅させたのは僕だ。アルじゃない。僕が、パパを・・・。
『マルティナ』『アル・・・。僕・・・』『こんな事をした奴らに絶対にその気持ちをぶつけような』『・・・・うん』
絶対に許さない。パパを、二回殺させた奴を僕は、絶対に許さない。
--- アルノルト Side ---やはり、マルティナの関係者?竜?だったようだ。迷宮ダンジョンが死んでいるのに、最下層だと思われる所に、何か居る雰囲気があった事から、そんな感じはしていた。
最後は、ヒルダの魔法で動きを止めつつ、マルティナが最後の攻撃をおこなった。俺の刀を使用してだが、それでも、マルティナの気持ちを考えれば、許される事ではない。
マルティナを利用するだけではなく、殺した竜族を使って、何をやろうとしていたのか?最下層まで降りてきておいて、それ以降には進めていないのだろうか?
「フルール!ナーテ!管理室への階段か扉を探してくれ!ヒルダは、マルティナを頼む。エステルも、マルティナに、ついていてくれ!」「わかった」「にいちゃんは?」
「俺は、辺りを見てくる。何か、残された物がないか調べる!」『アル。僕も一緒に行く!』『マルティナ。大丈夫なのか?』『・・・大丈夫。それよりも、証拠を探すのだよね?』『あぁそうだ!』
マルティナには、そう言ったが、証拠が残っているとは思えない。
しかし、エステルが不思議な物を、版権してきた。
『主。これを見て』『エステル。これはどこに?』
エステルは、天井を指差す。
『天井から吊るされていたのか?』『ううん。半分、埋め込まれていた』
エステルから、天井に埋め込まれていた”魔道具”を受け取る。見覚えがある。
「フルール!」
フルールに、魔道具を投げる。慌てて、受け取ったフルールが渋い顔をする。
「主様。この魔道具・・・」「見覚えあるよな?」「はい・・・アンデッドを使役していた部隊が装備していた物です」「・・・そうだよな。少し形が違うけどな・・・中身は、今度調べてみる事にするか・・・」
『アル!それで、パパを操っていたのか?』『どうだろう。アンデッドにする力があるだけかもしれないし、操っていたのかも知れないけど、正確にはわからないけど、原因の一つである事は間違いないな』『それを、作った奴が、パパを・・・』『その可能性は高いだろうな』『アルは、そいつが誰なのか解っているのか?』
あの魔道具を使っていた奴らは、どこから入手したのかは・・・『憶測の範疇だけどな。俺が殺さなければならない。潰さなければならない組織が絡んでいると、俺は思っている』
表現が難しい。妖精の涙フェアリーティアが絡んでいるのだろう。
「アルノルト様!扉が有りました・・・が、暗号を求められます」
扉が見つかったのか・・・。ヒルダが居る場所に、たしかに、扉がありそうだ。
「暗号?」「はい・・・扉に触れると、"300→600→1200→2400→4800→9600→nnn→28800→mmm→56000で、nnn+mmmの合計は?"と、でてきます」
簡単だな。48,000になるだろう。「48000で入力してみてくれ」
ヒルダが、扉の前に居るので、そのまま入力してもらう事にした。「え?」
ヒルダが数字を入力したら、”カチン”とロックが外れる音がした。モデムの速度とは・・・。少し突っ込みたい所は、あるが、まぁ答えが合っていたから良いとしておこう。
管理室に入る。これからは、いつもの作業の始まりだ。
管理者登録をおこなって、ノース迷宮と繋げる。後は、テディに任せる事にする。テディには、エステルが見つけた魔道具を渡して、解析ができそうならやっておいて欲しい旨を伝える。
このフィーア迷宮は、キースリング達に渡す事にしている。その為に、最低限の設備を作っておく必要があるだろう。ノース街の様に結界で覆って、許可された者しか入られないようにしておけばいいだろう。
まずは、コンラートに攻略が終わった事を伝える連絡を入れた。今日は、時間があるという事なので、そのまま、キースリング達の所に、コンラートを連れて行く事にした。最初、マルティナも付いてくると言ったが、今日の所は、ここで、フルールとナーテとエステルと一緒に、”ここ守って休んで”貰う事にした。
俺とヒルダで、ノース街に移動してから、コンラートの執務室に向かった「コンラート。準備が出来ているのなら、集落に行くけどどうだ?」「え?あっすぐに終わります。少しお待ち下さい」「わかった。俺の執務室に居るから、準備が出来たら来てくれ!」「かしこまりました」
ヒルダと、自分の執務室で待っていると、扉がノックされた。「アルノルト様。ヨハナです。少しお時間いいですか?」
珍しい人が来たものだ。てっきり俺は嫌われているものだと思っていた。「どうぞ。ヒルダも居るけど大丈夫?」「はい。侯爵夫人にも聞いていただきたい・・・です」
ヨハナが部屋に入ってくる。あぁそういう事なのだな。それはめでたい。
以前の様な格好ではなく、俗に言うマタニティな格好になっている。まだ、お腹は目立ち始めていないから、出来た事が解った程度の日数なのかな?そうなると、ヨハナが報告だけではなく、話と言ったのは・・・はぁ面倒事にならなければいいのだけどな。
「失礼します。アルノルト様。侯爵夫人」
綺麗に一礼する「ヨハナ。久しぶりだね。それから、無理に言葉を作らなくていいからね。俺達しかいない所なら特にね」「え?あっはい」「そうですよ。私の事もヒルダと呼んでくださいね」「・・・解りました」
ヨハナが下を向いて黙ってしまった。なんだろう?何か有ったのか?コンラートとの子供でないとか?そんな事を相談されても、俺は困ってしまうぞ!
「どうした?何か有るのだろう?」「え?あっはい。あの・・・アルノルト様。ヒルダ様。私・・・」
ヒルダがいいにくそうにしているヨハナに質問をした「子供が出来たのね?」「え?あっはい。コンラート様とのお子が・・・それで・・・」
うん。よかった。まずは、一つの問題ではなかった。ドロドロの話なんて聞きたくないからな
「うん。おめでとう。予定は?」「え?あっ来年の始め位になるのでは・・・と・・・怒らないのですか?」「え?なんで」「ん?なんで?」
俺とヒルダは二人して、怪訝な声を上げてしまった。なんで、俺達が怒る必要がある?
「・・・え?コンラート様が・・・侯爵閣下より先に・・・子供を作るのは・・・そうおっしゃっていたので・・・それでも、出来てしまって・・・」「あぁ」「納得!アルノルト様が悪いって事ですね」「おぃヒルダ。それは・・・そう言えなくもないけど・・・。違うだろう!」
よかった。心配事には違いないが、誤解と遠慮からの話だったようだ。
「ヨハナ。確かに、コンラートとヨハナの子供を、俺達の子供との婚姻・・・っと言われているけど、そんな事は気にしなくていいぞ」「え?」「そうね。それに、アルノルト様を待っていると・・・」「ヒルダ。黙れ!」
「コンラートに、俺が言っておかなかったのが間違いだったようだな。後で、しっかり言っておく。ヨハナ。子供の事は気にしなくていい。そんな気持ちだと、お腹の子供にも、いい影響はないだろうからな。しっかり、栄養を取って、望まれて生まれてくると教えてやるのだぞ!」「!!わかりました。ありがとうございます」
ヨハナは、緊張の糸が切れてしまったのように、その場でうずくまって泣き出してしまった。最悪、堕胎しろと言われると思っていたようだ。
その時に、部屋がノックされた。コンラートが来たのだろう。
ヨハナは、隣の部屋にヒルダが連れて行った。

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