【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

ツヴァイ迷宮とドライ迷宮

--- アルノルト Side ---心配事は増えてしまったが、ディルク達の事以外は、情報収集が先だろう。
ノース迷宮から、アインス迷宮に移動した。ヒルダとフルールが楽しそうに話をしていたが、話の内容は教えてくれないようだ。俺に関係する事なら、そのうち教えてくれるだろう。
ナーテには、ディルク達の事は話してあったので、ヒルダとフルールにも軽く説明した。生き返った、迷宮ダンジョンは、そのままにして、次の迷宮ダンジョンに向かう事にした。
この短期間で攻略出来るのなら、連続で攻略してもいいのかもしれない。攻略した所で、コンラートに連絡を入れて確認する事にした。
ツヴァイ迷宮までは、やはり半日程度かかりそうだ。
アインス迷宮を出て、次の迷宮ダンジョンに向かう。地上に戻ってきてから、小屋から外に出た。向かう場所はわかっている。迷宮ダンジョンが待っているとは思わないが、そんなに時間もかけられないのだろう
「よし。行くか!」
皆で・・・と、言っても、俺とヒルダとナーテとフルールだけだか、ナーテのゴーレム・・・ボイドに、フルールとナーテを乗せて、俺はヒルダの移動用に、木龍を呼び出す。白虎でも良かったのだが、なんとなくカウラを思い出してしまうので、止めておいた。俺は、その横を並走する事にしている。一番遅いのは、ボイドだが、それでも馬車で移動するよりも数倍早い速度が出ている。
「アルノルト様」「ん?どうした?休むか?」「いえ、あれ・・は・・・大丈夫なのですか?」「大丈夫だろう?」
ヒルダもフルールもナーテも気がついているようだ。確実に大人の気配が15~20程度居た。
最初、俺達を見つけてから、取り囲むようにしたようだったが、囲まれるよりも早く、包囲網を突破してしまったので、実害はなかった。正確言えば、俺達だったから実害といえるような事はなかった。街道から外れては居るが、それほど離れているわけではない。そんな場所に野盗が居るのは問題だろう。
少し走った所で、クリスに連絡を入れておく、正確な位置は解らないが、だいたいの位置だけは教えておいた。ギードを派遣する事を、即座に決定していた。
「にいちゃん」「あぁ大丈夫。ギードが出てくるらしいから大丈夫だろう。俺達は、迷宮ダンジョンに急ごう。暗くなる前に、中に入っておきたい」「うん!」
それから、1時間程度で、迷宮ダンジョンがあると思われる場所に到着した。ここも、掘っ立て小屋があるだけのはずだが・・・。人の気配がある。
数名の男が、小屋の前で歩哨のようにしている。
「にいちゃん。どうしよう?」「う~ん。突破はそれほど難しそうじゃないけどな」「さっきの奴らの仲間かな?」「どうだろうな・・・でも、場所的には、仲間だと考えるのが妥当だろうな」「なぁ主様」「フルールどうした?」「あの場所が、迷宮ダンジョンで、間違いないのかえ?」「う~ん。多分だけどね」
「し!」
ヒルダが、身をかがめながら、俺達にも伏せるように言ってきた別働隊だろうか、10名位の男が、血で汚れた箱と女性を数名連れてきた。
うん。悪人確定でいいと思う。もう、主観的な判断で、"俺が気に入らない”から討伐したでもいいかと思えるレベルだ。
クリスとギードとハンスに、事情を伝えて、今から突入する事を宣言する。
一旦、ノース迷宮に戻って、ゴーレムを数体持ってくる。フルールに渡す。エステルには、最初から合体ゴーレムで行くように、伝えた。
俺は正面から、いきなり切り込む。左右をゴーレムに守らせて、掘っ立て小屋に殴り込みをかける。
歩哨をしていた奴らが、中の様子が気になって、内側を向いた時に、一気に距離を縮めて、ゴーレムで吹き飛ばした。吹き飛ばした先では、ヒルダとフルールが拘束する事になっている。これで、証言出来る奴らは確保した、後は鏖でいいだろう。アインス迷宮と同じように、地上部分は、何もない。階段を探して、様子を探ると、人が居る様子がある。女性が捕えられている可能性も考慮しなければならないようだ。それがなければ、炎龍辺りを呼び出して、階層ごと燃やしてしまう方が楽だが、今はこの手は使えない。
ゴーレムは、階段で見張りをさせる事にした。代わりにエステルを呼んで、エステルと二人で1階層に降りる事になった。
そこからは、覚えていないほど、魔法を使ったり、人を切った。10人までは数えたが、こちらに向かってくる奴らを、ただ機械的に倒していっただけだ。
予想していた通り、5階層まで迷宮ダンジョンは同じような作りになっていた。
ここまでの最下層の5階層の一番奥の部屋で偉そうにしていた奴の所までたどり着いた。
「おい。お前がここのボスか?あぁ名前なんて必要ない。ここで死ぬか、後で死ぬかを選べ」「ふざけるな!ガキが。どうやってここまで!!」
「はぁそんな事もわからないのか?低能だな」
何かが弾けるような音が頭の中で鳴り響いている。俺は、こんなに人を簡単に殺せたのか?それとも・・・。
「おい!だれか!」「いないよ。逃げ出した奴がいるかも知れないが、仲間は全部動けなくしている。それでお前がボスでいいのか?」
煩い。煩い。
「あ”?早く言え。お前がボスなのかと聞いている!」
座っていた男が、何やら叫びながら、メイスを振りかざしている。えらくスローモーションだな。これなら、避けるのも容易いぞ。
男のメイスが、床に激突する。俺は、男の後ろに回って、首筋に刀を押し付ける。首筋から、汚い血が一筋流れる。
「なんだ。俺を攻撃したのか?」「バ・・・バケモノ・・・・」
「ひどいな、バケモノは、ひどいよな?それでも、お前がここのボスで、ここで行われていた事の責任は、全部お前が取るのだな?」
1階層には、護衛なのだろう、武装した奴らがたむろっていた。それほど脅威ではなかったので、配置している魔法で殲滅した。運が良ければ行きているだろう。二階層は、さっき連れて行かれた女達を犯そうとしていた奴らが居た。他にも数人ゴミのような奴らも居たが、刀のサビになってもらった。殺してはいない。両足の指と手の指を切り落とした。裸だった奴らは、見難い下品にぶら下げている物も切り落とした。奥に、同じように捕えられていた、女が居たので、開放した光龍を呼び出して、傷の手当をしてもらった。その間に、持っていた食料や飲み物を、取り出して後は任せた。偶然、その時に、使い道がなかった、小さなナイフや、わかりやすく”毒”と書かれた小瓶を置いてきてしまったのは、愛嬌だろう。手足の指を失った男だ。目の前で、切り落とした指や一物は燃やさせてもらった。男と女のちからの差はあるが、人数的には、女の方が多いだろう。それに意外と、足の指が無いと力が出せない。
3階層は、ただ殺されただけの人や獣が捨てられていた。腐敗は進んでいない事から、ある程度したら誰かが捨てていたか、もしかしたら、迷宮ダンジョンの機能が生きているのかも知れない。
4階層は、少し様子が違って、寝所の様になっていた。ねぐらにしていたのだろう。少し、小奇麗にした女が食事の支度などをしていた。
5階層の階段を降りてすぐの部屋には、子供だけが集められていた。衰弱して、口も聞けなくなった子供や、すでに事切れている女の子を抱きしめながら呆然としている男の子が居た。
「なんとか言えよ?違うなら違うって言ってもいいよ」「ヒィィィ」「なんだよ。逃げるなら、逃げるって言わないと、危うく首を切り落としちゃう所だったよ」
男は、切れた首を抑えて、またメイスを持って立ち上がって、俺に振り下ろしてきた。さっきと同じように、えらく遅い振り下ろしだ。面倒になったので、男の手首を切り落とした。メイスは、男の身体から離れて、床を何度か叩いて止まった。
何が行われたのか解らない状況だったのだろう。男が自分の腕を見て、絶叫している。煩いな。この程度で悲鳴をあげるなよ。お前たちがしてきた事は、こんな事じゃすまないはずだぞ!
「ゆるしてくて・・・俺・・・私じゃない」「じゃぁだれだよ」「・・・」
あぁ面倒だな。ここで待っていれば、戻ってくるのか?
「早く言えよ!」
今度は、左耳を半分だけ切り落とす
「ぎゃぁぁぁ」「聞かないのなら、耳も必要ないだろう?反対側が残っているから、まだ聞こえるよな?”誰がボス”なのだ?」「助けて・・・ゆるして・・・」
「そうか・・・よし、癒やしてやる」
そう言って、魔法を発動する。耳をくっつける。
「それで?お前がやっていた事なのだろう?」「ちが・・・」
今度は、右耳を切り落として、目の前で焼き尽くした。
「え?」
少し間があるのは、理解が出来ないのだろう。
「ぐちゃぁぁぁ痛えェェェ」
「痛いだろうな。痛くしているから当然だな」
刀を腿に突き刺す
「お前が、子どもたちをあんな目に合わせたのか?女児を犯したのもお前か?」「ちが・・・なおし・・・ゆるし・・・」
「あぁそれじゃ誰がやったのだ?連れてこいよ。お前以外、この階層に居なかったぞ!」
刀を腿に深く突き刺す。絶叫が聞こえるが気にする必要はない。刺さっている刀に、魔力を込めて、火を纏う。
「え?あっ・・・ぎゃぁぁぁあつ・いた・・・い。わたし・・・です。ゆるして・・・やめて・・・くだ」
「聞こえないな。お前は、命乞いする子供をどうした?殺したのだろう?犯したのだろう?妹をかばった兄を殴ったのだろう?自分だけが許されると思っているのか?」
刀の火を消して、今度は、冷やしていく。どんどん冷たくしていく、腿に刺さった所から流れ出している血が凍りつくまで下げていく。
「アル!」「え?ハンスか?」
どうやって、ハンスが、ここにやってきたのか・・・俺の肩に置いた手に力が入っているのがわかる。
「アル。もういい。後は、俺達がやる!」
俺達と言われて解った、王都に出ていたゴーレム隊が運んできたようだ。
「後は頼む」
それだけ言って、刀を抜いた。男は、気を失っているようだった
「アル・・・子どもたちは保護した、ノース街でいいのだな?」「あぁ後でコンラートに連絡しておく。後、地上に風呂を作るから、子供や女性に入らせてやって欲しい。あと、食料もあるから、少しだけでも安心させて欲しい」「わかった」
地上に出ると、ヒルダとナーテが駆け寄ってきた。
「アルノルト様」「にいちゃん!」「あっ俺は、大丈夫だぞ。それよりも、手伝ってくれ。少し大きめの野営地を作る!」
顔や腕についているのは、返り血で俺は一切の攻撃を受けていない。野営地を作って、迷宮ダンジョンの攻略を開始しよう。
「わかった」「うん!」
野営地を作り終えた事を、ハンスに告げると、近くまでギード達も来ているらしいので、合流してから、ノース街まで送っていくと言ってくれた。二人なら安心出来る。俺達は、そのままツヴァイ迷宮の5階層まで移動する。男が居た部屋とは違う場所に、やはり同じように、魔法陣の後が存在していた。アインス迷宮と違うのは、野盗達が根城に使っていた為に、多少でも魔力が注がれていたのだろう。もしかしたら、生き返っているのかと思ったが、そんな事はなかった。同じように、魔法陣に魔力を充填していく。心持ち、アインス迷宮よりも少ない魔力で、魔法陣が動いた。
やはり、仕組みの違いは無いようだ。アインス迷宮と同じ手順を繰り返す。
テディに管理を任せて、次の迷宮ダンジョンに向かう事にした。中にあった物は、そのままにしてある。後日、調査する事にした。
今は、無性に暴れたい。殺したいではない。暴れたいのだ。暴れるのが無理なら、身体を動かして、心を空にしたい。
次のドライ迷宮までも同じくらいの距離だったが、3時間程全力疾走したら到着した。今度は、小山程度の山肌にある穴が迷宮ダンジョンだ。
場所はすぐにわかったが、クリスが書いた注意書きに、時々魔物が居る事が確認されていると書かれていた。
俺を戦闘に、ヒルダ、ナーテ、フルールとエステルの順番で迷宮ダンジョンに入る。やっと、攻略らしい闘いがあるのかも知れない。

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