【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

領地改革.4

--- ナーテ Side ---にいちゃんが用意した合体するゴーレムを携えて、おいら達は最初の迷宮ダンジョンに向かった。
王都から、東門を出て、街道を少し行ってから森に入るらしい。王都には、にいちゃんがゲートを繋げて、移動した。
にいちゃんは、王都で少し用事があるとの事で、一旦別れた。3時間後に、東門で待ち合わせをする事になった。おいらは、神殿に顔を出してから、ヒルダ姉ちゃんとフルール姉ちゃんとエステルで、冒険者ギルドに向かう事にしている。依頼は受けないが、道中で出来そうな事がないか探してみる事にした。
冒険者ギルドの位置は、以前にも来ているので知っていた。ノース街に冒険者が移動してしまったからなのか、人が少ないように感じてしまう。依頼の数も少なく感じる。
「なぁヒルダ姉ちゃん」「・・・うん。そうね。アルノルト様を待っている間にと思ったけど、難しそうね」「そうじゃのぉそれに・・・ほれ・・・」
フルール姉ちゃんが目線を動かした先には、冒険者風の男性が3人こちらを見ている。ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「(ナーテ。表に出たら、一番近い路地を曲がりなさい。エステル。ご主人様からゴーレムを預かっているから、男たちが私達の後を付けてきたら、後ろで合体して進路を防ぎなさい)」「(うん。おいらのボイドを呼ぶ?)」「(どうします?ヒルダ様。見た感じだと、十分取り押さえられると思いますが?)」「(そうですね。ナーテ。ボイドを呼んでちょうだい。フルールを守って、私とナーテで、対応してみましょう。精霊神の加護がどの程度か見極めるのに丁度いいでしょう)」「(うん!)」「(解りました。私は、もしもの時の為に、詠唱をおこなっておきます)」「(そうね。頼みます)」
ヒルダ姉ちゃんは一息入れてから「(それでは、ゴミ掃除を開始しましょう)」
まずは、おいらが先に出ていく、ボイドを呼び出す時間が必要だからだ。最初の角を曲がってすぐの所で、ボイドを呼び出して待機させる。すぐに、ヒルダ姉ちゃんとフルール姉ちゃんがやってきた。エステルは、上空に留まって、何か合図を送ってきた。やはり、男たちが後を付けてきた。
ヒルダ姉ちゃんが角を曲がった所で、走って、前に回り込もうとした。おいらは、慌てて姉ちゃん達の所に向かった。
「ガキには様はない!ってよく見りゃ上玉じゃないか!奴隷商に売ったら、いい値段で売れそうだな!」
そんな下品な事を言い出している。一応、おいらもヒルダ姉ちゃんに掴まって震えるフリをしているが、全然怖くない。これなら、にいちゃんが怒った時の方が怖い。
「ナーテ。エステル。もういいですよ」「はぁーい」「了解!」
ボイドを呼び出す。エステルもゴーレム合体して、男たちの退路を断つ。
「なっ!」「さて、どうしますか?」「どういう意味だ!」
男が凄んできているけど、ヒルダ姉ちゃんもフルール姉ちゃんも、動じている様子はない。それどころか、可哀想な人を見るような目つきで眺めている。
「貴方たちのような人がまだ居たとは驚きですね。どこかの組織に属しているわけではないようですね」「はぁぁ何言っているこのアマ!!おい!いい気になるなよ」「”いい気”そんな気分じゃありませんよ。最悪な気分ですよ。躾のなっていない、野良犬に吠えられて、最悪な気分ですよ」「あらあら。それでは、野良犬に失礼ですよ」「そう言えばそうですね。ごめんなさい。ゴミや蛆虫と同列に扱われては、野良犬も怒ってしまいますわね」
「・・・なにぃぃぃ俺達は、野良犬か!!」「はぁ何言っているのですか?野良犬に失礼ですよ。謝って下さい。いえ、謝らなくていいので、二度と言葉を離さないで下さいますか?息が臭いですし、こちらが恥ずかしくなってしまいます」
ヒルダ姉ちゃんが、いい切った。男たちは、やっと馬鹿にされているのが理解できたのか、ふざけるなとか今までと変わらない事を言っている。そして、やっと腰に下げていた武器に手をかけた。二人は、剣を下げていて、一人が杖の様な物を持っている。剣士二人と魔法使いというところだろうか?
「ふざけるな。お前たちを捕えて、奴隷商につれていけばいいだけだ。粗野前に味見はさせてもらうけどな。顔は傷つけるなよ。足や腕なら無くてもなんとかなる!」
「エステル。魔法使いを攻撃!」
「ボイド。結界!」
おいらと姉ちゃん達の前に、防御結界が展開される。エステルが、魔法使いに斬りかかろうとしている「エステル。殺しちゃ駄目!」
フルール姉ちゃんから命令が飛ぶ。おいらとヒルダ姉ちゃんは、ステータスシートに配置していた、聖獣を呼び出す。そのままだと攻撃も何もしないので、刀にまとわす。
冒険者の男が、切りかかってきたが、展開している結界を破る事は出来ない。そのまま剣が弾かれる。体制を崩した所で、聖獣を纏った刀で斬りかかる。男は、剣で受けるが、性能差が有りすぎる。剣はもろく砕けた。
男たちは、一歩後ろに退いたが、そこには、すでに戦意喪失で地面にうずくまっている。魔法使いの男が居た。男たちは、剣を手から離して、命乞いを始めた。
時間にして、5分もかからなかっただろう。多分、挑発していた時間の方が長いくらいだ。
”ピィー”甲高い音が聞こえてきた。守備隊が来たのだろう。
「あ!!」「ナーテリンデ!ここで何を・・・ヒルデガルド様?それに、フルール殿?」「私も居るよ!」ゴーレム合体を解いたエステルが答える。
「ギード兄ちゃん。あれ?なんでまだ、王都に居るの?」「あぁハンスの関係で・・・な。それよりもどういう事なのか説明してもらえますよね?ヒルデガルド様?」
男たちを、拘束しながら、ヒルダ姉ちゃんが、ギード兄ちゃんに状況説明をしている。どうやら、ギード兄ちゃん達は、偶然近くを通りかかった所で、冒険者ギルドの受付嬢から、3人の女の子が、冒険者崩れに襲われるかも知れないと言われて、辺りを探し始めた所だったらしい。
男たちは、ギード兄ちゃんにつられて、王城の地下に直行らしい。死刑にはならないらしいが、それなりの罪にはなるらしい。それから、男たちが命乞いをしている時にもらした、奴隷商に、今からギード兄ちゃんと急襲する事が決定した。どうやら、この奴隷商は偽王とも繋がりが有ったようで、刈り取れなかったゴミという事だ。ギード兄ちゃん達だけで行くと言っていたが、商品が居たほうが、相手が油断するのではないかという事で、ヒルダ姉ちゃんとフルール姉ちゃんとおいらが囮になる事になった。まぁ店に入って、奴隷商だと解った時点で、暴れていいと言われた。
にいちゃんとの待ち合わせ時間までは、十分時間があるが、少し急いで、奴隷商を壊滅に追い込んだ。どうやら、帝国から流れてきた奴隷商の様だ。ユリウス兄ちゃんやにいちゃんが、城門を封鎖して、外から入ってくるのは当然だけど、外に出ていく方も厳しくしてしまったので、逃げ出せなくなってしまったようだ。
待ち合わせまで、30分位になっていたので、後をギード兄ちゃんにお願いして、おいら達は食料を調達して、待ち合わせ場所に向かった。
「おぉぉ!」
にいちゃんがクリス姉ちゃんと一緒に待っていた。
「おつかれ!」「ヒルダ。お疲れ様。奴隷商を潰したのでしょ?」「え?あっ・・・うん」「ヒルダ。大丈夫だと思ったのでしょうけど、連絡位してもよかったのではなくて?」「・・・ごめんなさい」「謝る相手が違いますわよ」
ヒルダ姉ちゃんとフルール姉ちゃんが、にいちゃんの方を向いて、謝っている。おいらも慌てて、頭を下げる。
「加護を試しておきたかったのだろう?それでどうだった?」
その言葉を聞いて、ヒルダ姉ちゃんが、にいちゃんに抱きついた。ごめんなさいと言っている。
「もういいから・・・さぁ行くか!クリス。そういう事で頼むな」「はい。行ってらっしゃい」
--- アルノルト Side ---ギードから連絡が入った、ヒルダとフルールとナーテが、冒険者に襲われそうになって、返り討ちにしたという事だ。
『アル。お前、なんて物をもたせるのだ?』「何のことだよ?」『冒険者の剣が砕けているぞ』「へぇそりゃすごいな」『おまえじゃないのか?』「あぁそれは、ヒルダとナーテが持っている加護の力だと思う。それから、さっき言っていた、奴隷商にも行くのだろう?」『当然だ』「それなら、多分、ヒルダもフルールも一緒に行くと言い出すだろうから、悪いけど、連れて行ってやって欲しい」『いいのか?』「あぁ囮になるとかいい出すだろうけど、ギードが一緒なら安心出来る」『わかった。無理だと思ったら、帰らせるからな』「それでいい。頼むな」
電話を切った。家の姫君は、じっとしていなかったようだ。
「アルノルト様」「あぁ悪い。ギードからで、ヒルダ達が、冒険者に襲われて、返り討ちにしたら、そいつらが奴隷商につながっていたらしい」「え?大丈夫だったのですか?」「誰が?冒険者は、怪我したらしいけど、命は大丈夫らしいぞ」「違います!」「あぁ家の姫君達か?」「そうですわよ」「大丈夫だぞ。これから、奴隷商に乗り込むみたいだからな」「え?いいのですか?」「クリス。お前に、ヒルダが止められるか?もし、止められるのなら、やり方を教えてほしい」「・・・・無理ですわ」「だろう。それに、ギードも居るし大丈夫だろう。そう言えば、ギードと言えば、ハンスの気持ちに、イレーネが答えたらしいな!」「えぇ今、その手続をしているところですわ」「そうか、ギードとハンスは、男爵なのか?」「そうなりますわ。寄り親が居ないのが困ってしまいます」
しまった・・・。
「へぇそうなのか?おっ俺は、そろそろ、待ち合わせ場所に向かうな。それじゃぁなクリス!攻略したら連絡するからな」「いえいえ。アルノルト様。少しお待ち下さい。まだ2時間近く有りますわよ」「いやいや。忙しいクリスの時間を、俺ごときが使うわけには行かないからな」「そうですか・・・それなら単刀直入にいいますね。ギードとハンスの寄り親になってくださいませんか?」「・・・・嫌だと言えば断れるのか?」「えぇ可能ですが、その時に、より魅力的な提案をいただく事になります」「・・・わかった、でも、二人に与える領地なんてないぞ!」「それは大丈夫です。二人は、領地を持つ必要はありません」「そうなのか?」「えぇ二人も、望んでいませんので、王都の中に屋敷を構える事になります。今後の事はわかりませんが、二人には、王都守備隊を率いてもらう事になります」「へぇそうか・・・それなら、別に寄り親は必要ないよな?」「・・・そうですが、二人に寄り親が居ないと、子爵家辺りが寄り親になろうと、近寄ってくるかと思います。その為に、形だけでも、アルノルト様のノース=ライムバッハ家の依子の形にしておきたいのです」「・・・断っても駄目だろう?俺は、何もしないぞ・・・ってよりも、出来ないぞ。それでもいいのだよな?」「えぇ構いません」「わかった・・・。手続きを進めてくれ」「良かったですわ。少し時間がかかりますので、迷宮ダンジョン攻略後にでも、お話が出来ればと思います」「はいはい。仰せのままに!」
それから、ユリウスにも面会をして、迷宮ダンジョンに行く事を告げた。活気を取り戻しつつある街中を歩いて待ち合わせ場所に向かう。偽王のやらかした事で、区画整理がしやすくなったと、ため息混じりにクリスが呟いている。そして、難民として生活したノース街の方が便利だったと、領民が言い出す前に、同レベルまで持っていく事にしていると言っていた。
あちらこちらで、修繕工事や大規模や区画整理が行われている。それらを行う為に、資源も運び込まれている。全てがノース街経由になっている。地方は、領地が倍増した貴族が増えてしまったので、そちらでも同じように整備を行わなければならない事が多いのだ平穏無事なのは、ノース街とライムバッハ領だけという事になる。
「そういやぁクリス。カルラ達はどうした?」「どうしたじゃありませんよ。マナベ商会で商売していますよ」「え?そうなの?」「資金提供をしているのでしょう?かなり儲けているみたいですわよ」「へぇ迷宮ダンジョン攻略が終わったら、王都のマナベ商会に顔を出すっと伝えておいてくれ」「はいはい。わかりました」
クリスと二人で、東門で待っていると、三人が走り寄ってきた。何やらクリスは怒っていたが、無事で来たのだから問題ない。
ヒルダとフルールが頭を下げてきた。それに続いて、ナーテも謝っている。
別に自分たちで安全だと思ったのだろうし、実践で加護を試してみたかったのだろう。怪我一つない。「加護を試しておきたかったのだろう?それでどうだった?」
ヒルダが、満面の笑みを浮かべて、抱きついてきた。耳元で、「ごめんなさい。今度から、先に連絡します」「あぁそうしてくれ」
ヒルダを地面に降ろした
「もういいから・・・さぁ行くか!クリス。そういう事で頼むな」「はい。行ってらっしゃい」

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