【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

冒険者

無事宿屋を見つけられた。今回も、3つのベッドがある部屋だ。もういい諦めた。人間、諦めが肝心な事もある。
ユリアンネとヒルダとルトは、商人に話を聞くために、道中で知り合ったバロワンさんの所に顔を出してから、商人ギルドに行く事になる。アンとラウラとカウラは、冒険者ギルドに行く事にしている。
宿屋には、俺をナーテが残る事になった。俺は、少し『98』の機能や携帯電話の確認をしておきたいと思っていた。ナーテは、もともと共和国の人間であり、この街がもともと住んでいた街と近い事もあり、知り合いが居ないとも限らない。今ここに居る説明をするのが面倒だという事もあるが、余計なトラブルを避けるために、宿屋で俺と一緒に篭もる事になった。
先に連絡だけはしておこうと思っている。携帯電話を取り出して、ユリウスに電話をかける。
「あっアルノルト様」「クリスなのか?ユリウスは?」「ユリウス様ならカール様と領地を見に行っているよ。」「そうか、それなら余計に、携帯を持たせないといざって時に困るだろう?」「そうですけど、今日は、先生が一緒に居るから、先生に連絡したら、ユリウス様に連絡できますわよ。」「まぁいい。そうだ、俺達は、共和国のバックハルムに着いた。ユリウスにそう伝えておいて欲しい。」「解りましたわ。」「クリス。頼むな。」「えぇわかりましたわ。それにしても、これは便利ですわね。」「そうだな。急な連絡にも使えるからな。」「なるべく、ユリウス様にも持たせるようにいたしますわね。」「そうしてほしい。あと、ギルにも連絡しておいて欲しい。」
電話を切ると、ナーテが不思議そうな顔で見ていた。「どうした?」「ん?今のは、クリス姉?」「そうだよ。ナーテも何か話したかったのか?」「ううん。本当に、遠くに居る人と話が出来るのだね」「あぁ今度、ナーテも話してみるといいよ」「うん!」
「そうだ。ナーテ。ルトかラウラが飲み物か、食べ物を用意していないか、知らないか?」「ん?準備はしてあるよ。」「そうか、ありがとう。」「まだ、帰ってくるまで時間があるだろうから、お茶でもして待っていようよ」「うん!」
携帯電話の機能も少し整理しておきたい。メール機能もあるようだが、文字入力が少しむずかしい。今は無くても困らないから、入力が出来る事だけ確認できれば十分だGPSにあたる機能はなさそうだ。電話が出来るだけだとおもっていいと思う。後は、ToDoの管理位はできそうだ。俺だけでも使ってみる事にする。
少し携帯電話で遊びすぎたか?ナーテを見ると、持ち込んできた魔法書を読んでいる。これなら暫くは大丈夫だろう。
俺も、ナーテにならって魔法書を読むことにする。フランケンシュタイン伯爵の所にあった書物は、記述が古かったりしたが、俺が欲しかった情報が書かれていた。加護別の詠唱の事が書かれていた。書物としては別々になっていたが、加護で調べる事が出来るので楽が出来る。それに、リファレンスっぽくなっているので、読むというよりも調べる事をベースに考えられている。
加護毎の書物は、俺が全部預かる事にしている。かさばる事は、かさばるが、ステータス袋には余裕があるし、俺のステータス袋が一番容量あるのも間違いない。その他にも、初級魔法の事が書かれている物を含めて数冊持ち歩くようにしている。
ナーテもそのうちの一つで今は水の加護の書物を読んでいる。ナーテ位の年齢で、魔法の書物が読めるくらいの識字が出来るのは珍しいと思うが、ナーテは優秀だから当然なのだろうな。それに、ルトやラウラが教えたのだろう。
本読みながら、皆が帰ってくるのを待っている。最初に帰ってきたのは、アンとラウラとカウラだった。
「アル。ダメだね。帝国の商人は多いけど、探している二人は見つけられそうにないよ」「そうか・・・。」「あっでも、ナーテの村を探していたという商人が居たのは確認できたよ。」「そうなのか?」「うん。でも、ここ数週間って所だから、該当の二人じゃないと思う。」「そうか、でも気になるな?」「ナーテ。ナーテの村には、なにか特産物とか有ったのか?」「う~ん。前にも言ったけど、湖からの魚と森での狩りと農作物だけだよ。時々、王国や帝国からの商人が、”貝殻”を買いに来ていたけど、そのくらいだよ。」「貝殻?」「うん。食べ終わった貝殻を集めて置いておくのだけど、その中で時々、内側が綺麗な貝殻が有ったりして、それを買いには来ていたけど、父ちゃんの村よりも、対岸にある村の方が、貝が沢山取れるから、そっちにいく商人のほうが多かったよ。」「そうか・・・アン。他には?」「ラウラとカウラが、冒険者ギルドで、いろんなパーティに勧誘された位かな」「へぇそうか・・・。それで、そのパーティにはしっかりお礼をしたのだろうね?」「もちろん。冒険者ギルドの闘技場を借りて、ラウラとカウラに勝てたら”考えてあげる”という条件で、8PTほど片付けてきた。」「それは、それは、大変だったな。」
「ううん。アル兄ィ。全然、弱っちいのしか居なかったよ?」「そうなのか?ラウラ?」「はい。ギード殿やハンス殿より弱ったです。」「なるほどな。それで、アン実際には?」「そうだね。そんなに強いPTは居なかったのは本当だよ。ランク7が最高だったからね。」「そうか、それなら、カウラ1人でもなんとかなったかもしれないな。」「うん。やっぱり、アル兄ィが一番強いよ。」「そうか、ありがとうな。」
「なぁアン姉。ギルドランク7って中堅だよな?」「そうなの?ナーテは物知りね。」「・・・。ラウラ姉。魔法は使ったの?」「いえ、そんな必要もありませんでしたから、それに、アル様がおっしゃっているように、カウラ1人で十分対応できそうでした。全員一緒だとしたら、私も出ないとならなかったですが、PT単位でしたし、危なげなくこちらには怪我なく済みましたよ」「え?」「ナーテ。あの二人が特別だと思っていいのですよ。私は、流石に1人でとは行かないでしょう。」「そうかにゃ?アンも、相手を殺して良いって条件なら、1人で勝てると思うけどにゃ?」「そうですね。配置魔法を使っていいのなら、出来るかも知れないですけどね。」
「アン。ラウラ。カウラ!」
いきなり、ユリアンネが部屋に怒鳴り込んできた。帰ってきたようだ。
「おかえり、ユリアンネ。何か情報はあった?」「えぇ有りましたわよ。冒険者ギルドで、王国の商人についてきた護衛の冒険者が、言い寄ったPTを全滅させたって街中で噂になっていますわよ」「へぇ情報伝達が早いのだな。それは、見習わないとな」「お兄様。少しは、危機感を持って下さいまし」
ヒルダとルトも部屋に戻ってきた。「ラウラ。防音と遮音をお願いします。」「あっはい。」
ヒルダがラウラに母音と遮音を頼んでいる。何か、有ったのだろう。その上で、「ルト。防御結界を作ってくださる?魔法に対する物だけでいいわ。私が物理攻撃の検知結界を作ります。」
「ヒルダ。何か有ったのか?」
「えぇそうですわね。」
ヒルダの話は完結にまとまっていた。バロワンさんの所に顔をだして、道中のお礼を言いに寄ったら、流石は商人、すでに、マナベ商会とライムバッハ家の事を調べていて、ヒルダの事も調べ上げていた。それで、今後も良いおつきあいをしたいと言われた。それ自体にはなんの問題もない。むしろ、近隣の地図は情報を仕入れられた。ここまでは良かった。帝国の商人の話も聞けた。ただ、これは、冒険者ギルドでアン達が聞いてきた事とそれほどの違いはなかった。違うのは、ナーテの村が最終的に襲われたのは、湖の対岸にある村の者達である事が解った。
その後、その襲った村の者達も行方不明を含めて、村人全員が居なくなってしまっていた。ナーテの村と同じ事になってしまっていると言われている。数名、街や近隣の村に逃げた者が居たらしいが、その後の足取りは一切つかめていないと言われている。
そして、肝心の帝国の軽薄そうな男と真面目そうな男二人組の商人の話は一切上がってこなかった。二人の姿を見たという話も出てきていない。
「にいちゃん・・・。」「ナーテ。確認するまで、何が起こったのかわからない。それに、おまえが二人を見たのは間違い事実だ。俺がそう信じている。おまえが、自分の事を信じないでどうする。」「・・・ありがとう。にいちゃん。おいら。」「大丈夫だ。ナーテ。俺・・・いや、俺達は、おまえの味方だ。何が有ってもだ!」「うん。にいちゃん。ありがとう。」
泣きそうな顔をごまかすためなのか、ナーテは俺に飛びついてきた。それにしても、ナーテは男の子にしても華奢だな。それに、少し女の子っぽい匂いもする。女が多い所で生活しているからしょうがないのか?俺は、ソッチのほうが心配になってきた。
「・・・。」「・・・・。」「それで、ヒルダ。ユリアンネ。他には?」「あっそれからですわよ。」
ユリアンネが話しだしたのは、冒険者ギルドでアンとラウラとカウラが大暴れした話だ。女性冒険者が大々的に宣伝したらしい。なんでも、態度が悪い男性冒険者に手を焼いていたのも事実で、鬱憤も溜まっていたらしい。その最たる奴らが、全員二人の少女に手玉に取られたのだ、溜飲を下げる意味でも大々的に尾びれ背びれ付けて話しまくった様だ。ギルド側もいい薬だと思ったのか、女冒険者が話すのを止めなかったらしい。それで、一気に街中に広がったのだ。街の中でも、素行が悪い冒険者として、有名だったらしい。
「へぇそうか・・・。」「へぇ。ラウラ姉とカウラ姉は、悪者退治したのだね。すごいね!」「・・・ナーテ。そうだけど・・・。」
ナーテは何が気に入ったのか、俺に抱きついたままだ。俺も軽いナーテを抱き支える格好になっている。流石に、手が疲れてきたから、膝の上に座らせた。ナーテ位ならそんなに負担にもならない。後ろから抱きかかえる格好にはなったが、ナーテが嫌がっていないので、このまま話を続ける。なぜか、ルトは満面の笑みを浮かべているし、アンは少し複雑な顔をしている。ヒルダとユリアンネは明らかに拗ねている。
「それで、ユリアンネ。何があった?」「あっお兄様。その素行が悪い冒険者達が」「あぁそうか、ここを襲ってくるってわけだな。」「えぇここに直接来る事はないと思いますが、街を出た時に襲われるかもしれませんわ」「そうかぁそうかぁ」
「え?お兄様。なんで、そんなに嬉しそうなのですか?」「ユリアンネ。言った通りでしょう。アルノルト様は、トラブルとか、火事現場とか、修羅場が大好きなのですよ。命の削り合いは苦手でしょうけど、やっと出てきたトラブルに心躍らせているのですわ」「ヒルダ。それじゃ俺が、トラブルが大好きな変態みたいじゃないか?」「みたい・・・じゃなくて、そう申し上げているのですわ。はぁまぁいいです。それでどうしますか?ここで待機しますか?」「・・・。ヒルダの認識は取り敢えず。置いておこう。ラウラ。カウラ。そいつらの顔を覚えているか?」「はいにゃ。僕なら、匂いもたどれますにゃ!」「それは、それは、わかった、攻めに転じよう。待っているのは性に合わない。」「はい。はい。そうだろうとおもいました。アルノルト様。無茶はなさらないでくださいね。」「あぁわかっている。相手次第だけどな。それで、ユリアンネ。情報はそれだけじゃないのだろう?」「勿論ですわ。その素行がよろしくない冒険者達が根城にしている場所を聞いておきましたわ。」「それは、それは、勿論、それだけじゃないのだろう?」「えぇ私の眷属を数体。放っていますわ。」「ここがバレていると思っていいのか?」「どうでしょう。今の動きでは、そうではないと思います。ラウラとカウラが動くのを待っているという感じでしょうかね。お仲間を集めて、街中で監視しているようですわ。」「わかった。引き続き、監視を頼む。ラウラ。カウラ。二人も眷属を使って、俺達を追っている哀れな子羊を見つけてくれ」「かしこまりました」「はいにゃ」
ルトとアンにも眷属を使って、街中の監視を頼んだ。ある程度の情報が集まるまでは食事を取る事にした。
俺とラウラとカウラで、外の店に食事に行く事にした。勿論、囮の役目だが、俺達が動く事で、相手が動くのなら、それはそれで嬉しい。動かなければ、そのまま根城にしている場所に乗り込んでもいい。
ナーテの村に行く前に、後顧の憂いを立っておくことにしよう。
食事の為に、宿を出た。最初の事は、見られている雰囲気は一切なかったが、徐々に増えていった。店に入る時には、10名程度になっていた。ルトとアンに念話で離れていく奴が居たら、捕縛しておくように頼んだ。
捕縛したやつらからは、他に根城がないか確認したほうがいいだろう。もしかしたら、本物の盗賊とかとつながっていたら洒落にならない。
食事を終えて、宿に戻ろうとしたら、数名のガラの悪い奴が行く手を阻んだ!(キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!。やっとイベントだ!)

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