【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

ベルリッツ

王都を出てから、少し歩いた所で、街道から横に逸れて森の中に入った。少し入れば、獣も出てくるし、採取対象である薬草も生えている。
森の中を進んで、少し開けた場所にたどり着いた。ヒルダを運ぶ籠を造ろうかと思って準備を始めた。「アルノルト様。いえ、あなた!」「ヒルダ・・・。まぁいい。それで何?」「はい。籠ではなく、あなたが私を抱えて走る事はできませんか?いわゆる『お姫様抱っこ』という奴です」「・・・出来るけど、まずやってみる?」『反対!』『反対!』「ユリもアンも黙って!」『お兄様は、私達を抱えて走るので、ヒルダを抱えて走るのはできません。』『アルの腕の中は、ユリウスかギルの物だからダメです。』「アンネリーゼの言う事正しくないが、たしかに、ユリアンネ達も居るよな。やはり籠を作った方が早いだろうな。ラウラとカウラは俺と同じ位に移動できるだろう?」『アル様。可能です。先行する事もできます。』『僕も!できるにゃ』「それじゃ、アンネリーゼとユリアンネとヒルダが入る位の物を造ろう。」
籠を”木龍”に作らせながら、皆のステータスを確認していく。
名前:ユリアンネ・フォン・ライムバッハ念話:1.00思考加速:1.00魔法制御:0.97精霊の加護 地の加護:1.00 木の加護:1.00 武の加護 守の加護 アルノルトの加護
名前:ラウラ・ゼークト念話:1.00思考加速:1.00魔法制御:1.39精霊の加護 風の加護:1.03  雷の加護:1.00 武の加護 守の加護 アルノルトの加護
名前:カウラ・ゼークト念話:1.00思考加速:1.00魔法制御:1.13精霊の加護 火の加護:1.00  炎の加護:1.00 武の加護 守の加護 アルノルトの加護
名前:ヒルデガルド・ローゼンハイム・フォン・アーベントロート異世界日本語変換:1.39念話:1.00思考加速:1.00魔法制御:1.89精霊の加護 闇の加護:0.78  魔の加護:0.15 光の加護:1.51  聖の加護:0.35 武の加護  剣の加護:0.37  弓の加護:1.01 守の加護
名前:アンネリーゼ・マナベ異世界日本語変換:1.01念話:1.00思考加速:1.00魔法制御:1.01精霊の加護 水の加護:1.00  氷の加護:1.00 武の加護 守の加護 ヒルデガルドの加護
それぞれの得意分野が、はっきり別れている。ヒルダが光と闇の魔法や思考加速が使えるのにはびっくりしたが、チート能力者一歩手前という所なのだろう
名前:アルノルト・フォン・ライムバッハ[異世界日本語変換:1.75][鑑定:3.35]空間把握:1.00時間把握:1.00思考加速:1.05魔法制御:4.87精霊の加護 地の加護:2.18 火の加護:2.79  炎の加護:1.19 水の加護:2.35  氷の加護:1.35 木の加護:2.09 風の加護:3.11  雷の加護:0.75 闇の加護:0.78 光の加護:1.57 武の加護  剣の加護:0.97  刀の加護:1.81 [守の加護]アイテム:4/487 配置(1):23/99 配置(2):20/99 配置(3):6/99 配置(4):3/99
うん。俺自信が一番チートだ。それは間違いなさそうだ。皆を守る為にもこのくらいで丁度いいのかも知れない。
籠ができたので、3人に乗ってもらった。一番文句を言ったヒルダには、自分の魔力がなくなるまで、調整をさせた。ベルリッツまでは通常の移動では3日かかるが、俺が”風龍”と”雷龍”を使って移動すれば、1日で着くことが出来る。しかし、籠の中の事や、ラウラとカウラの事もあるので、少し速度を落として、1日半で着くように移動する事になった。夜間も移動する事にしたのは、訓練も兼ねている。この辺りの魔物や獣は王都の守備隊や兵の訓練で狩られるので、大型や強い物は少ない。この辺りで苦戦するようでは、クラーラ達の組織とぶつかった時に勝てないだけではなく、ユリアンネ達をまた失いかねない。そんな事は許される事ではない。その為にも、俺を含めて強くなっていく事にする。
ユリアンネとヒルダに聞いて確信したのだが、魔法制御と魔力は密接な関係には無く、魔力と体力はほぼおなじだと考えて良さそうだ。ただ、魔法制御が高いと上手く魔力が使えるので、徐々に使える魔法が増えていく事になると考えていいだろう。そして、ヒルダも実戦していたようだが、寝る前に、限界ギリギリまで魔法を使い続ける事で、魔力が増えて、使った事で魔法制御が上がる。ユリアンネに確認したら、そんな方法は確立されていないという事だ。訓練で、魔法制御が上がる事は確認されているが、魔力はあくまで、魔法制御が上がる事で上昇する物という認識がある。
今日から、ヒルダやラウラやカウラやアンにも実行してもらう事にした。今は、移動中なので”籠の中"で、ヒルダが限界まで魔法を使っていた。
ベルリッツとの中間地点よりも少し進んだ辺りで休む事にした、朝日が昇り始めるが、夜間通しで移動していたので疲れている。獣は、先行していたラウラが殆ど片付けてしまった。ラウラは水の加護から風の加護に変わって使いにくそうにはしていた。風や雷になれる為にも見える獣を狩っていた。おかげで、ステータス袋の中がすごい事になっている。どうやって誤魔化そうかというレベルになってしまっている。
”土龍”と”木龍”で、簡単な土でできた”かまくら”を作成した。アラームを仕込んだ結界も作成した。この辺りは、加護を持つそれぞれに教えながらやってもらった。そして、気がついたのだが、”俺が他の人間のステータスシートに配置出来る。”これは、その魔法で必要な加護を持っている前提が必要になるのだが、ユリアンネに”木龍”や”土龍”の配置ができたのだ。ユリアンネの希望で、”龍”ではなく、”木鳥”と”土熊”にはしたが、俺が作ったときよりもユリアンネが唱えた時がぬいぐるみっぽく可愛くなるのは、イメージの違いだろう。
魔道具で同じ事が出来るという事を聞いたので、出来るのではないかと思ってやってみたらできた。
どんどん魔法が複雑になっていく。さすがに複雑な物を、俺以外に配置しても使えなかった。何かが足りないのだろう。ヒルダやアンなら大丈夫だと思ってやってみたが、起動すらしなかった。
検証や実験は後で行うとして、今日は、結界の充実を図ってみた。まずは、全属性の加護を防ぐ盾で”かまくら”を覆う。闇魔法で、盾のどれかに攻撃されたら、アラームを鳴らす。”かまくら”に外部からの刺激が加えられたら、”かまくら”が、外部に向けて光る。あとは、中の温度を適温だと思った所で停止するので、その温度を維持する様にした。それと同時に、半径10m以内に自分たち以外が立ち入ったら、光が当てられるようにした。
これらを詠唱していくのは手間だがしょうがない。どこかに、魔法エディタみたいな物が落ちていないか探してみたくなった。効果を確かめながら、一つ一つ作って配置していく、そして、配置した魔法を連続で組み合わせて、違う魔法として配置する。こんな事を繰り返している。できた魔法を、皆にも配っていく。
気がついたら、なし崩し的に皆で一緒に寝てしまった。昼過ぎに、侵入者で目が覚めた。魔法が上手く作動してくれたようだ。カウラとラウラが"かまくら”から飛び出した。侵入者は、近くを通りかかった兎のようだった。獣肉は大量にあるので、殺さないで逃がす事にした。皆を起こして、まずは、ヒルダから水魔法で作った水で顔を洗って身体を清めさせた。一緒に入るとかいい出したので、頭にチョップを落としておいた。聖獣達は、そのまま水浴びがしたいという事だったので、大きな瓶を作って、水を張った。俺も風呂に入りたかったが、身の危険を感じたので、顔を洗って、身体を軽く拭くくらいにしておいた。今日にもベルリッツに着くだろう。そうしたら、一日ゆっくり休んで、公衆浴場にでも行けばいい。
水浴びの後片付けをした後で食事にしようと思った。聖獣はまだ俺の魔力が良いという事で、ヒト型になれるまでは、魔力を与える事にした。『アル様。お食事を、ヒルダ様が用意されると言っていました。もうすぐ出来ると思います』「え?ラウラ。それ本当?」『はい。ユリアンネ様とアル様の食事は自分で作ると・・・。』「どこで?辞めさせないと・・・。」『アル兄ィ。アル兄ィ』「どうした、カウラ。」『大変にゃ』「どうした?」『いいから、こっちに来てにゃ』
そこには、何の汁かわからないが、紫色をした汁から、モクモクと上がるなんとも言えない色の湯気と、その湯気を嗅いだのだろう、むせて動けなくなってしまった、アンとユリアンネ。
遅かった・・・。そう、ヒルダは子供の時と変わっていなかった。なぜか俺と同じ手順で作っても、ヒルダが料理をすると、得体の知れない物が出来上がる。日本に居る時に、”スライム”を作り出した事もある。鍋から這い出て、10分位動いてから、溶けてしまった。あれには正直心臓が止まるくらい驚いた。
「あれ?」「ヒルダ。お前・・・やっぱり、”チアキ”だな。今確信したよ」「酷いよ。おかしいなぁ」「またスライムでも作るつもりか?生態系を崩すかも知れないけど、自分で地中深くに埋めなさい。いいか、そのまま捨てるなよ。土壁で何重にも覆ってから、地中深くに埋めろよ。ユリアンネ。悪いけど、手伝ってくれ。魔法の訓練になるだろう。」『ゲホ。ゲホ。お兄様。解りましたは、生まれ変わって、今日始めて死を覚悟しましたわ。それも臭いを嗅いだだけで・・・。』『まったく、あいかわらずだね。生まれ変わったから大丈夫だと思ったけど、変わらない事ってあるのだね。』「ひどい・・・。ただ、シン兄に美味しい物を食べてもらいたかっただけなのに・・・。」「うん。解っているよ。でも、もう料理はしないでね。俺が作るから大丈夫。いい。約束だよ。」「ぶ~。でも、アルノルト様が抱きしめて、くれたらそれに従う。」「はい。はい。」
ヒルダを抱きしめて、頭を撫でながら、「気持ちは嬉しいよ。」だけは言っておく。
魔力切れ寸前まで、ユリアンネが地中深くに謎の物体を埋め込んだ。これから数年後に、この森に、毒が湧き出す泉が出来るが、それは今回の事とは関係ない。と思いたい。
瑣末な出来事はあったが、無事1日半でベルリッツに到着した。門番に話を聞くと、ユリウス達は8日前に通過していったという事だ。このペースならライムバッハ領の前で追いつく事が出来る。ラウラとカウラの成長具合から考えると、アンとユリアンネもそれほど遠くない時期に、1人で移動出来るようになるだろう。そうなったら、ヒルダの移動を考えれば速度はもっと出せるだろう。なんだか、自分が人外の者になっていくような感覚になってしまっている。
ベルリッツは、服飾の街と言うだけあって、服飾関係の店が多く立ち並んでいる。ユリアンネやラウラやカウラのドレスもここで用意してもらった。
まずは、とある1人がうるさいので、その店に寄って、既製品にはなるがドレスを買った。皇太子の娘だから、これよりも”いい物を持っている”だろうに、と思ったが、アンから念話で先に”そう思っても言わないよう”にと、言われてしまった。ヒルダとしては、俺から買ってもらったというステータスが欲しかった。
サイズ直しが必要になるという事で、明日の朝までには仕上げますということだし、今日は、予定どおり、ベルリッツで一泊する事にした。ユリアンネが、前に泊まった宿には風呂が有って気持ちよかったと言っていたので、その宿に泊まる事にした。所謂、高級宿屋だった。最初、ヒルダと二部屋と思っていたが、ヒルダが先に一部屋ベッドは一つでと言ってしまって、流されるままにその部屋になった。資金的には十分だったので、二部屋でも良かったのだが、念話で総攻撃を喰らっている間に決められてしまった。
風呂付きの部屋で、一泊で大銀貨8枚。食事別、食事を付けると、金貨1枚と言われた。1泊10万の部屋か・・・俺も偉くなったな。
店主に聞くと、ユリウス達もこの宿を使ったと言っていた。あぁ聞いておいていうのもおかしいけど、個人情報という考えは無いのだろうな。
部屋に入る前に、冒険者ギルドに顔を出して、簡単にできそうなクエストがないか確認する。パーティランクが11でできそうな依頼は、そんなになかった。一つ面白そうなクエストがあった。「おい。ヒルダ。これなんか面白そうじゃないか?」
ヒルダに見せたのは、【”街道の屋敷”の調査クエスト】だ。クエストの内容は、”ベルリッツからフェルロットに向かう中間地点から更に山の方に入った所にある屋敷で、変わり者が住んでいたが、ここ数日近くを通った商隊があの辺りで”リッチ”を見たと言っていた。真実はわからないが、調査を依頼したい。本当に、"リッチ”が居た場合には速やかに報告して欲しい。”と、なっていた。報酬:大銀貨で2枚/ギルドポイント5と、なっている。別に、路銀に困っているわけではないが、聖獣やヒルダの戦闘訓練にもなるしいいかなと思っていた。
「えぇ~。リッチってようするに、おばけでしょ。嫌だな・・・。」「そう言えば、おばけ怖がっていたよな。」「うう。アンだってダメだから、止めようよ。」「よし。多数決だな。」「あっ!」『アル様。私は、賛成です。』『アル兄ィ。僕も賛成。リッチでもワイトでもアンデッドでも僕が倒すよ』『お兄様。私も賛成ですわ。そもそも、ヒルダの”聖魔法”があれば、リッチでも簡単じゃなくて?』「そうだけど・・・怖いのは、怖いの!」「でも、多数決だから、決定でいいよな」「うぅぅ。しょうがない。」『アル。いいわよ。その代わり、どうなっても知らないからね。』
なんか、アンに脅された気分だが、気にしないで、ボードに貼られていた依頼表を持って、受付に移動した。ヒルダと二人で受付に言って、詳細な話を聞いたが、書かれていた以上の話は聞けなかった。受付を済ませた。この依頼は、報告は”当ギルド”にお願いしますと言われたので、一度戻ってくる必要がありそうだ。
受付を済ませて、道中で狩ってきた獣の皮の買い取りをお願いした。量が少し多いので、時間がかかるという事だったので、明日以降にまた来る事にした。
そこで一つの事実が判明した。ユリアンネとラウラとカウラが倒した獣は、俺が倒した事になっていた。これは、3人が俺の従魔扱いになっている事に由来するのだろう。アンが倒した獣は、ヒルダの所に入っていた。
宿屋の食堂で夕ご飯を食べて、部屋に戻った時には、いい時間になっていた。風呂のお湯は有料だと言われたが、自分で魔法を使って入れてくれても良いと言われたので、アンとカウラに二人で試しながらやってもらう事にした。カウラの魔法が強すぎて、一度かなり熱いお湯になってしまったが、アンが氷魔法で冷ました事で、丁度いい湯加減になった。湯船は広めで、大人が2人ゆったりと入れる位の浴槽だ。
ヒルダが、自分は調査の為に、魔法の練習をしておくと言ったので、先にお風呂に入る事にした。石鹸やシャンプーという物は無いが、お湯で流すだけでも大分違う。今度時間がある時に、石鹸の開発をしてみよう。ライムバッハ領でやってもらってもいいだろう。産業を産んでおけば、領地経営も楽に出来るだろう。
(ね。やっぱり、闇魔法だったでしょ。)(うんうん。しっかり寝ているね。)(久しぶりだよ。一緒に入るの・・・。)(え?いいな。私、初めて。)(そうだったの?ユリは?)(わたしも初めてですよ。お兄様。殆ど帰ってこられなかったから・・・。)(あの、私達も一緒なのでしょうか?)(いいよ。ラウラもカウラも一緒に入らないと・・・。)(でも、アル様に怒られませんか?)(ラウラ姉。アル兄ィと一緒に入りたくないのかにゃ?)(いえ、そんな事ありません!)(ラウラ。シン兄が起きちゃうよ)
(大丈夫みたいですね。よほど疲れていたのでしょう。)(うん。うん。癒やしてあげないとね。)(そうですね)
なんか周りが騒がしいな。湯船につかりながら、考え事をしていたら、心地よい温度で寝てしまったようだ。
誰か居るのか?なんだ、ヒルダ・・・か?「ヒルダ。何している!」「え・・・あっお風呂に入っているだけですよ。」「だから、なんで・・・。おい。ユリアンネ。アンネリーゼ。なぜお前たちが一緒に居るのだ?」『えぇとお風呂?』『お兄様と一緒に入りたかっただけですわ!』
「それに、ヒルダ。なんで、全裸で俺の上に乗ろうとしているのだ?」「えーと・・・・アンがこうしたら、シン兄が喜ぶって話していたのを聞いた気がするので・・・。」「アンネリーゼ!」『違う。違う。前の話。チアキずるいぞ。自分ばかり・・・。』
キャンキャン言い争う。3人の言葉を聞きながら、ラウラとカウラがオロロし始めた。
「あぁもういいよ。ヒルダ。取り敢えず。降りろ。」「はい。」
素直に従う。
「ラウラ。そんな所にいないでこっちに来い。それとも、お湯は苦手か?」『いえ。そんな事はありませんが・・・。』「なら、カウラも一緒に来い。いいよ。皆で入ろう。ユリアンネ。アンネリーゼ。ラウラ。カウラ。身体の大きさは調整出来るのだろう?」『はい!』『うん』『できるにゃ』『いいのですか?』「今日だけだからな。」「『『『『はぁ~い』』』』」
多分、守る気はなさそうだな。皆を布で拭いて汚れを落としてやってから、お風呂から出た。俺の事を洗おうとしたが、もう洗ったから大丈夫と言って先に出た。
今度、薄手の布が見つかったら、甚平でも造ろう。作務衣もいいが、この顔立ちと髪の毛の色だと、甚平や作務衣ではなくて、ガウンやローブだろうな。でも、寝る時には、甚平がいいな。
それから10分後。全裸のままヒルダがお風呂から出てきて、抱きついてきた。まだまだ女の子という体型だが全裸は不味いので、服を着るように言ったが、寝ていると脱いでしまうから全裸で寝ると言って、そのまま布団に入ってしまった。しょうがないので、俺は部屋にあったソファーで寝る事にした。パイプ椅子で寝るのになれてしまった前世から比べると、ソファーで寝るなんて快適な場所だと思いながら眠りに着いた。

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