【旧】魔法の世界でプログラム

北きつね

緊急事態

取り敢えず落ち着こう。『大きく鼻から息を吸って、口から吐く』ちがう。ラマーズの呼吸法じゃない。いいか考えろ。
俺の事を、”シン兄”と呼ぶのは、この世界には居ないはず。これは間違い無し。しかし、目の前の少女は、俺の事を”シン兄”と確かに呼んだ。
前世というか、地球に居た時には、”シン兄”と呼ぶのは、二人居た。忘れないが、忘れるくらい昔に居た。妹の千秋と彼女になった貴子だ。でも、千秋は俺が高校に上がった時に、貴子は高校卒業後に、死んだ。俺の死が47歳だから、千秋は32年前。貴子は30年前に死んでいる事になる。この世界への転生がどのくらいの確率なのか解らないが、千秋は俺よりも32歳年上でなければ辻褄が合わない。俺が今、15歳だから、47歳になっているはずだ?でも、目の前の少女はとてもそうは見えない。どうみても、12~3歳だ。
「あっ何か失礼な事考えたでしょう?」「え?いえ、それで、ヒルデガルド様は、どうしてここへ?」「ヒルダと呼んでください。旦那様。それとも、昔の様に"チー”と呼んでいただいても構いませんよ?」「あっ・・・。一つずつ聞いていいですか、キャラクターの重ねがけは混乱を招きます。」「勿論ですわ。」
「まず、『”わび”の品』とはどういう事でしょうか?」「言葉通りですわ。お父様・・・今は皇太子と呼んだ方がわかりやすいと思いますが、皇太子からの”わび”です。”わび”というのは、建前ですね。本音としては、”全属性の加護”を持ち”思考加速”と”鑑定”を持つような人間をつなぎとめる為の方便ですね。味方にいれば、心強いけど、敵ならばこれほど怖い者は居ませんからね。」「はぁそれは解りました。しかし、『”わび”の品』がヒルダ様というのは・・・。」「王家との繋がりでこれほど強い物はないと思います。」「それは・・・そうですが、ヒルダ様はよろしいのですか?」「私が望んだことです。」「私は、ユリウス殿下と友誼を結んでおります。それだけでは足りないとお考えだったのですか?」「まさに、それが問題だったのです。」「と、いいますと?」「ユリウス兄様の所に力が、アルノルト様中心に集まっているという事です。『シュロート商会。エルフの姫君。ドワーフの鍛冶職人。教会の聖女。』この4名は、ユリウス兄様に友誼を感じていますが、チートな”シン兄”には友誼も恩義も感じています。”シン兄”とユリウス兄様の利害は一致しなくなった時には、”シン兄”に力を貸すでしょう」「いろいろ突っ込みたいけど・・・しかし、それは憂がった見かたではないのか?」「そうかもしれませんが、違うとも言えません。貴族や王族とはそういう考え方をします。」「え?あっはい。」「それに、先程、ツェーザルを帰した時点で、もう私の輿入れは承認したと思われます。」「え?そうなの?そんな説明されなかったけど・・・。」「はい。していません。ですが今の時点で、私の降嫁は決定事項として認識してください。暫くは、婚約者という立ち位置になろうかと思います。あぁ私は”シン兄”が何人お嫁さんを作ろうが、私が”正妻”や”第一夫人”であれば文句はいいません。教会の聖女やエルフの姫君やドワーフの鍛冶職人もまとめて”嫁”にしても構いませんよ。あぁでも庶子だけは辞めてくださいね。後々面倒な事になってしまいますからね。今まで、散々ハーレムフラグを叩き折ってきた”シン兄”のヘタレっぷりは、少し残念に思っておりましたわよ。」
「ヒルダ様。いろいろ突っ込みたいけど、突っ込んだら負けの様な気がしますので、スルーしますが、”婚約”を破棄する事はできませんか?」「そうですね王国を出る・・・は、本当に出てしまいそうですけど、王国を出ていったとしても、私はついていきますので無理です。」「はぁ」「王家に喧嘩を売る。これも喧嘩を売りそうですが、喧嘩を売っても私は”シン兄”の味方をしますし、無駄です。」「・・・」「あぁあと効果的な方法として、”正妻”を別に決めるという方法もありますが、その場合は”元皇女”としての権力を使ってでも、その妻候補や実家とじっくりとお話し合いをします。ですので、お勧めいたしません」「・・・わかった。どう有っても、破棄はできそうに無いのですね。暫くはと言っていましたが、婚約状態でひっぱり続ける事もできますか?」「正直、お勧めいたしません。」「なぜでしょう。」「アルノルト様は目立ちすぎました。」「え?そうでしょうか?」「はい。今や、王家だけではなく、大貴族だけではなく貴族社会や、豪商や商家。はたまた、町娘までの注目の的です。」「え?なぜですか?私は、カールが成人したら、ライムバッハ家より除籍して、平民になるつもりですよ」「あっそうでしたね。でも、それはほぼ無理でしょう。」「なぜですか?お約束も陛下から頂いております。」「簡単な話です。カール殿のライムバッハ辺境家と、アルノルト様の”ライムバッハ家”を別々に作ってしまうからです。確かに、除籍されるのでしょうが、平民になれるとは、約束していなかったと思います。」「あっ・・・しまった。除籍=平民だと思っていた。」「はい。もうそれで陛下は手続きを追えていますし、明日にでも、臨時閣議で採決されるでしょう。アルノルト様のライムバッハ家の爵位がどの辺りになるのかはわかりませんが、将来有望な貴族である事は間違いありません。小姑が一切居ない上に、紐は王家の皇太孫にしかつながっていないのです。それも”友誼”という曖昧な形で、です。」
「・・・あぁそうか、客観的にみて、与し易い奴だと思われているのだな。」「そうですね。それで、”マナベ商会”の実質的なオーナですからね。資金力もある。私との婚姻でこの辺りの雑音の殆どを消す事ができます。それは、アルノルト様にとって大きなメリットではありませんか?それに、わたしもユリアンネ様ほどではありませんが、この世界でも可愛い部類に入っていると思いますよ。」「そうだな。いや、そうじゃなくて・・・。あぁもういい。ヒルダ様が良ければ、婚約を致しましょう。まずは、婚約だけですよ。婚姻の約束まではできませんからね。」「えぇ十分ですわ。”シン兄”嬉しいです。やっと、シン兄のお嫁さんになれるのですね。」
本当に、いろいろ突っ込みたい。突っ込みたいが、藪蛇なのは間違いない。でも、これだけは確認して置かなければならない。
「ヒルダ様。」「ヒルダと呼び捨てにしてください。それとも、”チアキ”や”チー”でもいいですよ。」「千秋なのか?本当に?」「はい。真一お兄様。」
にこやかに笑って、ヒルダは抱きついてきた。
「やっとお会い出来ましたは、何年。何十年。待ったと思うのですか?本当に、シン兄は待たせすぎです。」「ちょとまった。なぜキスをしようとする?」
キスをしようとする。ヒルダのおでこを抑えた。
「親愛のキスですわ?それに、もう妹では無いですし、遠慮しなくていいのですよね?」「・・・落ち着け、チアキ。まずは、事情説明をしろ。話はそれからだ。」「しょうがないですわね。シン兄は、何を聞きたいのですか、私もそれほど詳しいわけではありませんよ。12年前に聞かされただけですからね」「12年前?産まれた時か?」「はい。そこで、エリ。エトと言う精霊に話しかけられて、アリーダ様にお会いしました。」「・・・・同じだな。それで、なんで、チアキの方が年下なのだ?年齢的には、35歳ほど年上にならないのか?」「ブゥー。私は、シン兄の妹なので、年下に決まっています。アリーダ様が言うには、"神の計らい”だそうです」「まぁいい。確かに、47歳のチアキには違和感が出るからな。」「うん!47歳の鈍感なシン兄はかっこよかったけどね。」「は?なんで?」「アリーダ様に見せてもらいました。火消し部隊の事も貴子さんの事も全部知っています。それに、パパとママの事も・・・・。」「そうか・・・ごめん。」「ううん。シン兄が謝る事じゃないよ。」
「それで、なんで、俺が”真一”だってわかったのだ?」「シン兄って時々マヌケな事を聞くよね?」「は?あぁアリーダ様か?」「うん。でも、聞いた時には、半信半疑だった。アリーダ様は好きに生きればいいと言ってくれたから、アルノルト・フォン・ライムバッハの事をいろいろ調べたりしていた」「そうか・・・」「決定的だったのは、”マナベ商会”で”リバーシ”や地球のゲームを売り始めた事。」「そりゃそうか・・・チアキならすぐに気がついただろうな。」「うん。それで、アリーダ様の言っていた事が正しいって確信して、次はどうやったら、アルノルト・フォン・ライムバッハのお嫁さんになれるのかを考えていた。」「・・・」「私にもそれほど多くの時間が有るわけじゃなかった」「え?どういう事だ?」「ああぁ死んじゃうとかじゃないから安心して、私にとったら、死ぬより辛い事だけど、後数年・・・早ければ、来年辺りに、どっかの馬鹿貴族に輿入れする事になる。」「・・・。」「そんな時に、ユリウス兄様とお祖父様が、アルノルト様の事を話していて、お父様が少しだけ危機感を持っているのがわかりまして、お父様にご提案差し上げたのです。お父様が納得する力を示せば、私が輿入れして、王家との繋がりを作ってはどうか・・・と。」「そうだったのか・・・。それで、最後の質問にしたいけど・・・。チアキは、俺の妹だよな?父さんと母さんの子で俺とは本当の兄妹だよな?」「チアキはそうですね。それで間違いありません、遺伝子的にも近い関係ですわ」「よかった、実は、俺が拾われって事は無いのだな」「えぇありませんわ」「そうか、それならなんて”俺”と結婚する事が望みみたいになっているのだ?あんなに貴子と仲が良かっただろう?姉さんって慕っていただろう?」「・・・そうですね。地球の日本っていう狭量な場所では、兄妹では結婚できませんし、子供を作る事もタブー視されていました。」「あぁ」「それでも私は、シン兄が好きでした。兄としてではなく、異性として意識していました。」「は?」「私が8歳の時に、いじめられて帰ってきた時に、泣いている私を優しく抱きしめて、『チーが苦しいのなら、しなくていい。学校なんて辞めていい。勉強も俺が教えてやる。友達が欲しければ、俺が友達になってやる、彼氏が欲しければ、俺が彼氏になってやる。結婚したければ、俺が結婚してやる。俺は、全世界中がチーの事を悪く言っても、俺だけはチーの味方だ。』それだけが心の支えでした。」
泣き笑いだろうか、うっすら涙を浮かべた顔で笑おうとしている姿が、幼かったチアキと重なる。
「貴子姉も私と同じだったのだよ。シン兄しか頼れなかった。だから、私達はお互いの事を認めていたのだよ。世界で一番大切なのは、シン兄で、世界で一番怖い事はシン兄に嫌われる事だった。」「・・・貴子も・・・なのか?」「うん。薄々気付いていたのでしょう」「あぁそうだな。それよりも、本当にチーなのか?」「まだ疑うの?それなら、貴子姉との恥ずかしい事や、パソコンの中にある恥ずかしい写真や動画の事も話していいの?よくあんな事考えるよね。3日以上特定のコードが打ち込まれなければ、完全消去するプログラムなんて・・・。」
「あっ間違いない。お前は、チアキだ。俺の妹だ。疑って悪かった。」「うん。解ってくれればいいよ。」「あぁそれで、ヒルダはこれからどうするの?」「どうするって、アルノルト様と一緒に居る・・・・ですよ?冒険者として、あと、私のかわいい妹になるはずだったユリアンネや嫁候補だった、ラウラとカウラを殺した奴らに復讐する。」「なっ・・・。危ないぞ。」「うん。それは解っていますよ。その為に、いろいろやらなくてはならない事も解っています。ですが、アルノルト様と一緒に居るためならなんだってやります。もう置いていかれるのはイヤです。」「・・・・。わかった。」「ありがとうございます」「でも、無理だと思ったら置いていくからな。」「はい!」
なし崩し的な感じだが、婚約者ができてしまったらしい。それも、前世の妹だ。そのうちいい男が居たら、紹介して見ればいいか・・・。
「そうだ、ヒルダ。ユリアンネ達を紹介しないと、ならないよな。それと、埋葬をするなら、ライムバッハ領がいいだろうけど、神殿で清めて貰った方がいいよな?」「そうですね。私もそれほど詳しいわけではありませんが、この世界はアンデッドも居ますので、ゾンビ化してしまったら、バイオハザードの世界になってしまいますからね。」「おまえ、時折、地球の日本のネタを挟むけど、そんなに詳しいのだ?」「簡単な事です。死後。シン兄の近くで見ていましたから!」「なに?」「あぁそれと、電子的な情報にもアクセスしていましたから、かなりの事に詳しい自信がありますよ。チートの能力は・・・後ほどでいいですね」「あぁまずは、ユリアンネ達の事を考えよう。」
ヒルダを俺の部屋に案内した。布団に飛び乗って、”クンカ!クンカ!”しだしたので、頭にチョップを落とした。妹をこんな変態にしたつもりはない。
「ヒルダ。紹介する。ユリアンネとラウラとカウラだ。」
ヒルダは真面目な顔になり、深々と頭を下げた。
「お久しぶりです。ユリアンネ様。お兄様のお嫁さんは、私が頂きました。悔しかったら生き返ってください。はじめまして、ラウラさん。カウラさん。生前にはご挨拶ができませんでした、申し訳ございません。でも、安心してください。私がしっかりアルノルト様をお守り致します。」
「ヒルダ。いろいろ突っ込みたいけど、ユリアンネとか面識が有ったのだな」「えぇ沢山のぬいぐるみを自慢されました。後、お兄様のお嫁さんになると何度も聞かされていました。」「・・・。そのあたりは、藪蛇なのだろう?」「はい。乙女の秘密でございます。」「わかった。それよりも、3人を神殿に運びたいけど、手伝ってもらえるか?」「勿論です。」「アルノルト様。」「なんだ。あぁ言いにくかったら、シン兄でもいいぞ。」「イヤです。アルノルト様は、シン兄と呼ばせて、私が妹だと意識なさるつもりでしょうから、アルノルト様とお呼びします。」「感のいいのは変わらないのだな」「勿論です。30年以上、シン兄の研究と観察をしてきています。」「・・・・そうか・・・。」
「籠を作って、運ぶのがいいだろうけど、ツェーザルさんはもう居ないよな?」「え?表に居ますよ?」「だって、おまえさっき・・・・はぁいいよ。わかった、それじゃツェーザルさんに頼んで神殿まで馬車を動かしてもらおう」「解りました。」
”木竜よ。3人を包む籠を作成せよ””風龍よ。籠を運べ。我に続け”
「これが、アルノルト様の”左手に宿った龍”なのですね」「おまえな・・・どこで、そのフレーズを・・・。」「それは聞かないほうがいいと思いますよ。」
下に運んで、玄関を出ると、ヒルダが言っていた通り、ツェーザルさんが待っていた。ヒルダが乗ってきた馬車だと3人が乗らなかったので、寮においてあった他の馬車で向かう事になった。神殿に到着して、神官に話をすると、すぐに儀式を始めてくれると言っていた。精霊神の神殿で執り行われる事になった。参列者は、俺とヒルダだけだ。
『クスクス。』『やっときた。やっときた。』
え?エリとエト?
『覚えていた。』『覚えていた。』
アリーダ様もいらっしゃるのですか?
『アリーダと呼んでくれないと、話をしないと言っているよ』『言っているよ。どうする?どうする?』
・・・アリーダ。それで、話って?
時間が止まる感覚がわかる。ヒルダも目を、パチパチさせているから、状況はわかったのだろう。
『久しぶりですね。チアキさん。』「アリーダ。久しぶり!シン兄の動画ありがとう。赤ちゃんの時の暇つぶしに丁度良かったよ。」『それは良かった。』「え?ちょっと待て。なんで、チーは赤ちゃんの時に会っているのだ?」「え?だって、私、測定式は何回もやっているのだよ。初めての時は、産まれてすぐだったよ」『しんいちさん。もうしわけありません。本当は、先にチアキさんが転生してきたのですが、どうしても、貴方と一緒がいいと言われてしまって・・・。』「はぁまぁいいです。再度聞きますが、私とチアキ以外に地球の人は居ませんよね?」『はい。今はもういません。アース神やほかの神々からも言われていますのでもう大丈夫です。』「そうですか、それなら問題無いです。」「ねぇねぇアリーダ。今回はなに?新しい、シン兄の映像?」『いえ、違います。しんいちさん。いえ、アルノルト・フォン・ライムバッハ殿。私の都合に巻き込んでしまって申し訳ありません。貴方は本来であれば、数年後に、篠原夫妻の子供として生を受けるはずでした。勿論記憶は持っていません。日本で、株式会社マナベの2代目社長に若干18歳で就任するはずでした。』「え?いろいろ突っ込みたいけど、忘れる事にします。」『そうしていただければ幸いです。その罪滅ぼしに、今日は来ていただきました。』「え?」『うしろを見てください。』
後ろには、3人が横になっている。まさか・・・。
「まさか・・・・。」『残念ながらそれはできません。』「え?あっはい。そうですよね」『えぇ神でもそれはやってはならない事になっています。しかし、別の方法を取る事はできます。都合よく、聖獣のタマゴを3つと魔晶球に保存ができています。どうやら、本人もそれを望んでいるようです。後は、貴方次第です。アルノルト・フォン・ライムバッハ』「さすがに、今度は突っ込ませてもらいます。」『えぇ当然ですね。』「まず、聖獣のタマゴとは?」『3人が抱えているタマゴです。聖獣はご存知ですか?』「いえ?初めて聞きます」『そうですか、神殿の経典にも書いたのですが、もう忘れ去られているのかもしれませんね。聖獣は、”青竜”/”朱雀”/”白虎”/”玄武”の事で、玄武以外のタマゴでしょう。ちなみに、玄武のタマゴもここにあります。玄武については、かけの対象になっているので後ほど話します。』「はぁそれで、魔晶球とは?」『皆が持っている物で、魔力や精神や魔法を保存する器です。』「え?精神も?」『条件は必要ですけどね。3人とも条件は満たしています。』「生き返るのでしょうか?」『違います。貴方風に言えば、聖獣のタマゴに3人の意識や魔力をインストールする事ができます。』「それは・・・」『3人の意識を持った聖獣が産まれてくるという事です』「・・・。決断は、今、しなければならないのですか?」『そうですね。本当にギリギリでした。後、1日遅れていたら、聖獣のまま産まれて、アルノルト殿の従魔になっただけです。どうしますか?』「・・・・。」『3人は貴方と共にある事を望んでいます。』「わかりました。お願いします。」『わかりました。あぁヒルデガルド殿。賭けは貴女の勝ちです。玄武のタマゴは貴女に差し上げます。意識は、貴方の希望通り、”室町貴子”さんに、なっています。ご本人にも確認しております。是非にという言葉も貰っています。それでは、時間を戻したら、タマゴが孵ると思います。よろしくお願いします。』「ちょっと待て!今、貴子って言ったか?俺達二人ではなかったのか?アリーダ!」『さっきの段階では、二人でしたよね?それでは、また会いましょう。ごきげんよう』『バイバイ。』『さようなら、沢山の嫁で楽しそうだね!』
「おい。ちょっとまて・・・勝手に・・・。たちが悪いぞ!!アリーダ!!!!!」
時間が動き出す。俺の絶叫が神殿の中にこだまする。
神官の前で、ヒルダが持っていたタマゴが孵った。続いて、魔晶球がなくなって、3人に抱えさせていたタマゴが光ってから、割れた。神殿の神官ともなれば、聖獣の事は知っていたが、伝説の物だと思っていた。4匹?4人は、一瞬だけ神官の前に姿を現して、姿を消した。実際には、青竜ユリアンネは、俺の頭の上に朱雀ラウラは、俺の肩に白虎カウラは、足元に玄武貴子は、ヒルダの腕の中に居る。
神官は、聖獣が現れた事で、3人の魂が浄化されて、聖獣に連れて行かれたと大騒ぎしている。俺達は、そんな大騒ぎの神殿から静かに寮に戻った。
今日は、いろんな事が有りすぎて、疲れた、眠い。寝る。と言って、寝ようとした。当然の様な顔をして、4匹と1人が部屋に入ってきたので、追い出した。
キャラクターの重ね書きとイベントの重ねは話しを複雑にするだけでなんのメリットも無い!明日からどうしよう・・・・。なるようにしかならないのは解っているけど、面倒だから今日は寝よう。

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