草食系男子が肉食系女子に食べられるまで TRUE END

Joker0808

文化祭と新たな火種 7

「ゆ、雄介!!」
「ん? どうした優子?」
「今すぐ市役所に行こう!」
「は?」
 雄介は、優子の言っている意味がさっぱりわからず、間の抜けた声で聴き返す。
「なんで市役所なんだ?」
「それはもちろん婚姻……」
「良し分かった、お前の言いたいことは良く分かった」
 雄介は途中まで聞いたところで、優子の声に重ねて言った。 優子は目を輝かせながら「わかってくれたの!」と言い、雄介はそれに対して口を開いた。
「あぁ、よくわかった。誰か救急車を頼む、優子の頭がとうとうダメになった」
「どういう意味よ! 私はただ、市役所に婚姻届けを提出しようって、言おうとしただけなのに!」
「十分おかしいわ! 色々突っ込みどころはあるが、一番は……俺はお前とそういう関係じゃない!」
 ガーンという効果音が聞こえそうなくらい、優子は衝撃を受けそのまま固まった。 周りのクラスメイト達は、そんな二人を気まずそうに見守る。
「た、確かにそうだけど……だけど……このままじゃ……」
「なんだよ……」
 地面に膝を付き、涙目で何かを言おうとしている優子に、雄介は呆れた表情で尋ねる。
「雄介が他の子に取られちゃいそうなんだもん!!」
「はぁ?」
 雄介は優子の発言に「本当にこいつはどうしたんだ?」などと思いながら、呆れた表情で、優子に話しかける。
「あのな、俺みたいなのがモテるはずないだろ? それに、俺は最近までお前以外の女子の友達は居なかったんだ、そんな俺がモテるわけ……」
「う……だって……」
 優子はそう言いながら、先ほどまで雄介の話をしていた女性陣の方を向く。 すると、視線を向けられた女性陣は、優子の視線に反応するかのように、雄介に話しだす。
「あはは、ごめん優子。不安にさせた?」
「大丈夫だよ、さっきの優子の行動見て、私らじゃ勝てないってわかったから」
「でもなぁ……頑張って見るのもありかもね……」
 優子に向けて言葉をかける、クラスの女性陣。 雄介は何のことかさっぱりわからず、ただボーっと話を聞いていた。 しかし、優子はそうではない、もう既に優子が知る限りでも、雄介に好意を抱いている人間は、優子を含めて三人。 これ以上、ライバルが増えるのは、優子としては絶対に避けたかった。
「ねぇ、今村君」
「ん? なんだ?」
 そんな中、雄介に声をかけてくるクラスの女子が一人いた。 雄介はその子に尋ねられ、不思議そうな顔で、その子の言葉を待つ。 優子は、まだクラスの女性陣達と何やら話し込んでいる。
「今村君って、なんか変わったよね? やっぱり、優子の影響なの?」
「え? そうか? 俺は今までどうりだと思うが……ってか、なんでそこで優子が出てくるんだ?」
「いや、なんか最近、接しやすいって言うか……前は何考えてるか、わからなかったけど、最近は分かって来たって言うか……う~んなんて言えば良いんだろ??」
「学際の準備で、クラスの話したことない奴とかと、会話することが増えたからな……そのせいだろ?」
「う~ん、それだけじゃないんだよね……なんて言うか……今まで根暗だったのに、いつの間にかクラスの人気者になってました! みたいな?」
「余計に分かんねーよ。何が言いたいんだよ……」
 頭を悩ませる女生徒に、雄介は少し困ったような表情で尋ねる。 雄介は、自分が変わったなんて思ってはいなかった。 確かに、学園祭の準備やらなんやらで、クラスメイトとの会話は増えていたが、それはあくまで業務的なもので、これと言って何か意識をしたつもりは無かった。
「要するに! 接しやすくなったって事! 前は今村君って、女子とは一切話さないし、学校行事にもあんまり積極的に参加しなかったじゃん?」
「あぁ、まぁな……」
 雄介は女性に触れられると拒絶反応を起こし、気分を悪くしたり、最悪気絶することがあるため、自然と女子を避け、さらには面倒事にならないように、最善の注意を払う意味で、あまり男子とも仲良くはしていなかった。 そんな雄介が学校行事に積極的に参加するはずもなく、言われてみれば、確かに今回は理由はどうあれ、積極的に学校行事に参加し、クラスのみんなと会話することが多くなっていた。
「なんか、言っちゃ悪いけど、女子の間では色々良くない噂ばっかり流れてたんだよ?」
「まぁ、だろうな……」
 優子に告白された日から、女子生徒の目線が、どこか冷ややかだったのを雄介は知っていた。
「でも、最近は違うんだよね、なんていうか……女子と男子から受けが良いって言うか……今村君の人気が急上昇なんだよ!」
「じゃあ、そろそろ下降するな、文化祭の雰囲気で、みんな勘違いしてるんだろ?」
「そんな事ないよ! 女子からは、意外と優しいとか、何気ない気配りができる! とか、色々と高評価なんだよ! うれしいでしょ?」
「いや……別に」
 雄介にとって、女子生徒の好感度など知ったこっちゃなかった。 女子に好かれると、色々と面倒なのを雄介は良く知っているからだ。
「男子からだって、マジで加山さんを返せ! とか、このラブコメ主人公! とか、死にさらせこの急上昇男子! とか、色んな意味で話題なんだよ!」
「それただの悪口だろ! 最後死ねって言ってるぞ!!」
 そんなツッコミをしながらも、雄介は内心考えていた。 そんなに、自分は変わったのだろうか? 前の自分はどうだったのだろうか? などと考えているうちに、視線の方がなぜか自然と優子の方を向いた。
「やっぱり優子の影響?」
 言われて雄介は考える。 そういえば、良くも悪くも、優子と出会ってから、人と話すことが増えた気がする。雄介はそう思いながら、笑みを浮かべて女生徒に答える。
「かもな……迷惑なこともあるけど……」
「雄介~」
 そんなやり取りをしていると、雄介の元に優子が満面の笑みでやって来た。
「おぉ、どうした? 良い医者でも見つかったか?」
「違うよ! みんなが私たちの事御似合いだって~、えへへ~、これはもの結婚するしか……」
「よーし、早く明日の準備終わらせようぜ、早くしないと終わんなくなっちまう」
「雄介!!」
 優子の言葉を華麗に流す雄介に、優子は頬を膨らませて怒る。 雄介はそんな優子を見ながら、確かに優子のおかげで、今楽しいのかもしれないと思った。

「草食系男子が肉食系女子に食べられるまで TRUE END」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く