草食系男子が肉食系女子に食べられるまで TRUE END

Joker0808

後編 草食系とお嬢様12

 雄介自身も後半から熱くなってはいたが、今思い返すと何を状況をややこしくしているんだと過去の自分を責めてやりたくなってくる。
「適当に加山の事は任せろとか言っておけば、変な奴らから絡まれりことが無くなったかもしれないのに……」
 そう考える雄介だったのだが、北条と話をしている間に、自分と似た何かを北条に感じてつい熱くなってしまった。 おかげで、冷静になった今、雄介は先ほどの発言を後悔し、ため息をつきながら背中を丸めて目的地に向かっている。
「あぁ……最近は色々ありすぎんな~」
 加山に告白され、ヤンキーを倒し、家族の敵が現れ、ここ数日間で雄介のまわりでは面倒ごとばかり起きていた。
「もうそろそろ決着つけろってことなのかな……」
 雄介はふと空を見上げて考える。女性恐怖症の事や、家族の敵である滝沢絵里の事など、雄介は解決しなければいけない問題を考え、頭を悩ませる。
「案外、女性恐怖症はあのお嬢様相手なら治せるかもな」
 雄介は今から向かう家のお嬢様の事を考えながら足を進める。 学校からバスを使って移動して20分といったところだろう。雄介は星宮家の屋敷に到着した。事前に倉前さんに、今日来る事を伝えていたため、玄関前で倉前さんが待っていた。
「お待ちしておりました。わざわざありがとうございます」
「いえ、大丈夫です。この間ほど長くはいられませんが、今日も少し話をしてみます」
 玄関先での軽い雑談を終えて、雄介と倉前さんは屋敷の中の織姫の部屋に向かう。
「お嬢様、お客様です」
『お客様? 私にですか? 一体誰が……』
 部屋の前まで来て、倉前さんは部屋の中に居る織姫に向かってそう告げた。雄介が来たと言わずにお客様とあえて言ったのは、最初から拒否されないように、あえて濁したのだ。
「おい、引きこもりお嬢様」
『そ…その声は、この間の失礼な方!』
「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ」
 倉前さんは前回同様に、部屋の前に椅子を用意し、雄介にそこに座るように促す。雄介は椅子に座り、織姫と会話をし、その様子を少し離れた位置に椅子を置き座っている倉前さんが見ているという形になった。
『こ…今度は何の用ですか? 私は早くゲームがしたいんです!』
「あー、そのゲームの事なんだが、俺も最近復活してな、出来れば最近武器とかを教えて欲しくて来たんだよ」
『あ、そうだったんですか。そうですね~、最近は……ってその手には乗りませんよ! どうせ話題を作ろうと、軽く復帰しただけでしょう! 私の使う用語がわかるとは思えません』
「んだよ、人が聞いてんのにその言い方、一応中学時代とかにプレイしてたってこの前話たじゃねーか。お前そん時も結構ゲーム用語使ってたけど、俺は結構わかっぞ?」
『ぐっ……そういえば確かに……男なんてどうでもよすぎて、忘れてました』
「ホントにお前ってひでーな…」
 こんな感じでたまに言い争いになる事はあったが、話自体はお互いに楽しくしていた。織姫は直接ゲームの話が出来るのがうれしいらしく、いつも以上に声を弾ませていた。雄介は単純に、久しぶりにゲームが面白く、純粋に会話を楽しんでいた。 一方の倉前さんは、そんな二人の様子を見ながら、暖かい笑みをこぼしていた。
「……っと、こんな時間か。わりぃ、もう帰るわ」
『……え……あ、そ…そうですか! やっとこの苦痛からも解放されます!』
「それにしては、随分楽しそうだったが?」
『ぐ……うるさいですよ! 帰るんだったらさっさと帰ってください!!』
「へいへい、わかったよ。じゃあな~」
 雄介はそういって織姫の部屋の前を後にしようとしたのだが…
『あ! ちょっと待って下さい!』
 部屋の中の織姫から、急に呼び止められ、雄介はその場で止まった。どうやら何かを紙に書いているようだ。やがて、一枚のメモ用紙がドアの下の隙間から出てきた。
『これは、私のゲームの中の名前とフレンドコードです。聞いていると、貴方はそんなに上手くないようですから、私が暇なときにでも教えてあげても良いです』
「上から目線で少しムカつくが、まぁ良いか。ありがとよ、フレンド申請出しとくから、承認してくれよ。じゃあ、今度こそまたな…」
『はい、さっさと消えてください』
「やっぱろくでもないな…」
 雄介はメモをしっかりと手にして、その場を離れ、帰宅した。帰り際には倉前さんから「やっぱり貴方にお願いして正解でした!」と興奮気味で感謝されたが、まだ織姫と向かい合って話もできていないのに、大げさではないか? と疑問を浮かべる。
「まぁ良いか、連絡出来るようにもなったし、一歩前進か……」
 ゲーム内のメッセージ機能を使えば、フレンドにメッセージを飛ばせる。つまり、いちいちこの屋敷に来なくても、これからは、ゲーム内であれば織姫と連絡が取りあえる。そうすれば、織姫を外に出すための方法が見つかるかもしれない。 雄介は、織姫との距離が近づきつつあることを感じながら、帰りの道を進む。そしてこう思う。
(里奈さんに、今日帰るの遅くなるって言うの忘れてた……)
 気が付いたころには、時刻は19時30分。里奈からの大量のメッセージと着信数々に今まで気が付かなかったのは、持ちなれないスマホのせいで、設定が変になっていたせいなのであろう。一切通知が来ていなかった。
「帰りたくないなぁ……」
 もう紗子も帰ってしまい、里奈を止められる人が今村家に居ない以上。里奈から激しいスキンシップを求められるであろうことを雄介は覚悟していたが、いくら里奈なら拒否反応が起こらないと言っても、普通に兄弟での過剰なスキンシップを雄介は遠慮したかった。 一気に足取りが重たくなり、雄介はゆっくりと家に帰宅するのであった。
「マジで、紗子さん帰って来てくれよぉぉ!」

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