白と華と魔王と神と

アルマジロ@小説書いてます

戦闘中〜アルグレス主観〜


「ふぅーーーー」
「どーした、アルのにーちゃん、ため息なんかついて。緊張か?」
少し、不安になって深呼吸しているとガルフさんに声をかけられた。ガルフさんは冒険者になりたての頃からとても良くしてくれた先輩冒険者だ。

「あぁ、ガルフさん。いえ、緊張というかいざ目の前にするると少し不安になってしまって...」
「ははは!アルのにーちゃんもそんな気持ちになるもんなんだな!大丈夫さ!あんたなら大丈夫だ。さぁ、行ってこい!」
ガルフさんはCランクだが、ベテランでかなり腕が立つ。多分、Bランク上位くらいには強い。なのにBランク以上にはなりたくないと試験を受けずランクを上げてない特殊な人だ。
「ありがとうございます。少し落ち着きました。では行ってきます」
「おう、頑張ってこい!俺もしっかり後ろから支援してやるぜ!」
そして僕は魔物の群れへ飛び込もうとして動けなくなった。
いや、動けなくなったのは僕だけじゃないだろう。それほどの重圧がハクヤさんから放たれ始めたのだから。その圧は凄まじい早さでどんどんと高まっていく。その圧の強さに僕が押し潰されそうになった瞬間とき、それはふっと消えた。そして、消えたと思えばとてつもない魔力の奔流。魔力のみでは体への影響なんて無いはずなのに。それなのに感じるこの息苦しさ。あぁ、これが、これこそが僕らの師匠あの人の本気。いや、底の見えない彼のことだからまだ本気ではないのかもしれない。だが僕はこれが本気だと信じたい。でなければ彼に追いつくなんて不可能だ。神の領域に足を踏み入れる方がよっぽど簡単だろう。今でもそう思うというのに。
僕らに本気を出さないのなんて当たり前だったんだ。僕はこんなものと対峙しただけで押し潰されて立てなくなってしまうだろう。現に先程も潰されてしまうかと思った。それに気づき彼も矛先を変えたのだろう。見るからに魔物の進行速度は遅くなっている。
そして現れたのは白い炎の大きな鳥だった。
「な、なんなんだよ...あれは...」ガルフさんが呟いた。
「わかりません。でも、僕らの師匠の魔法ってことだけは分かります。」
そう。あれは彼の魔法。僕らの師匠の魔法。あんなものを見せられて奮起しない僕はもうどこにもいない。弱くて惨めだった僕はここにはもういないのだから。
「ハハッ、、あそこまでかよ。SSS級の実力ってのは。」
「クエスト受けないからランク上がってないようなものですしね。ハクヤさんは。」
「もう、あいつ1人ていいんじゃね?」
僕もそう思いますよ!!ほんとに!
「わかりません。でも、ハクヤさんが僕らに託してくれたんです。なので行ってきます!」
よし、行こう。新たな僕の相棒2人と共に。
「行こう!イザナミ、イザナギ。」
そんなことあるわけないと思うが刀達が嬉しそうにその刀身を震わせた気がした。



身体強化魔法
それは自身の筋肉を始め心肺などを魔力で補強し強化する魔法。だが魔力を注ぎすぎ制御に失敗し暴発すれば四肢が爆散することもある地味にリスキーな一面もある。それゆえに完璧にコントロールでき、尚且つ魔力量がある程度あれば自身の実力を数倍にも引き上げることが出来る魔法である。



僕は、まずは基本、と叩き込まれ死にかけるまで散々に練習させられた魔力操作で身体強化を自身に幾重にも掛ける。
このコントロールが難しくどれほど出血や吐血や怪我を繰り返したことか。時には片腕持っていかれたこともあった。まぁ、治してもらったから今両腕しっかりくっついてる訳だけど。部位欠損まで治せる治癒魔法が使える僕らの師匠あの人もどうかと思うが。
正直、師匠あの人の訓練は度が過ぎる、と思ったものだが今この状況では感謝はあれど恨みはない。
そんな訳ですっかり慣れ今では目標とされていた10掛けを遥かに超え40掛けまで出来るようになった。こんなの出来る人そんなにいないはずなのだけど出来て当たり前のような顔で「まだ出来んのか?」とか言ってくるので中々にキツい。僕らにはその才能があると信じて止まないのがさらに質が悪い。
話がズレてしまった。こんな事を考えてる場合じゃない。
さぁ、戦いの開始だ。

師匠から譲り受けた2振りの刀を抜刀し魔物の群れへ強化された脚力で突っ込む。
出会い頭に一閃。いや、二刀流であるから二閃だろう。
確かに全力で振ったとはいえ、僕が振るった2振りの刀は全部で15の魔物を切り飛ばした。
あまりの切れ味の良さと身体強化を掛けた時の強化のされ具合に驚く。
ここまで強化されているとは思っていなかった。
戦場を駆け、刀を振るう。振るうたび振るうたび数体~数十体の魔物が切り飛ばされる。
暫くするとさすがに恐れをなしたか少し距離を取られるようになった。
立ち止まって一瞥しなるべく殺気を噴出し呟く。
「さぁ、まだまだだぞ。魔物共。覚悟しろ」
そして僕はまた魔物達の群れへと駆け出した。


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