白と華と魔王と神と

アルマジロ@小説書いてます

風呂にて


剣の稽古の話が終わったあとしばらく歓談をした後女性陣が盛り上がって追い出された男性陣は男性陣で風呂へ向かうことになった。
「ほぅ、ハクヤも細いように見えてかなりの身体をしているのだな」
「当たり前だ。体がなければ剣は振れないだろ」答えながらマジマジと辺境伯の体を見る。
いや、まじでどーやったらあーなるわけ?
「しかしお前の親父はどういう鍛え方したらあんなんになるんだ」
ありゃ、筋肉のバケモンだ。バッキバキだよ。地球のボディビルダーなんて勝ち目がねえ。ボディビル大会なんて出たらぶっちぎりで優勝だろ。
「わからん。俺と似たようなメニューを確か...俺の3倍くらいやってるはずだが」
「なるほどバケモンか」
「酷い言い様だな!これでもこの辺で一番偉いんだが?」
「今更俺がそんなこと気にするとでも思ったか」
「思っとらんな!ハッハッハ!」
かなり豪快でいい人なんだがなぁ。パッと見どう見ても厳つすぎて怖え。あと、ちゃっかり顔も怖え。まぁ、もう慣れたが。
「先に失礼」
「俺も失礼しよう」
よし、じゃあ俺もそろそろ行くかな。
「あ、、あの!ハクヤさん!」
「ん?アルグレスか。どーした?」
「僕にも稽古をつけてくれませんか?」
自分も鍛えてくれという話か。
「俺は構わない。ただ言っちゃ悪いがお前の体は弱い。それもかなり弱い。俺はお前の体で剣に触らせるなんて絶対にしない。危険だからな。しばらくは剣も握れずひたすら体を磨くだけ。俺もいつまでいられるからわからないからそれもかなり厳しくする必要があるだろう。それでもいいのか?やり通す覚悟はあるか?」
そう、お世辞にもあの二人と家族とは思えないほどアルグレスはヒョロいのだ。ほんっとにひょろい。
「構いません。昔から病弱だった僕を守ってきてくれた兄様のために強くなりたいのです。それにこれまでの講師は無理だと言ってやらせてもくれませんでした。あなただけが僕にも稽古をつけてくれると言ってくれた。それが嬉しいです。お願いします」
なんだ、ちゃんと心·技·体で1番必要なモノはもってるじゃないか。
「任せておけ。明日から始めるぞ」
「は、はい!」
アルグレスをそのまま引き連れ風呂へ入る。
「しかしここはどこも広いな。まさか風呂がここまででかいとは。期待以上だ」
しかも依頼の間使い放題だ。俺は風呂が大好きなんだ。
最高だ!!!!
風呂に入る前に入念に身体を洗う。石鹸の泡立ちは悪めだな。どこかでいい石鹸を入手したら持ってきてやろう。うん。!
ザブンッ
「あぁぁぁ~~~いい湯だ」
「そうだろう?俺もこの街でも一番いい湯だと思っている。隣失礼するぞ?」
くつろいでいたら隣から声が聞こえる。
「アルフレッドか」
「あぁ、弟となにか喋っていたようだが?」
「あぁ、お前のため、お前を支えるために強くなりたい、戦えるようになりたいってよ」
「そうか」
「いい弟を持ったな?」
「ああ、ほんとに俺にはもったいないほどいい弟だ。病弱ではあったがあいつは本当に頭が良い。昔から本を好んでいたから博識でもある。この脳筋家のどこからそんなDNAが出てきたのかと思うほどにな。それにとても優しいんだ。本当は俺よりこの領地を引き継ぐべきに相応しい男なんだがな。どうにも自信が無い。頼む、あいつに自信を付けてやってくれ」
「ハッ!それはお前らの仕事だろう?俺はあいつに稽古つけるだけだ」
「何の話をしているのですか?」
「うん?明日からの稽古の話だよアルグレス。聞いたよ、お前も受けるのだろう?頑張れよ」
ハテナを浮かべていたアルグレスの顔がパァァっと輝いた。
「はい!兄様!兄様も頑張ってください!」
本当にこの兄弟は仲がいいみたいで何よりだな。
その後、入ってきた辺境伯と4人でしばらく喋り、アルグレスがのぼせてきたのであがる。

辺境伯が呼び鈴を鳴らす。
「お呼びでしょうか?」オルカスが来た。めっちゃ早い。
「冷たい果実水を3つ、俺はエールを」
「畏まりました」
風呂のあとの飲み物を頼んだようだ。
「果実水で良かったよな?」
「あぁ、酔う気は無いからな」
「どうぞ」おわっ!びっくりした。30秒経ってねえぞ。準備早すぎんだろ...
「ありがとう」
男4人、腰にタオルを巻き、グビグビと手渡された飲み物を飲む。
「「「「・・・・・・・・・・・」」」」
黙ってごくごくと一気に飲む。
「「「「ぷはぁーっ!」」」」
「美味いな」レモンとリンゴを混ぜたような味なのだが不思議と美味しい。
「うちの農園で取れるリモンの実の果実水だ。欲しいならやるぞ?」
ほんとにリンゴとレモン混ぜた名前だった。
「じゃあいくつかあとで貰うかな」
服を着て談話室へ戻り女性陣へ風呂が空いた事を知らせる。
女性陣もみんな揃って風呂へ向かっていった。
「いやしかしアルグレスまで剣の稽古を頼むとはな...私は嬉しいぞ!」でかい声で笑いながらガシガシとアルグレスの頭をなでる辺境伯。
「ありがとうございます!頑張ります!」と元気よく嬉しそうに目を細めながら答えるアルグレス。
「それじゃあまずはどのレベルまでやるか、依頼達成の基準を決めよう。例えば本気の俺に一撃入れられるようになるとか。もしくは期間制にするかだな」
「そうだな。本気と言っても人の域で留めてくれるだろう?」
「失礼な、これでも人だ」あ、違うか。でもまぁいいや。
「とりあえず1年は掛けるつもりでいるがそれじゃあ短すぎる。本当は4~5年かけて育てたいところだがそれは無理だろうしな。1年、俺が剣を教え、最後に俺の試験に合格できたら俺の打った剣をやろう。頑張れよ」
最後で2人の目が輝いたな。辺境伯はかなり驚いているみたいだが。
「いいのか?」
「構わん。どうせ使ってない」
「そうか。ありがとう」
「合格しなきゃやらんがな」
「気合い入るな。なぁアルグレス?」
「はい!お兄様!頑張って合格しましょう!」
「アルフレッドは明日普通の剣の熟練度を見てから色々と決める。アルグレスは身体から作らなきゃいけないから時間もかかるだろうしな」
ある程度の話を纏め、雑談に移り始めた頃、女性陣も帰ってきてそれから少し全員で話をしたあと夜も遅いということで解散し部屋へ戻る。
着替え、ベッドに潜る。
今日1日色々あったな。何より魔法の使い方(?)を覚えたのが1番の収穫だろう。
明日からが楽しみだな。冒険者登録もしないとな。
そんなことを考えていたらすぐに眠気は襲ってきて、数分としないうちに眠りにつくのだった。

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