白と華と魔王と神と

アルマジロ@小説書いてます

街へ


「では改めて、俺は白夜。ハクとでも呼んでくれ。で、こっちが」
「華音よ。呼び方はなんでもいいわ」
「魔の森の深淵部の方から出てきたようだったが...?」
恐る恐るこんなとこにいる理由を聞いてきた。
「ん?あぁ俺らはあそこの奥の神殿にしばらく住んでたんでな」
あらかじめ華音にも伝えておいた設定に則って話を進める。
「そんなばかなことが...一体どーやって...暮らしていたんだ...」
「幸いなことに魔道具で、粗方のものは賄える。貯蔵もあるしな。肉ならその辺に美味いのが居たしな」
「しかし...なぜあんなところに?」
「それは知らん。ある日突然寝て起きたらあそこにいたんだよ。二人で」
「そんなことが...」
「まぁ突拍子もないことでもあることは分かっているから信用しないでもいい。で、あんたらは一体なんでこんなとこにいる?そこの女はみたとこ貴族の娘だろ?」
「いや、信用しないというのはないが...あ、俺たちは...」
「それは私が説明するわ」
さっきの女が会話に割り込んできた。
「ほー、もう立ち直ったのか。やるな」
「これでも辺境伯の娘ですの。先程は失礼したわ。理由は簡単よ。魔の森の辺境伯の娘たるもの薄層程度の魔物は相手できなきゃ行けないでしょう?実戦の戦闘訓練に来たのよ」
「何を言ってる?ここは中層の深めに位置する場所だぞ?」
「そんなことはないわ!だって馬車の中のオルカスがそう言ってるもの。ねぇ?オルカス?」
「いえ、お嬢様、私は何度も馬車を止めましょうと申しましたがお嬢様がもっと奥へと仰ったのでここまで馬車は進んでまいりました。何度も中層に差し掛かっているや、もう中層であることもお伝えしましたが聞く耳を持たれませんでしたので諦め、反転させて戻せと御者に告げ、減速したところをジャイアントオーガに囲まれたのでございます」
馬車の中からいかにもな執事が出てきた。なんでセバスチャンじゃないんだ。
なるほど、アホ女は馬鹿だったと。
「申し遅れました。私、オルカスと申します。この度は大変ご迷惑をおかけしたようで申し訳ありません。かなりの実力者とお見受けしております。是非このまま街まで護衛をして頂けないでしょうか?」
こいつが一番交渉上手だな。
だが「断る」
「...何故です?」
「馬車なんざより走った方が早い」
「なっ...誠にございますか...」
「まぁしてやらんでもないが...」
「それには条件があると?」
当たり前だ。無料タダで俺が雇えると思うなよ。
「そうだ。この通り俺らは身分を証明するものを一切持ってない。身分を保証してくれ」
「そんなことでありましたら私でも可能ですので、させていただきましょう」
「あー、もちろん別途報酬は払ってもらうがな?」
「えぇ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。契約は必ずや守らせていただきす」
オルカスは深々と礼をした。
「まぁ、守らなかったら街ごと消し飛ばして去るさ」もちろん冗談だがちょっと本当っぽく聞こえるように言っておく。
騎士団の面々がちょっとビクってなったのを俺は見逃してないからな。
「そんなことさせないわよ!」
「おぉ、アホ女」
「な、だ、誰がアホ女よ!!私にだって名前があるわよ!」
「いや、知らねえし」
何言ってんだこいつは...
「そーいえばそうね。教えてなかったわ。感謝しなさい。教えてあげる」
「いや、いいです」
「私はエリス・ローテルン。ランベルト王国、ローテルン辺境伯の娘よ。覚えておきなさい!」
「で、街はどっちだ。早く行くぞ」ウザイしうるさいしどうでもいいので無視しておく。
「ちょっとぉ!」
「あははぁ、ごめんねぇ、ハクは昔からああゆう風だから...」
「あら?あなたは?」
「華音っていうの。ハクアレと旅してる」
「まぁ、大変そうね?」
「ふふ、まだ始まったばかりであまり苦労はしてないけどこれからしそうだわ」
「あら、そうなのねあなた...」
なんかガールズトークが始まったので馬車に乗せて街へと出発する。


道中、他にトラブルは特になく、雑魚が散発的に2、3回ほど襲ってきただけで日暮れには街が見えてきた。
「おぉ、でかいな」まぁ、予想はしていたがかなりでかい。外壁がとんでもない高さである。70mくらいあるんじゃねえのかあれ。
「まぁ、この街は辺境で魔の森もそばにあるから外壁は高く分厚くないと魔物に侵入されちまうからな」
思わずこぼした言葉にロドリゴさんが答えてくれた。
「なるほど。市民では魔物なんて撃退できないだろうしな」
「ええ、そうゆうことです」
さらに近づいていくとなにやら門の前に列ができている。
「ロドリゴ、あれは?」
「あぁ、あれは入る際の手続きみたいなもんの待機列だな」
「げ、そんなもんあんのかよ...」
すると馬車がすっと横の道へずれた。
「ん?どこへ行くんだ?」
「まさか領主の馬車が並ばなきゃ入れないとでも?」笑いながらロドリゴに言われる。
「なるほど」
「お疲れ様です、ロドリゴさん。ところでそちらの方は?」
「あぁ、おつかれ。森の中で助けてもらった。旅の方らしい。オルカスさんが身元は保証するそうだ」
「はっ、失礼しました。そちらのお方も疑って申し訳ない」
「いや、怪しい輩なのは分かっているさ。職務なんだろう?気にしないでくれ」
馬車はガラガラと進んでいく。
「ようこそ!辺境都市 ローテルンへ」
門を潜り抜けた時、笑いながらロドリゴはそう言った。

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