ボディガードは暗殺者
プロローグ
 漆黒。
 新月の日の夜。辺りは無明の闇に包まれている。
 そんな空間にいるのは、一人の少年。年の頃は十代半ばか。黒い髪と黒い瞳が闇と同化し、彼に不気味さを生み出していた。
 そんな彼の周りには倒れ伏している「何か」があった。
 ーーー人。
 血溜まりに沈む人の群れ。
 その数は一つ二つではない。
 数十の死体。
 その全てが首を切られて絶命していた。
「はぁ、疲れた・・・」
 汗ひとつ掻いていない綺麗な顔を微動だにせずに少年はそう呟いた。
 少年の両手には真っ赤に濡れたナイフが握られており、それでこの惨状を生み出したのだと分かる。
「毎回毎回こんな面倒な雑用ばっかり押し付けやがって」
 たった今膨大な数の人間を殺したにもかかわらず、彼の言葉には一切の緊張がない。それ程までに、「殺し」という行為は彼にとって極々自然なものであるのだろう。
『No.108。終わりましたか?』
 突如聞こえた女の声。
 声は少年の耳につけられた通信機から聞こえてきた。
「No.72、問題なく終了した。これから帰還する」
『分かりました。帰りをお待ちしています。お気を付けて』
 それを最後に女の声は聞こえなくなった。
 無機質で素っ気ない声音。しかし綺麗で透き通ったその声には少年の無事を喜ぶ優しさが感じ取れた。
「・・・りょーかい」
 僅かな笑みを浮かべながら返事の帰ってこない通信機に向かって少年は独り言ちた。
 新月の日の夜。辺りは無明の闇に包まれている。
 そんな空間にいるのは、一人の少年。年の頃は十代半ばか。黒い髪と黒い瞳が闇と同化し、彼に不気味さを生み出していた。
 そんな彼の周りには倒れ伏している「何か」があった。
 ーーー人。
 血溜まりに沈む人の群れ。
 その数は一つ二つではない。
 数十の死体。
 その全てが首を切られて絶命していた。
「はぁ、疲れた・・・」
 汗ひとつ掻いていない綺麗な顔を微動だにせずに少年はそう呟いた。
 少年の両手には真っ赤に濡れたナイフが握られており、それでこの惨状を生み出したのだと分かる。
「毎回毎回こんな面倒な雑用ばっかり押し付けやがって」
 たった今膨大な数の人間を殺したにもかかわらず、彼の言葉には一切の緊張がない。それ程までに、「殺し」という行為は彼にとって極々自然なものであるのだろう。
『No.108。終わりましたか?』
 突如聞こえた女の声。
 声は少年の耳につけられた通信機から聞こえてきた。
「No.72、問題なく終了した。これから帰還する」
『分かりました。帰りをお待ちしています。お気を付けて』
 それを最後に女の声は聞こえなくなった。
 無機質で素っ気ない声音。しかし綺麗で透き通ったその声には少年の無事を喜ぶ優しさが感じ取れた。
「・・・りょーかい」
 僅かな笑みを浮かべながら返事の帰ってこない通信機に向かって少年は独り言ちた。
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