最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜
第20話 目覚める力
頭に襲い来る痛みの波。 いつもならその痛みに苦しむだけだったが、今回はいつもと違い冷静でいられた。
なぜなら俺の体は戦闘により全身が生傷だらけであり、多少の痛みは感じなくなっていたからだ。
そのせいで俺はここに来て初めて頭に入り込むモノの正体を感じ取ることに成功する。
それは……感情。
しかも誰か個人のモノではなく不特定多数の人の感情が流れ込んできている。
痛み、苦悩、無念 憎悪、絶望。 大勢の様々な種類の負の感情。 俺はそれを一心に引き受けていた。
そして感情と共に情景も流れ込んでいる。 そこに映るのは欲にまみれた人間たちに、狩られ、殺され、利用され、辱められる魔人達だった。
そう。これらの感情は全て世界中に散らばる魔人達のモノだったのだ。
「ごめんな、気づいてやれなくて」
彼らの強い思いは魔力と同化し地球全体に広がっていたのだ。 そして俺の贈呈物はそれを受信する能力があるらしい。
彼らを助けに行く。それがこの贈呈物を得た俺に課せられた使命なのかもしれない。
「必ず助けに行く」
だから、今は
「力を貸してくれ!!!」
俺の叫びと共に世界中の魔人から感情、そしてある感覚が流れ込む。 とてつもない情報量に頭が沸騰しそうになるが、歯を食いしばり意識を保つ。
「つっっっ!!!!」
今まで流れてきては抜けていったモノが蓄積していく。 ぽっかり空いてしまった穴に染み込んでいく感覚だ。
「……確かに受け取った」
俺は脳がオーバーヒートする直前でサングラスをかけなおし、力を貸してくれたまだ見ぬ仲間に礼を言い、立ち上がる。
新たに得た力を携えて。
「何をしたかは知らねえがトドメを刺してやるぜ!」「待て、今度は俺がやる!」
デカい方、藤が岩石肉体を発動し拳を振り上げ突っ込んでくる。
「死ねやっ!」「感覚強化」
俺が魔法を発動すると感覚が強化され、奴の動きが遅く感じる。 俺は迫り来る奴の拳を横目に見ながら隣を通り抜け、すれ違いざまに藤の腹に触れる。
「接触魔吸」「なっ……! 力が!」
手を通して奴から体に魔力を奪い取る。 どうやらだいぶ溜め込んでいたみたいだな、だいぶ回復できたぜ。
「雑魚が調子に乗るなよっ!超弩級氷塊撃!!」
再び松が巨大な氷を放つ。 藤も巻き込まんとする威力だ、俺の急な変わりように驚いているようだ。
前の俺だったらこの魔法になすすべもなくやられていただろう。
だけど、もう怖くない。 俺には彼らからもらった力があるから。
「いくぜ……!!」
心の奥底から湧き上がる怒りを魔力に練りこむイメージ。
全てを奪う灼熱の力。
「燃やせ!灼熱魔刃!!」
放たれた灼熱の刃は氷塊をバターの様に切り裂き、その勢いのまま術者を胴体より両断する。
「へ?」
突然のことに理解が追い付かないのか、松は呆けた声を出しながら2つに分かれ宙を舞い、地面に落ちた。
「おい!嘘だろ松!おい!」
うるさい奴だ。 殺される覚悟も無しに殺してたのか?
本当に。 反吐が出る。
「てめえ許せねえ!崩落する山脈!!」
山の如き巨大な岩が俺を押しつぶさんと迫りくる。 岩魔法の中でも上位の魔法だ。しかし魔力の練りが弱いな、見掛け倒しもいいとこだ。
「巨人兵の小刀!」
使うのは超上級の刃魔法。 俺の手より生み出された巨大な刃は、奴の岩を粉々に打ち砕く。
「速度上昇」
移動速度を上げた俺はすぐさま辺りに降り注ぐ岩片の隙間を縫い移動し、奴の元に接近する。
「ひっ!岩石肉体!」「させるかよ!」
奴の岩石化した体に触れ、魔力を流し干渉する!
「ほぐし!!」「な、なんだこりゃあ!」
俺が力を込めると奴の体から岩がポロポロ剥がれ落ちる。
『ほぐし』のやり方は舞衣さんに元々教わっていたが、今までは上手くできなかった。 しかし、今は違う。
「てめえ! 何しやがった!」「うるさいな、静かにしてやろう」
俺は騒ぎ立てる奴に近づき、頭を両手で押さえつける。
もう、終わりにしよう。
俺の中に弾ける殺意を魔力に練り込む。 天を焦がす、雷の力。
「高圧雷撃!!」「ぎゃあああああああ!!!!」
肉の焦げるにおいと耳をつんざく悲鳴が辺りに広がる。 やがて、口から黒い煙を吐いた藤が物言わぬ置物になったことを確認すると、俺はそれを投げ捨て奴に向き直る。
「あとはお前だけだ」「……君、何者だい?」
その答えは、俺が一番知りたかったものだ。 でも、今なら答えられる。
その答えは俺がかつて知りたかった過去の自分ではない。 だけど、
「俺は魔人の王。 全ての人間に恐怖を与える魔王になる男だ」
確かに今、俺がなりたいものだ。
なぜなら俺の体は戦闘により全身が生傷だらけであり、多少の痛みは感じなくなっていたからだ。
そのせいで俺はここに来て初めて頭に入り込むモノの正体を感じ取ることに成功する。
それは……感情。
しかも誰か個人のモノではなく不特定多数の人の感情が流れ込んできている。
痛み、苦悩、無念 憎悪、絶望。 大勢の様々な種類の負の感情。 俺はそれを一心に引き受けていた。
そして感情と共に情景も流れ込んでいる。 そこに映るのは欲にまみれた人間たちに、狩られ、殺され、利用され、辱められる魔人達だった。
そう。これらの感情は全て世界中に散らばる魔人達のモノだったのだ。
「ごめんな、気づいてやれなくて」
彼らの強い思いは魔力と同化し地球全体に広がっていたのだ。 そして俺の贈呈物はそれを受信する能力があるらしい。
彼らを助けに行く。それがこの贈呈物を得た俺に課せられた使命なのかもしれない。
「必ず助けに行く」
だから、今は
「力を貸してくれ!!!」
俺の叫びと共に世界中の魔人から感情、そしてある感覚が流れ込む。 とてつもない情報量に頭が沸騰しそうになるが、歯を食いしばり意識を保つ。
「つっっっ!!!!」
今まで流れてきては抜けていったモノが蓄積していく。 ぽっかり空いてしまった穴に染み込んでいく感覚だ。
「……確かに受け取った」
俺は脳がオーバーヒートする直前でサングラスをかけなおし、力を貸してくれたまだ見ぬ仲間に礼を言い、立ち上がる。
新たに得た力を携えて。
「何をしたかは知らねえがトドメを刺してやるぜ!」「待て、今度は俺がやる!」
デカい方、藤が岩石肉体を発動し拳を振り上げ突っ込んでくる。
「死ねやっ!」「感覚強化」
俺が魔法を発動すると感覚が強化され、奴の動きが遅く感じる。 俺は迫り来る奴の拳を横目に見ながら隣を通り抜け、すれ違いざまに藤の腹に触れる。
「接触魔吸」「なっ……! 力が!」
手を通して奴から体に魔力を奪い取る。 どうやらだいぶ溜め込んでいたみたいだな、だいぶ回復できたぜ。
「雑魚が調子に乗るなよっ!超弩級氷塊撃!!」
再び松が巨大な氷を放つ。 藤も巻き込まんとする威力だ、俺の急な変わりように驚いているようだ。
前の俺だったらこの魔法になすすべもなくやられていただろう。
だけど、もう怖くない。 俺には彼らからもらった力があるから。
「いくぜ……!!」
心の奥底から湧き上がる怒りを魔力に練りこむイメージ。
全てを奪う灼熱の力。
「燃やせ!灼熱魔刃!!」
放たれた灼熱の刃は氷塊をバターの様に切り裂き、その勢いのまま術者を胴体より両断する。
「へ?」
突然のことに理解が追い付かないのか、松は呆けた声を出しながら2つに分かれ宙を舞い、地面に落ちた。
「おい!嘘だろ松!おい!」
うるさい奴だ。 殺される覚悟も無しに殺してたのか?
本当に。 反吐が出る。
「てめえ許せねえ!崩落する山脈!!」
山の如き巨大な岩が俺を押しつぶさんと迫りくる。 岩魔法の中でも上位の魔法だ。しかし魔力の練りが弱いな、見掛け倒しもいいとこだ。
「巨人兵の小刀!」
使うのは超上級の刃魔法。 俺の手より生み出された巨大な刃は、奴の岩を粉々に打ち砕く。
「速度上昇」
移動速度を上げた俺はすぐさま辺りに降り注ぐ岩片の隙間を縫い移動し、奴の元に接近する。
「ひっ!岩石肉体!」「させるかよ!」
奴の岩石化した体に触れ、魔力を流し干渉する!
「ほぐし!!」「な、なんだこりゃあ!」
俺が力を込めると奴の体から岩がポロポロ剥がれ落ちる。
『ほぐし』のやり方は舞衣さんに元々教わっていたが、今までは上手くできなかった。 しかし、今は違う。
「てめえ! 何しやがった!」「うるさいな、静かにしてやろう」
俺は騒ぎ立てる奴に近づき、頭を両手で押さえつける。
もう、終わりにしよう。
俺の中に弾ける殺意を魔力に練り込む。 天を焦がす、雷の力。
「高圧雷撃!!」「ぎゃあああああああ!!!!」
肉の焦げるにおいと耳をつんざく悲鳴が辺りに広がる。 やがて、口から黒い煙を吐いた藤が物言わぬ置物になったことを確認すると、俺はそれを投げ捨て奴に向き直る。
「あとはお前だけだ」「……君、何者だい?」
その答えは、俺が一番知りたかったものだ。 でも、今なら答えられる。
その答えは俺がかつて知りたかった過去の自分ではない。 だけど、
「俺は魔人の王。 全ての人間に恐怖を与える魔王になる男だ」
確かに今、俺がなりたいものだ。
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