最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜
第2話 魔王の休息
「ふう……」
 
頭に重くのしかかっていた兜を外すと部屋のヒヤリとした空気が顔を包み込む。 気づけば全身が汗で湿っており、部屋の冷たい空気がとても心地いい。 
ここは魔王城最上階『王の間』だ。 広いホールにそれを横切るように赤の絨毯が敷かれ、その最奥に玉座があり、俺はそこに横たわっている。
「お疲れさまでした。立派でしたよ」 
「そういってもらえると世辞でも嬉しいよ」 
俺こと、魔王ジークは先ほどの威厳はどこえやら、だらけきった体勢で答える。 
「世辞などではありません。民たちは皆、あなたを羨望と畏怖の眼差しで見ていましたよ。私には見えます……我らが魔王国の繁栄と栄華……そしてその頂点に君臨するあなた様の御姿が……」 
「…………」 
トリップしている彼女を放っておき、俺はここ2ヶ月のことを思い返す。  この2ヶ月は俺にとってはもちろん世界的に見ても激動の日々だっただろう。 
俺が魔法など物語の中にしかなかった世界から、魔法が跋扈する世界に放り込まれたのは今から2ヶ月前のことだ。 
現代社会で社会人としてごく普通の生活を享受していた俺は通勤途中、急に頭が痛み出し昏倒した。  そして、次に目が覚めた時にはこんな摩訶不思議ワールドに放り込まれていた。 
その後、紆余曲折ありこの世界で迫害を受けている魔力を持った人々『魔人』を助けることになり、最終的に『魔人』の国『魔王国』の『魔王』になってしまった。 
 
「ようやくここまでこれたな……」 
「ふふ、あなた様の活躍はこれからですよ♪」 
いつの間にかトリップ状態から覚めたマーレがしなだれかかってくる。むにゅり!と柔らかいところが体に当たり非常に下半身によろしくない。 
「お前、わかっててやっているだろ……」 
「もちろんです♡」 
満面の笑みでそう答える彼女に襲い掛かりそうになるが童貞の精神力をなめてはいけない、毅然とした態度(自称)で彼女を押しのける。 
「これでもダメですか……」 
彼女は俺が魔王を名乗る前からの唯一の仲間であり、その関係はちょっと複雑だ。 好意を寄せてくれているのは嬉しいし俺も彼女の為なら喜んで命をなげうつ程の思いはあるが、今はその思いに答えることはできない。 
「まったく、やることは山積みだというのに……」 
「世継ぎを作るのも立派な仕事ですよ?」 
「ところで魔王軍の進捗はどうなんだ?うまくいってるのか?」 
これ以上問答を続けても終わりそうにないので無理やり話を変える。 
「……想定より順調です。こちらから声をかけた者の8割が軍への参加を許諾している上、志願兵も多く数上は既に十分な戦力がととのっております」 
彼女は少し不満そうだが仕事モードになってくれた。2人きりの時はふざけがちな彼女だが仕事は超有能であり、今こうしている間も城内には彼女の無数の分身体が仕事をこなしてくれている。 
「それは良かった。俺たちの敵は多く守るものもまた多い。最初でつまずくわけにはいかないからな」 
そんなことを話していると、コンコンとドアがノックされる。
「来たか」
「ええ、今日は初めて幹部が一同に会する記念すべき日ですからね。しっかり頼みますよ♡」
「……善処するよ」
彼女の小悪魔的笑顔に胃を痛めながら、俺は束の間の休息を終えて再び無い威厳を絞り出し姿勢を正すのだった。
 
頭に重くのしかかっていた兜を外すと部屋のヒヤリとした空気が顔を包み込む。 気づけば全身が汗で湿っており、部屋の冷たい空気がとても心地いい。 
ここは魔王城最上階『王の間』だ。 広いホールにそれを横切るように赤の絨毯が敷かれ、その最奥に玉座があり、俺はそこに横たわっている。
「お疲れさまでした。立派でしたよ」 
「そういってもらえると世辞でも嬉しいよ」 
俺こと、魔王ジークは先ほどの威厳はどこえやら、だらけきった体勢で答える。 
「世辞などではありません。民たちは皆、あなたを羨望と畏怖の眼差しで見ていましたよ。私には見えます……我らが魔王国の繁栄と栄華……そしてその頂点に君臨するあなた様の御姿が……」 
「…………」 
トリップしている彼女を放っておき、俺はここ2ヶ月のことを思い返す。  この2ヶ月は俺にとってはもちろん世界的に見ても激動の日々だっただろう。 
俺が魔法など物語の中にしかなかった世界から、魔法が跋扈する世界に放り込まれたのは今から2ヶ月前のことだ。 
現代社会で社会人としてごく普通の生活を享受していた俺は通勤途中、急に頭が痛み出し昏倒した。  そして、次に目が覚めた時にはこんな摩訶不思議ワールドに放り込まれていた。 
その後、紆余曲折ありこの世界で迫害を受けている魔力を持った人々『魔人』を助けることになり、最終的に『魔人』の国『魔王国』の『魔王』になってしまった。 
 
「ようやくここまでこれたな……」 
「ふふ、あなた様の活躍はこれからですよ♪」 
いつの間にかトリップ状態から覚めたマーレがしなだれかかってくる。むにゅり!と柔らかいところが体に当たり非常に下半身によろしくない。 
「お前、わかっててやっているだろ……」 
「もちろんです♡」 
満面の笑みでそう答える彼女に襲い掛かりそうになるが童貞の精神力をなめてはいけない、毅然とした態度(自称)で彼女を押しのける。 
「これでもダメですか……」 
彼女は俺が魔王を名乗る前からの唯一の仲間であり、その関係はちょっと複雑だ。 好意を寄せてくれているのは嬉しいし俺も彼女の為なら喜んで命をなげうつ程の思いはあるが、今はその思いに答えることはできない。 
「まったく、やることは山積みだというのに……」 
「世継ぎを作るのも立派な仕事ですよ?」 
「ところで魔王軍の進捗はどうなんだ?うまくいってるのか?」 
これ以上問答を続けても終わりそうにないので無理やり話を変える。 
「……想定より順調です。こちらから声をかけた者の8割が軍への参加を許諾している上、志願兵も多く数上は既に十分な戦力がととのっております」 
彼女は少し不満そうだが仕事モードになってくれた。2人きりの時はふざけがちな彼女だが仕事は超有能であり、今こうしている間も城内には彼女の無数の分身体が仕事をこなしてくれている。 
「それは良かった。俺たちの敵は多く守るものもまた多い。最初でつまずくわけにはいかないからな」 
そんなことを話していると、コンコンとドアがノックされる。
「来たか」
「ええ、今日は初めて幹部が一同に会する記念すべき日ですからね。しっかり頼みますよ♡」
「……善処するよ」
彼女の小悪魔的笑顔に胃を痛めながら、俺は束の間の休息を終えて再び無い威厳を絞り出し姿勢を正すのだった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
11128
-
-
1359
-
-
1168
-
-
34
-
-
4
-
-
6
-
-
3087
-
-
52
-
-
353
コメント