最強無敵の賢者(ワイズマン)

奈楼小雪

Love1「プロローグ」


 東京メンタル・ギア・アカデミー、通称(T・M・G・A)。 広大な敷地に近未来的構造の校舎内。 今日は、新しく入学した生徒達に二年生の先輩が、個別オリエンテーションを行っている。
「此処が、君達が明日から通う教室だ!図書館も食堂もトレーニングルームも紹介したし、他に行きたい所あるかい?」
 先頭で、オリエンテーションをしている二年生の男子学生が、新入生に聞く。 と利発そうな一人の女子生徒が、手を上げる。
「はい!是非、この学校、イエ、世界一位と三位の先輩達にお会いしたいのですが……」
 お願いする様な顔で言う。
「世界一位と三位?ああ、付焼匡央つけやきまさひろ諸刃奈々もろはなな先輩か!先輩たちは生徒会室で執務ッツ……!」
 途中で言葉を切り、男子生徒が闘技場の方へ目を向ける。 其処からは、刺すような殺気と蒼い空を割るような紅い炎が上がっている。 炎の現象に驚き奇声を上げる新入生達、殺気に気が付いた一部の生徒は怯え、ある者は腰が引けヘタリ座っている者もいる。
***
 闘技場では一体何が起きているか? そらには、赤茶色のロングヘアにクリッとした目が特徴の美少女が立ってる。 右手には、両刃の刀を持ち、刀から生まれた炎が雪の様に白い肌を舐めている。 対して地には、黒い髪に左目が琥珀色の瞳に端正な顔立ちの少年が立っている。
 美少女は諸刃奈々もろはなな、少年の方は付焼匡央つけやきまさひろという。
「そもそもだ、朝食の目玉焼きに、トマトケチャップをかけるのは外道だと、言っている!! 後、昨日の夕飯の鳥の唐揚げにレモンを掛けるのは、万死に値するという訳で今すぐ灰も残さず死ね!!」
「イヤイヤ、奈々さん、訳が分かりません! 目玉焼きにケチャップ掛けたっていいじゃないですか? 昨日の鳥の唐揚げにレモンを掛けたのは、自分のだけでしたけど何か悪い事したかな?」
「ほぅ、貴様は!昨日は私が、手作りで揚げたてで塩をまぶしたから其の儘でも美味しいよって言った事を無視し!レモンをかけたよな? 今日の朝も私が、ケチャップを置かないで、醤油を置いて醤油も美味しいよって言った! のに、勝手にケチャプを探してかけたよな? 追加でもう一つ! 此等の事と会長業務を放り投げ、他の研究の仕事していた事を含め、万死に値する!潔く腹を切れ!!」
「お腹切るの痛そうだ、やだやだ死にたくない! そうだ!奈々さんもレモンとケチャップを掛ければ美味しさが分かるよ!」
 こんなやり取りが行われ、この光景を見ている同級生達は
「何時もの夫婦喧嘩が、始まったわ!」
「何々、今日は目玉焼きと鳥の唐揚げで喧嘩と…」
「どっちが勝つか、昼飯を掛けようぜ?」
「イヤイヤ、賭けにすら成らないぜ!だってさ…」
 空に上がっていた炎が少女の両刃の刀に集まり少女は刀を軽く振る。 闘技場の大地は、地獄の業火が、口を開けたかの様にメラメラと燃えた。 だが、其処には少年の姿は無かった。
  少年は、揚げる所か灰に成ってしまったのか?  イヤ違う!  少年は何時の間にか少女の背後に居る! 気が付いた少女が少年に振り向きざまに一太刀を浴びせようとした。
 だが、少女は既に袈裟懸けに切られ、少女の服がパラパラと宙を舞う。 切られ意識を失ったのだろうか? 少女は重力に引っ張られる様に大地に落ち始め周りの観衆が悲鳴を上げた。 やがて、土煙が起き誰もが、地面に激突した少女の痛ましい姿を想像した。
 が、其処には少年が少女を両手に納める姿があった。 少年は少女に何事かを呟くと、はだけた服を隠す様に自分の着ていたブレザーを少女に着せた。 そして、何処かにお姫様抱っこし連れて行った。 此れを遠くから、学内の通信網を見ている多数の観衆が居た事を彼等は知らない。
***
 学内の通信網から画像を見ていた新入生達の少年少女達は
「スゲーあれが、世界一位!見えた?」
「イヤ、見えなかった、瞬間移動したの?」
「あの女の人も怖いけど男の人はアルティメット怖いよ……お花摘み行ってくる」
 己が見た映像に付いて、議論を述べ始めている。
「あれが、お兄様のかたき……付焼匡央つけやきまさひろ…」
 場所は変わって学内庭園にて、映像に映る少年を憎しみの目で見つめながら新入生の少女は呟く……
 そして、同じく新入生の少年かれは、誰も居ない部屋で一人涙を流している。
「アイツ、お姉さまをお持ち帰りしてどうするつもりだ!?何時かお姉さまを取り戻す!」
 練習用に渡されてた木刀を振り、フォログラム映像内の少年に切り付け、フォログラムが乱れる。
 見ていたのは、学内の少年少女以外にもいる、東京某所暗闇の中で、ディスプレイの光が男の顔を照らす。
「ほぅ、息子があの娘に興味を持ったか、あの会社に仕事を増やしてやらねばな…… 所で、息子はあの娘に何と言ったのだ、早く読唇術の専門家を呼ぶんだ!」
 男が言うと横に居た秘書らしき女性が何処かに向かう。
 更に場所は変わり、海の向こうの大国、ホワイトハウス内にてその国の最高権力者が映像を見、報告を聞きコーヒーを吹き出した。
「何だと、もう一回言ってみたまえ!私の聞き間違いが無ければ、賢者ワイズマンにガールフレンドが出来たと聞こえたぞ! 賢者ワイズマンは、人とはコミュニケーションが出来るが人間には興味を持たないのでは無かったのか! 賢者ワイズマンが、人間のしかも異性に興味を持つとは一大事だ! 少女ガールについて、詳細な情報を頼む! 此れからの賢者ワイズマンに、どう対応していくか国家安全保証会議を行うから招集したまえ!!」
 機密回線の通信が切れ、その権力者の前には、少年が少女を大切に抱えている姿がフォログラム映像で映し出されている。
 さぁ、一人の少年と少女の出会いが世界を巻き込んでいく。 どう展開していくのかは、誰も知らない… されど、少年が投げ込んだ石は、波紋が立つかの様に広がる。 やがて、其れは2230年の世界を巻き込んでゆく。

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