女神に毒殺されたら異世界でショタ魔法使いでした

奈楼小雪

幕間一  最狂の兵器達の作り方

 

 私、チェイスは、アルファワン内で、ある映像と報告書を見ている。 内容は、双子の奴隷ちゃんを改造した時の物。
 双子は、まず、服を脱がされ、姉に洗浄され、巨大なガラス管に入った。 ガラス管の中は、生命の水ライフアクアに満たされ、息は出来る仕様。 先ずは、躰が固定され。ケーブルが彼女達の躰に刺さり、血を抜き始める。
 次に、リッチ・ロードが右手を振ると、双子の中身が外に出る。 上からは脳味噌、下は生殖器が抜かれる。
 此れは、リッチの魔法の一つ、【お手軽臓物抜き】。 元は、魚の腸を抜くのに開発された、古い魔法。 報告書では、枯れた技術の水平展開。 

 二つは、可能性の獣ユニコーン毒蛇バジリスク、彼女達の血、水銀の潤滑剤容器に入れられる。
  容器の中の脳みそに、様々なケーブルが刺さる。 やがて、数本の棒で脳味噌が四分割され、中央に赤い瞳の魔道具が入る。 再び、棒が脳を触ると元に戻った。
 赤い瞳は、姉が作った奴隷を従わせる魔道具。壊したり、抜いたりすると死ぬ仕様。 また、奴隷情報網スレイブ・ネットワークで相互監視し、情報を共有出来る。 再びケーブルが刺さり、バチバチと白い電流が流れ、脳味噌からのデータが表示される。 今度は、人格を修正する為のプログラムが動く。 一度、脳内のデータを魔導具で取り、人格を消すのだ。 そして、奴隷のデータから、反魔族的な脳データを消し、足りない人格をインストールする。
 この奴隷ちゃんの場合は、人族に対する酷い憎しみが、有るだけだった。 唯一は、魔族を利用するという所だけを、人族と置き換えだけで、済んだ。
 残った躰は、ガラス管から出され、何時の間にか、リッチが白骨させている。 報告書によると、いい骨●●だったら貰ったとの事だ。 うん、奴隷ちゃんを貰った時から考えていたでしょ、っとツッコミを書類に入れた。
 だけど、リッチは、ちゃんと二人の躰を作る仕事をした。 まずは、オリハルコンとアダマンタイトの二つの金属で、骨格を作る。 材料は、リッチ界の国土交通大臣リッチ・ロードのコネで、得たそうだ。
 ガラス管の中で、骨格に二つの金属で肉付け。躰に、色を付けていく。 元の銀髪に碧眼で無いのは、人族で目立たない様にする為。 其々、茶色のボブヘアと薄茶色の瞳、茶色い長髪を纏め、金色の目という構造。
 容姿は、リッチ界で、流行った【艦骨かんこつこれくしょん】というゲームのキャラを使った。 ゲームは、違う次元の地球で起きた、二回の大きな大戦の艦構造を義人骨化した物。 全員が、リッチ基準●●●●●で可愛い、女の子らしい。 うん、わかるか!全員骨だぞ! 【此処の鎖骨が良い】【この骨盤がそそる】と記されている、リッチ界の闇は深い。 そのゲーム中で、同じ歳のサンダーボルトを肉付けした物がこの構造体。
 ガラス管の中で新しい躰の上と下に臓器が入り、潤滑剤が入れられる。 やがて、彼女達が、目を覚まし、ガラス管の液体が無くなる。 彼女達は、右手をワキワキさせ、互を見、嬉しそうに抱き付き、映像が終わる。
 「以上が、報告です」 「分かった」
 茶髪ツインテール、右目が赤い少女が映像を消す。
 「そういえば、君もこんな感じの手術を受けたんだっけ?」 「ええ、少し違いますが、そうです。聞きます?」 「聞かせて、欲しいな。ジャンヌ・ダルク」 「ハイ、あと、今は奴隷ナンバー四千七十二です」
 彼女は、魔族に憎しみの感情を持つ状態で、売られた奴隷だった。 売るには、不適合という事で、脳を洗浄された。 だが、検査で感情が落なかった為、落ちるまで数十回、洗浄され人格は消失。 片目の魔導具に、元人格のコピーを埋め込み、時間を掛けて脳に人格を定着。 だが、躰が何故か不具合を起し、臓器を外し、魔導具に替えた。 今は、脳味噌以外、全てが魔導具。  それが、ジャンヌ・ダルクという少女。
 「そういえば、ジル・ド・レという人物が死んだ、記録では、君の親友だね」 「私の記憶には有りますが、何も思いません」 「本当に?」 「ええ」
 彼女がディスプレイを表示し、彼女のバイタルが表示された。 いずれも、正常時。更に、首にケーブルを付けると映像が出た。
 「此れが、私という存在の彼のデータです」 「中々、良い少年ですね」 「ええ、ですが、私はどうでも良い存在です」
 彼女は、首からケーブルを抜いた。記憶の中の彼女は、彼を好いていた。 だが、彼女が売られる時の額は、貴族だった彼が全てを売れば、払える額だった。 売られた時に、彼女は奴隷として生きる事を決めた。
 「中々、悲惨ですね」 「まぁ、今の私は満足しています」 「どうして?」 「生きているからです、私の存在がまだ有ります」 「それなら良いけど、紅茶のお代わり頂戴」 「はい」
 私は、彼女の達観した人生観をある意味、褒めたいと思った。
***
 ――ヒュマン国某所、合衆国研究所内にて(ヨーゼフ・メングレ視点)
 イヒ、私の前に運ばれた、エルフ族の勇者君は、死にかけだ。 両腕に両脚をへし折られて、無理やりヤラサレ、口に心臓が入っている。 その時の状況のデータを見たけど、やった人は凄い。
 此処まで、人を陵辱出来る技術は、惚れる。 中々、出来る物じゃ無い。 出会えたら、僕の双子コレクションの前で、消毒用エチルアルコールで飲みたい。 寧ろ、死体にしちゃおうか?
 おっと、この勇者くん。 取り敢えず、心臓を取って、気道を確保しないと。 もしかしたら、低酸素症で脳の一部が死んでるかも?
 まぁ、いいや、先ずは手足をチェーンソーで切る。 ここまで壊れたら、戻せないからね。
 イヒ、血が吹き出るのが良いね、勇者君だから大丈夫。 さて、切った所に魔導具の手足を付けるよ! 僕の自慢の魔導具だよ! 奴隷ちゃんが、その身を削って作った成果だよ! カチッと音がし魔導具の確認をすると作動した。 流石、僕、天才!
 次に脳を開けて、チャカチャカと操作するよ! パカッと空いた所に、端子を付けてデータを入れるよ! 流石、合衆国製!読み込みが早いよ! 読み込みが終わったらから脳を閉じるよ!
 最後に、電気を流して完了! 
 イヒ!後は顔の半分に白いマスクを付けて終わり!
 「おはよう、勇者君」 「……」 「君に仕事だよ!」  「……」 「街を一つ破壊して欲しい」
 僕が、地図を出すと彼は、壁を突き破って出て行った。
 ウン、素晴らしい!
 今度の飲み会で彼女、プラントー・レッドアイに、自慢しちゃうぞ! 人は此処まで、進歩したんだって!
 さて、次の実験の奴隷ちゃんを買いに行こう。 今度も、良い双子が入るといいな! 僕、天才魔導技師ヨーゼフ・メングレ! 僕と人族の発展の為に、比較サンプルが、欲しい!

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