女神に毒殺されたら異世界でショタ魔法使いでした

奈楼小雪

第十九話 地獄の戦線1



 バンバンバンっと音がし、前線の兵士が吹き飛ぶ。 目の前にはトリス市の城壁が見える。 城壁は高く、大地の侵入者を受け入れない。 空では、爆撃機が低空飛行で侵入する。 しかし、対空砲で、穴を開け火を吹き、落ちてゆく。
 今まで、ヒュマン国との戦争を前提に、武器を供与していた。 だが、今度は、その武器を持った相手と戦う構図。 皮肉としか、言い様が無い。 山岳地域を抜く過程で、合衆国側は五千人の兵士を失った。 聞けば、一週間程で何とか抜いたそうだが、相手は一万五千人を失った。
 「ようこそ、伯爵、アイゼンです」 「ジル・ド・レです、宜しく」
 私、サンダー事、ジル・ド・レ伯爵は共和国の都市の一つ、トリス市前に来ている。 目の前の彼は、合衆国軍の北部指揮を任された、アイゼン将軍。
 「其れにしても、攻城戦というのは難しいですね」 「その通りです、互いに同じ、武器を持っているので……」
 将軍は、語尾を濁す。 まぁ、そうだろう。 私の前で、対ヒュマン国へ共同で使う為に、互換性を持ったと言えない。
 「そんな、貴方の為に、素晴らしい武器を紹介します」 「なんでしょうか?」 「†闇の武器†です」 「闇の武器?」 「はい、その通りです」
 私は、適当な呪文を唱え、秘匿兵器を展開する。 大地が、黒く光り、大型の武器が展開され、私は武器を右手に持つ。
 「は、伯爵どの、それは……」 「80cm列車砲ドーラという闇の武器だ!離れて!」
 ガゴンと引き金を引くと、魔力が充填され始める。 やがて、土魔法で金属弾が精製され、中に炎と風の魔法が押し込まれる。 【発射可能】と表示がされ、私はトリガーを弾いた。
 ドゴンと周りの空気が弾け飛び、周りの兵士達も風の煽りを受け、バランスを崩す。 弾を受けた、城壁の門は入口に大きな穴を開ける。 そして、城壁が内側から赤く膨れたと思いきや、大爆発を起こした。
 瓦礫と化した城壁。 土煙が晴れ、見えるは、粗末なバリケードと街並み。 あちらも、此方の兵士も、呆然とした顔で見ている。
 「将軍、アイゼン将軍、今です」 「お、はい、全軍、突撃!」
 砲弾が唸りを上げ、バリケードに当たり、吹き飛ぶ。 装甲車で、残った瓦礫の傍に乗り付け、兵士達が飛び出てくる。 我に返った共和国の兵士達が、銃を撃ってくる。 合衆国兵士が、手榴弾を投げると、吹き飛び、共和国兵士達は、肉片と変わる。 一気に、合衆国軍が門を超え、トリス市内に雪崩込んだ。
 だが、市街戦という者は厄介。  しかも、総殲滅戦だから相手も必死。 建物の凡ゆる所から、一般市民が銃を持ち、襲ってくる。 先頭を走るのは、鋼鉄で造られた、戦車という名の物。 撃つと、人は吹き飛び、建物は破壊される。
 私は、将軍が止めるのを固辞し、戦場に入ってみた。 戦場というのは悲惨な物。 人が、炭と変わり、老若男女構わず死ぬ。 まさに、命のバーゲンセール。 殺された者が何を得、殺した者が何を得たかは不明。
 まぁ、此処の状況も同じ物だ。 少女は、顔を殴られ、股から血を流し全裸で額に穴を空けている。 兵士は、少女に被さり、全裸で後頭部に穴が空いている。
 「あっちだ!殺せ」
 男の声がし、バンバンと音がする方を見ると、兵士達が少女を追いかけていた。 少女は猫の様に、軽業で壁を上り、兵士達の翻弄し、銃で撃つ。 兵士の一人が打ち抜かれ、大地に転がる。 口径を見る限りでは、先程の兵士と少女を撃ったのは、彼女だ。
 やがて、俊敏な少女の足が打ち抜かれ、少女は動きを止める。 男達が集まりだし、少女は囲まれ、男達の下品な会話が聞こえる。 少女は笑顔で、両手を上げる。 躰の周りには、大量の爆薬が巻きついていた。 右手のスイッチを押した瞬間に少女の姿は消え、男達は吹き飛んだ。
 私は、その現場に行ってみると、肉が生焼けで、燃える匂いがしていた。 爆心地の少女は、躰は消滅、残っていたのは首から上だけ。 不思議な物だ、死んだというのに、笑顔だ。 実に、面白く無い。少女の頭を壁に投げつけた。 少女は、壁にキッスし、ジュルジュルと地面に肉が、削れる音がした。
 喰べたいとは思ったが、あそこまで、薬漬けの人間は不味そうだ。 少女達は、いずれも大量の薬で、恐怖心・痛みを感じ無い様にしている。
 共和国の、無敵で死を恐れない兵士と言うものは、そういう物。 薬で躰の強化、脳を快楽で染める事が出来る。 その為に、兵士の寿命は、短い。だから、世代交代が激しい。 少女達は、十四・五歳で結婚・出産を計算している。 先程の少女も既に、男の匂いがしており、母親。
 そして、生まれた子供達は、集団教育、共和国に都合の良い人間に育てる。 少しでも、疑問を持つ子供がいれば奴隷として、売り出す。 最後に、残ったのは、純粋な共和国の子供。 大人の言う事を聞く、素晴らしい、素晴らしい子供達。 その教育機関を、共和国パブリック・教育団体ティーチャー・アソシエーション、略してPTAという。 メフィスト帝国は、こんな教育をしている親たちを、怪物モンスターだ!と声明を出した。 彼等は、【平等】【自由】【規律】【平和】で子供には、憂いの無い社会だと、反論をしている。 しかも、彼等の言う【平和】の為には、必要な正しい言論も【憎しみの言葉ヘイトスピーチ】だそうだ。 そして、【平和】の為には、暴力的な行為で【躾】も必要と言っている。 メフィスト帝国は、彼等を怪物親モンスターペアレンツと呼び、PTAが存続する限り、国交は結ばないと宣言した。
 ねぇ、大人の人達、糞みたいな教育を政治犯収容でした、PTAの人達。
 【平等】【自由】【規律】【平和】。
 聞こえの良い言葉で、何人の子供の人生を駄目にした?
 ねぇ、【平等】って、成長を削り、平均にした物だったよ。 ねえ、【自由】って、箱庭の中で、生かす為の物だったよ。 ねぇ、【規律】って、予定調和で、自分を殺す物だったよ。 ねぇ、【平和】って、此等三つを、嘘で固めた物だったよ。
 ねぇ、だから壊して上げる。
 貴方達、無能で、屑で、身内に甘く、糞の大人たちの平和を!
 此れは、子供達へ、負の遺産を残さない為の破壊行為。 偽りの平和思考で、他国へ戦争をしない国する。 だから、全員死んでね。 負の連鎖は、此処で止めよ。
 それこそ、愛国心。 国を恨み、憎んだ、私の良心的新訳解釈。 つまり、私は正義の使徒。
 人族だと、神という者の代弁者が、使徒。 つまり、私は、神の代弁者。 人々を浄化し、魂を浄化する者。
 っと思いながら高揚感を感じていた。
 その時、足音がし、暗がりから出てくる少年が目に入った。 少年の傍により、後頭部に銃を当て撃つと、少年は浄化された。
 暗がりから、少年少女の声が聞こえた。 私は、彼等を浄化する為、暗がりに歩を進めた。 

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