女神に毒殺されたら異世界でショタ魔法使いでした

奈楼小雪

第四話 姉と戦闘への序曲



 私の姉は、プラントー・レッドアイ、年齢は25歳。 金髪、赤い瞳が特徴の美しい女性。 魔法は使えないが、姉は、別な意味で天才。 多くの魔族、人族も魔法が使えないという事で、普通の人生を歩もうする。 だが、私の姉は10歳の時、こう考えた。
 【魔法が使えないなら、使える方法を見つけよう】
 姉は、魔法とは違う、錬金術という分野に興味を抱いた。 毎日、図書館に入り浸り、古代から近代までの錬金術を独りで学んだ。 十歳から十五歳まで、人族歴で五百年掛け、帝国内全ての錬金術を論文に纏め発表した。
 論文により、古代から近代の錬金術は見える化された。 それにより、帝国の錬金術は飛躍的に発展した。それを聞いた、皇帝から宮殿へ招待され、姉は褒美として、【諸外国へ留学】を与えられた。
 そして、姉は世界中を旅し留学した。 一人娘が、留学をした寂しさで、両親は私を作った。
 旅行先の様々な国々で、錬金術とされる物を学んだ。 灼熱の砂漠の国では、金属を化かす:【化学】 極東の島国では、金属に力を加え、冴えさせる:【加学】 中央の大陸では、金属に人の思いを価する:【価学】
 姉は、五百年掛けて留学し、戻って来た。そして、錬金術を【科学かがく】と名前を改めた。
 次に、姉は持ち帰った技術・知識を使い、【魔術師殺し】と呼ばれるリボルバー式魔銃の開発・生産技術を確立した。 これを皮切りに、姉は軍事、日常生活、魔族の生活を楽にしていく物を多々作った。
 曰く、【プロメテーウスの申し子】    【十万年に一人の逸材】    【堕落の神の申し子】
 姉さんの、作った者は人々の生活を豊かにした。 だけど、楽しすぎて堕落している、魔族もいる。 その筆頭が、姉さん。 「チェイス、ちょっと待ってね」 銀色の箱を開けると注射器が見える。 注射器も姉さんが、作った物の一つ、何か毒々しい色の液体が、入って居る。
 「ビタミン剤だから、大丈夫」 「イヤイヤ、ビタミン剤じゃないでしょ」 『オークの精巣、コカトリスの肝、その他、興奮剤が入っています』 「流石、リッチさん。毎日、打っているけど、全然中毒じゃないわ」
 細い腕に、注射器を差し、中身を入れる。 姉さんの赤い瞳は、ギラギラと輝き、白衣美人女性に変わる。
 「で、チェイスは、今日は何をずるの?」 「リッチ・ロードと一緒に、奴隷ちゃん達を無敵の戦士にしようと思って」 「へぇー奴隷の子達、触っても良い?脱がしても?」 「いいけど、壊さないでね」
 私が許可を出すと、姉さんは、双子の汚れたワンピースを引っペがし一糸まとわぬ姿にする。 彼女達の口の中を見、鎖骨をなぞり、発展途上の双丘のピンクの蕾を触り、くびれた腰を撫で、秘密の花園へ手を伸ばした時。
 ブザーがブーブーと成り、姉は手を止めた。
 「中央指揮所へ、何が有った?」 「ヒンメルベッドシステムに反応、パターン青、編集です」 「編集?今日は、来る予定が無いはずだけど、確認してみて」 「こちら、中央指揮所、予定が無い事は確認しました。更に、パターン赤とパターン緑も確認」
 【パターン青】は【編集】、姉が執筆中の【東方見聞録】の担当者。 【パターン赤】は【帝国空軍】、【パターン緑】は【未確認機】の事をいう。
 「早期警戒機ホークアイを該当地域に転送、ディスプレイに表示可能?」 「はっ!既に、転送済みです。映像出ます」
 映像には、私の宇宙海賊の記憶で、地球の海で見た駆逐艦、ガレオン船、戦艦が空で戦闘をしている。駆逐艦には桜と竹、ガレオン船には骸骨マーク、戦艦には五芒星に金色羊の旗がはためいている。
 「駆逐艦はヤマト国籍、戦艦は我が帝国空軍。ガレオンは国籍不明の空賊、編集は?」 「反応ロスト、探知圏外に出た様です」 「まあ、そうだわね。空馬車エアホースですもんね……で、状況は?」 「ヤマト国籍の駆逐艦は三笠、スカイ・フリート・ハイスクールの留学艦。戦闘は、我が帝国の第十二管空部隊の巡洋戦艦、旗艦モルトケ以下10隻と敵性ガレオン艦、凡そ三十隻が行っています」 「戦況は?」  「五分五分です。アルプス上空のジェットストリームラインに、慣れている空賊に利が有ります」 「ヤマト国の駆逐艦は?」  「現在、回避、運動をしておりますが……何時まで持つかは不明です」 「分かったわ、我が空軍を行かせ、救いましょう。お世話に成った国だし」
 姉さんは、唐突に、手元のボタンを押した。 何も起こらない?故障でもしたのかと思ったら、足元がぽかっと黒い口を開けていた。
 「チェイス、後は、宜しく!前に、ヒュマン国の空軍とやった見たいな感じで!奴隷ちゃんは、リッチさんと改造してあげるから安心して!」
 私は、ヤられた!と思いながら重力に引っ張られ、長いチューブ状の配管を滑り、光の先は、少年の記憶で慣れ親しんだ艦橋が有った。
 「艦長、何時でも出発・転移、出来ます」
 セーラー服を着、ツインテール、片目が赤い副長の少女が敬礼をする。 私は、ヤレヤレと仕方が無いと思いながら、私と彼の記憶を使い、右手を前に出し指示を発する。
 「此れより、我が艦はヤマト国の駆逐艦を救うために、転移する!全艦、抜錨せよ!旗艦アルファワン出航」 「アイアイサー、抜錨完了しだい、転移魔法を行う」
 ブリッジの周り、三百六十度に映像が展開される。横に二等辺三角形の四機の青色の機体が見え、我が家の紋章の赤い瞳が船体左右に描かれている。 各艦は、全長三百メートル、全幅二百メートル、全高三十メートルで最新の魔法・科学技術が使われている。
 「抜錨完了!此れより転移します」
 声と共に、艦艇の周りに魔法陣が発動し、白い光に包まれた。

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