グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第126話 分析する者達


 ――2100年5月10日20時00分  NEO中禅寺湖要塞内
 多数の映像が展開される部屋内に多数の軍服を着た男女達。 彼らはNEO中禅寺湖の在日米軍所属の情報分析官達である。 現在分析しているのは、ドローンで撮った適合者《フィッタ―》と人外部隊アウトヒューマン部隊の戦い。
 「マギウス波からデータを照会。苗場六花いなばろっかですね」 「通称、物騒な玩具箱デンジャラスロッカー
 画面には、パトリオットミサイルが飛ぶ映像が展開されている。  洋服や訛りを変えても、適合者《フィッタ―》のマギウス波は変える事が出来ないのだ。 だからこそ、個人認証システムにも使われている。
 「中禅寺湖に落下した人外部隊アウトヒューマン達は回収したか?」 「ハイ、いずれもバラケテいましたが回収しました」
 上半身と下半身がバラケタ3人の男女の映像が映し出される。 いずれも腹部を無くした死体になっている。
 「中禅寺湖上空で爆発、即死でした」 「映像では近接信管が爆発せず腹にささりその後に爆発した様です」 「まさに、ベネット状態ですね」
 数名の男達が思わず腹の所に手をやる。
 「人外部隊アウトヒューマンは瞬殺でした」 「彼女の所属は不明ですが、親衛隊では無い事を考えると」 「群馬警備グンマー・ポリス統合部・ユニオン、通称GPUゲーペーウー所属です」
 胸元に盾と剣と星の紋章が示され、GPUゲーペーウーの介入しと考えられる案件が示される。 【パナマ運河破壊工作】 【ジブラルタル要塞米国占領工作】 【ボスポラス・ダーダネルス海峡封鎖工作】   多数の船舶が通行の重要地点を破壊している容疑が掛かっている。 
 【パナマ運河破壊工作】というのは、4年前にパナマ運河にビーストが襲来した事件である。 通常はビーストが現れないパナマ地域へ突如のビーストの侵攻。 米軍が迎撃する前に、運河とダムや街が襲われ破壊された。 この時にカリブ海で大出力のマギウス波を記録している。 いずれも、グンマー校所属の生徒と一致している。 グンマー校は、人道支援で中東へ物資を提供後の航行中にビースト化したカジキに襲われた事を認めている。 ただ疑問は多く、インド洋経由で戻らずカリブ海経由で戻っている事に疑問を上げられている。 ビーストがグンマー校に追われ、パナマ運河に来たと考えられない訳であるが証拠は無い為に不問にされた。
 【ジブラルタル要塞米国占領工作】というのは、英国領のジブラルタル要塞占領問題である。 1年前に突如として要塞内で兵士が反乱を起こり、司令部内の人間を皆殺しにした。 丁度、ジブラルタル海峡を航行中の米国第六艦隊にミサイル発射事件などを起こす。
 直ちに自軍の安全を守る為に、米国新第六艦隊が報復で空爆を開始し海兵隊が占領する。 占領時に反撃は無く犯人達は全員が自殺していた。 全て英国海兵隊の兵士だったが、米国に要塞を編入される事を望む遺書を何故か書いていた。 原因調査は難解を極めたが、情報部の独自調査では米国上層部とグンマー校間で何らかの取引が判明している。
 【ボスポラス・ダーダネルス海峡封鎖工作】というのは、3年前に文字通り2海峡が封鎖された事件である。トルコから出発したギリシャ船籍の2籍のタンカーが、ハーモサッド海賊を名乗る集団にハイジャックされる。第六時中東戦争に介入するロシアとトルコを非難する声明を出した後に、同海峡でタンカーを破壊し封鎖した。 諜報部の独自調査で、ロシア黒海艦隊を封じる為にグンマー校とトルコ・米国政府と何らかの取引が判明している。
 【パナマ運河破壊】の件は一見みれば、米国にとって不利益に見える。 当時、米国は精神波動メンタルウェーブを使い輸送船を空に飛ばす巨大大量空輸化を推し進めていた。勿論反対勢力はいる訳で、彼らの論理の拠り所はパナマ運河のコストパフォーマン性であった。 それが破壊された以降は、巨大大量空輸化派が幅を利かす事になる。
 精神波動メンタルウェーブを使い輸送船を空に飛ばす巨大大量空輸化を請け負ったのは……トマース・エジソン大統領が大量の株を持つジェネラル・エジソン社、通称GE社である。
 この後、GE社は空中輸送艦の開発に成功し生産を始める。 同時に大量の輸送艦を生産を始め、一年後には100万人を載せられる量の艦艇を生産した。 そして、3年前にグンマー校のイタリア半島攻略に合わせて艦艇を使い100万の亡命イタリア系人兵士を派遣に成功。  同時に新第六艦隊によりジブラルタルを支配下に置く事に成功する。
 現大統領の支持率は、90%を越えるという人気ぶりである。 前大統領の末期の支持率が30%だった事を考えると恐ろしいまでの人気である。
 開放したNEOスイス・ヴァチカン・イタリア連合国への大規模な支援の経済援助。 生活物資の大量投入による復興の為に物資の生産。 失業率が5%以下となり米国の景気が大回復した。
 「今回も我々の上層部とグンマー校は通じていると思われます」 「どんな取引かは不明ですが、我が国へ利益を誘導していると考えられます」 「現在までに2個師団、2万名の死者を出しました」 「次は、グンマー校の館林と古河市間の空戦についての報告です」
 館林市と古河市間であった空戦の結果が表示される。 戦力は、グンマー校が航空部隊の30機。 南関東側は、F-15とF-22を含めた200機の戦闘機とB29等の爆撃機100機。 及び太平洋側からトマホークがイージス艦より発射された。
 結果は南関東側が戦う前に全機が墜落した為に、グンマー校側の不戦勝。
 「原因はグンマー校庶務の榛名彩華はるなさやか絶対零度防壁コールオブオールですね」 「通称、絶壁は群馬県境を這うように2kmに渡って造られた非武装地域です」 「南関東校は此処に侵入した為に、人員及び機体が耐えられずに分解し墜落しました」
 どこで手に入れたかは不明だが、B29内の機体内映像が映る。 機体がベキベキっと音を立て凍ったかと思いきや突如後部が破壊され機体が降下を始めた。
 「何れも、対寒冷地用の外装武器ペルソナを使用していましたが役に立ちませんでした」 「彩華さやか庶務の能力は不明ですが、冷却かと推測されています」 「この攻勢失敗で、南関東側は大多数の航空戦力を失いました」 「その分は、我が在日米軍が何とか立て直しをしております」  「何なのアイツラ、馬鹿なのか?」
 ビーストの戦の為に集めた兵器や物資をグンマーと戦う為に向けて自滅。 分析官達が馬鹿と言うのも無理は無い。
 「現在は、館林方面へ重砲で攻撃していますが影響は無い様です」 「更に南関東連合は【二―ト総動員法】を発動しました」
 まぁ、この法はニートを総動員するという物である。 対ビースト相手でも使用していない物であり、人間相手に使うのは異常である。
 「明智平要塞を占領している自称プロ市民達は抵抗中」 「これに対応する為に戦力の補充を行う様です」
 ドローンに映るは夜間攻撃を掛ける為に、照明弾を上げる光景。 戦車や隊員達が続々と砲撃と同時に、突撃を開始している。
 「グンマー校の適合者《フィッタ―》の情報をもう少し集めよう」 「そうだな、我々には彼らの情報が少ない」
 言い合いあいながら彼らはグンマー校のデータを見始める。 グンマー校のデータは極めて少ないのだ。 苗場六花いなばろっかの様に能力が分かっている者は少ない。
 米国は世界で最も分析を得意とする国。 現象があればデータを取り分析が出来る。 この様な戦場は彼らにとってみれば、タダでデータを取れる実験場なのだ。
 っという訳で、グンマーと南関東連合の戦いはまだ続くのだ。 

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