グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第121話 NEO中禅寺湖といろは坂★


 ――2100年5月8日09時00分 NEO中禅寺湖要塞
 NEO中禅寺湖は、男体山をくり抜いた要塞。 内部には、10万人近い兵士と50万人以上の関係者関係者達が住んでいる。 兵士だけの規模としては、グンマー校と対して変わらない人数である。 団体周辺は工業団地や大規模な農地、軍事基地が並んでいる。 基地内にはスーパーから床屋、ボーリング場まで存在している。 何れも米国が誇る物量作戦によって建てられた物で有る。
 このNEO中禅寺湖の総司令官は、米国陸軍スミス大将。 茶髪が特徴のダンディオヤジという感じの白人男性である。
 <a href="//19656.mitemin.net/i246324/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i246324/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 10年前の群馬独立戦争グンマワー時には、在日米軍の日光側司令官だった。 戦争中に一度は解任されたが、現在はNEO中禅寺湖を預かる人間である。
 スミスは何時もの様にコーヒーを飲みながら部下達の報告を聞いている。
 「で、現在は何者かによって明智平要塞が占領されました」
 「日光安全保障局N・S・Aが対応中です」
 「薬師岳の戦闘は膠着状態で、NSA側は要塞の一個師団を投入しています」
 ゴクリとコーヒを飲みジョンは口を開く。
 『で、英仏露の民間軍事会社P・M・C連中は?』
 「彼等はNSAと共に10万の兵士で押しつぶす予定です」
 『なるほど、予定どうりだな』
 「閣下?どういう事ですか?」
 『これが、その何者かによる作戦書だ』
 机の中から書類を見せる。 表紙は綺麗に黒と金で印刷されている。 部下は怪訝な顔をしながら置かれた作戦書を見る。
 作戦書にはこう書かれている。
 日光安全保障局N・S・Aが管理する明智平要塞を占領。 奪還してくる部隊を迎撃し、適度な損害を出させる。 予定としては、NEO中禅寺湖に展開中の10万と後続から来る部隊を壊滅的損害を出させる。
 暫く暴れた後は、米国陸軍の攻撃を受け敢え無く撤退する。 明智平要塞は優秀な司令官の指揮により、負傷者無しで奪還に成功するのだ。 その後は、再度の襲撃から守る為にNEO中禅寺湖の米軍が管理する。
 これを読みなら手をワナワナと震わせスミスの方を見る。  スミスはコーヒーを飲みながらニッコリと笑う。
 『邪魔な連中の総決算だ、連中に好きにさせるさ』
 NEO中禅寺湖要塞はPKOで来ている為に米国以外の軍隊も来ている。 日光安全保障局N・S・Aや英仏露の三ヵ国である。  正直いって、米国陸軍から見たら目の上のタンコブなのである。
 『アイツ等のせいで、我々は新潟を開放損ねたのだぞ!』
 そう一年前にNEO中禅寺湖は新潟開放作戦をグンマー校と立てた。 計画ではグンマー校が湯沢から侵攻し南魚沼と新潟市内のビーストを駆除。 同時にNEO中禅寺湖は県道23号を使い川俣温泉経由で兵士を送り占領。 っという計画で有った。
 しかし、露国の民間軍事会社P・M・Cがグンマー側の白根山要塞を砲撃。 この攻撃でグンマー校はNEO中禅寺湖側を警戒し開放作戦は凍結された。 スミスが独自に調査をさせた所、驚くべき事が分かった。
 露国本国から今回の作戦を邪魔する様に指示を受けていたのだ。 理由は、新潟を解放されると佐渡まで開放される。 そうすると佐渡に米軍関係基地が出来てウラジオストクが脅威を受ける。 その為に、新潟開放を阻止した。 その報告を聞き、スミスは激怒し日光安全保障局N・S・Aや英仏露の三ヵ国を嫌っている。
 『今回は、眼下の標的だ。何者かがヤってくれるのなら問題は無いさ』
 そう言いながら、司令部から見える戦場ヶ原と明智平要塞を見る。 戦場ヶ原に展開していた日光安全保障局N・S・Aや英仏露の三ヵ国の部隊が移動をしている。 向かう先は、第一イロハ坂と明智平要塞。
 ◆  ◆  ◆ 
 ――2100年5月8日09時00分 馬返し
 その頃のヤルオとヤラナイオ達は、イロハ坂分岐点の馬返しに来ている。 指揮車に向かった2人が見たのは、二階級飛び越して正社員になった隊長であった。
 この人材派遣会社タワミでは、ヤルオとヤラナイオの様な社員はランクGである。 隊長クラスはEⅡで、D社員になれると正社員となれる。 多くの隊員達は、二階級特進するとランクEⅡの派遣が自殺したと登録される。 隊長クラスの派遣社員が二階級特進すると正社員が自殺したと新聞の片隅に乗る。 ちゃんと部長クラスが社員の葬式に香典を上げてくれるという福祉も貰えるのだ。
 「ヤラナイオ!どうするお!隊長も死んだお!」
 「そうだな、落ち着け素数を数えるんだ」
 言い合っているとヤラナイオのスマホが鳴る。 業務用のスマホを開くと業務指示が表示される。
 「何てこった!デキルオが大隊長になっちまった!」
 「何をいってるんだお!うぉ本当だお」
 業務内容はこう書かれていた。
 ~~業務指示~~
 照貴琉男できるおを現時点で大隊長と任命。 生き残っている各自は武器を持ち、馬返しに集合。 現在、第一イロハ坂から増援が進軍中。
 ~~終了~~
 『ヤルオさんにーヤラナイオさんー』
 「「あ、デキルオだ!!」」
 出来る感じの恰幅の良い男が手を振っている。 2人はデキルオの方へ歩いていく。 そして、デキルオの前で敬礼をする。
 「「デキルオ隊長、ご指示を願います」」
 『ヤルオさん、ヤラナイオさんよして下さい』
 「で、隊長的にはどうするだお?」
 『先ずは、残った人員をまず集めます』
 「分かった!やるお!」
 ヤルオとヤラナイオは残った隊員を集める事を始めた。 暫くして、生き残った隊員達が集められた。
 『これでは中隊……イヤ小隊ですね』
 デキルオが呟くのは無理も無い。 初期の大隊3000名の面影は無く300名まで減っていたのだ。 さらに、多くの隊員が重軽傷で実質動けるのは50名程しか居なかったのだ。
 「デキルオ隊長!普通に動けるのは50名だお!」
 『分かりました!20名は負傷者を日光要塞へ装甲車を使い搬送して下さい』
 「残りの30名はどうするお?」
 『強行偵察です10名で第一イロハ坂と第二イロハ坂の状況の偵察をお願いします』
 「分かったお!分けてくれだお」
 ヤルオとヤラナイオの部隊は第一イロハ坂の強行偵察。 他の部隊は第二イロハ坂の強行偵察。  2つの部隊は二手に分かれて行軍を始めた。
 『ヤルオさん、ヤラナイオさん生き残って下さい』
 見送りながらデキルオは呟く。 親友としての信用か?それとも生き残り安い部隊へ組み込んだ己への言葉か? 答えを知る者はいない。

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