グンマー2100~群像の精器(マギウス)
第113話 NEO埼玉とNEO舞鶴
――2100年4月28日18時30分 NEO埼玉要塞
NEO埼玉の司令部には、復帰ジョン大将がいる。 集中治療室からアッという間に回復した。 そんな彼は、関西方面のNEO舞鶴要塞の司令官と話をしている。
『で、君達が放ったF-35が民間機へ攻撃したのは事実か?』
「そもそも、我々は民間機に迫る危機を排除する事が目的だった」
『その結果がこれか?』
映像に見せるは、ミサイルが機民間機に当たる光景。
「こ、この映像は!」
NEO舞鶴要塞の司令官が思わず躰を前のめりにする。 彼等も戦闘機側からの映像は有ったが、撃墜時に映像が途切れていた。 此の様に鮮明な全体映像が、映っている物は手に入れていなかったのだ。
「君の所が手に入れたのか?」
『イヤ、グンマー校からの情報提供だ』
「くっ……」
『すでに、世界中のネットに広げたそうだ』
フッとジョン大将は笑みを零す。 自軍が民間機を攻撃し、日本との外交問題へ成りそうな問題。 何故、ジョン大将は笑みを浮かべているのだろう?
それを説明するには、NEO埼玉とNEO舞鶴の違いについて説明が必要になる。 ジョン大将を含めNEO埼玉は陸軍出身者が多い。 一方のNEO舞鶴は、司令官を含め空軍と海軍出身者が多い。
NEO埼玉はグンマー校とは5年前の【首席暗殺未遂事件】では、ギクシャクしてた。 次第に交流を深め、現在はビースト等の災害等でも協力をしている。 そんな仲を邪魔してくるのが、NEO舞鶴等や南関東連合の米軍基地である。
先日のSR-71もNEO舞鶴から発信した空軍の偵察機である。 野球部のボールがマッハ3で偶々当たり、NEO埼玉に不時着したのが新しい話題でもある。 これには、ジョン司令がグンマーとの仲を悪化させるとして、NEO舞鶴側に非難をしている。
こういった軍事的緊張でのNEO埼玉とNEO舞鶴の仲の悪さもある。 が、一番は見ている物が違うという点にある。
グンマーは北部と東部のビーストの見、NEO埼玉はNEOコレヒドール要塞を見ている。 NEO舞鶴は、お隣の中国とグンマーを見ている。 全員が見ている物が違うのである。 NEO埼玉が考えているのは、グンマーにNEOコレヒドール要塞へ目を向けさせたい。
邪魔をする、NEO舞鶴へ政治的な一撃を与えたかったのである。
『我が国が、沖縄等で日本政府と微妙な関係である事は知っているだろう?』
「知っているが、それは日本政府の問題であり我が国の問題では無い」
『太平洋がビーストによって封鎖されている今は、日本の物資は欠かせない』
「分かっている、日本の自衛隊は軍と呼ぶには弱い。我が国に協力するのは当然だ」
『貴様は、何も分かって無い!物資が東京だけで賄えると思っているのか?』
「違うのか?」
『はぁー、極東軍の物資割は本国が2割、埼玉が1割。東京が1割。残りが首都圏校とグンマー校だ』
NEOコレヒドール要塞でのビーストの戦い。 何と首都圏校とグンマー校の割合が6割と非常に高い。 グンマー校と首都圏は、NEOコレヒドール要塞にとって生命線である。
「グンマー校が物資の支援をしているだと?聞いていないぞ?」
『それはだな、首都圏校がグンマー校の資源を空輸しているからだ』
「直接は、渡していないのか?」
『ああ、グンマー校曰く【ビーストとは戦うが、テロリストとは手を組まない】そうだ』
未だにグンマーは、米空軍と海軍及び海兵隊と敵対している。 されど、NEOコレヒドール要塞が陥落するのは非常に不味いという事は知っている。 そのため、【名目上は首都圏に輸出】という事で支援を行っている。
『で、我々はこれから降下してくる。機体を迎える準備をしている』
「そうか、分かった」
『あと、お前の担当地域の提起を大統領閣下へ報告させて貰う』
「なんだと!」
『少しは反省したまえ!我々がグンマー校と友好関係を維持する為だ』
フンっと鼻を鳴らしながら、通信を切る。 横に座っていたオペ子が、ジョン司令の方を見ながら口を開く。
「閣下?あの対応で良かったのですか?」
『勿論、問題は無い。我がNEO埼玉はグンマー校と友好を維持するのだ』
(グンマー校は領土拡張とかそういう事は考えていない。考えているのはビーストの駆除) (組織も安定しており、日本政府よりは話が通じる存在だ) (一番は、首席以外の彼女達がテロ指定を解除する事にあるのだが……)
グンマー校の運営は、首席と三人の少女達が担っている。 グンマー校の最大の攻撃力を持し独立戦争の英雄、至誠賢治。 親衛隊を統括管理する、業火の女神こと赤城朱音。 群馬警備統合部、通称GPUを統括する妙義凛。 生産部門全てを統括する吹雪女の榛名彩華。
大抵のグンマー内の方針は、彼女達の部下が作り彼女達3人の合議によって決まる。 首席の仕事は、大量の書類に判子を押す事にある。 暇を持て余した首席は……G型トラックを販売するお仕事をしている。 お仕事によって、資産が総額で30兆円程になっている事は公然の秘密である。
『さて、我々は降りてくる機体を待つとするか』
「ハイ、閣下。情報ではもう暫くしたら降りてくる様です」
ジョン大将とオペ子は椅子から立ち上がると滑走路の方を眺めた。
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