グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第109話 115年目の飛行 後編★


 ――2100年4月28日18時10分 相模湾上空
 逆落としに、F-4 ファントムIIはランドセルを背負ったオッサンに襲い掛かる。 気がついたのか?目つきが悪いスナイパー顔の男は、F-4に銃を向け放つ。 ジュッと大気を焦がすような音と共に、見えない何かが飛んで行く。 F-4は緊急回避行動を行うが、右翼の先端が吹き飛ばされ白い筋を作る。
 「うぉ、危ねーーー鉄斎良く避けた」
 「先輩!舌噛みますよ!」
 機体を捻りながら、鉄斎少年の操縦するF-4は男を追い掛ける。 男もランドセル下部の精神伝導メンタルトランスエンジンを加速させる。
 「クソ、チョコマカト動きやがって」
 トリガーの安全装置を外しながら、ヘッドアップディスプレイの中央に男を持ってくる。 だが、中々男の姿は画面中央に入らず回避されてしまう。 戦闘機とランドセル型の飛行装置。 圧倒的に、ランドセル型の飛行装置の操作性が良い。
 F-4 ファントムIIの全長が19m、全幅が12m。 一方、ランドセル男の方は1.5m程で幅は30cm。 旋回度及び、回避共にランドセル男に利がある。 ランドセルに付けた腕型のマニュピレータが、ランドセル内から小型の銃を展開する。 様々な武器がランドセル内に入っており、凡ゆる自体に対応可能だ。
 だが、各国は採用しない。 各国首脳の支援者スポンサーが良しとしない為である。 戦闘機や武器という物は、利益を上げる為に存在する。 それをマイルドに言えば、平和への投資だろう。
 それを言うなら、よっぽどランドセルの方が需要があるだろう。 繰り返すが、各国は採用する事は無い。
 その為、状況は彼にとって最悪だ。
 「くっそ!空中で止まって俺の背後に取っただと!」
 「あー言わんこっちゃない。空戦でグンマー校に勝つのは難しいんだよ」
 「先輩どうすれば、良いんですか?」
 「理想は、圧倒的火力による面による制圧。だが、アイツの能力が分からん」
 「先輩!別な機影がレーダーに移りました」
 雲海から高速で現れたのは、主翼の菱形翼と水平尾翼の機体が特徴のF-35が5機。
 「関西連合?イヤ、米軍か?何故だ」
 先輩少年が言っている間にも、F-35達は一斉にミサイルを発射する。 それは、先輩少年が言っていた圧倒的火力による面による制圧。 5機の戦闘機から発射された20のミサイルは男を追い掛ける。 が、一行に爆発はせず男とミサイル達は並ぶ。 そして、男が右手に持っていた銃を向けるとF-35にミサイル達が飛んで行く。
 「ミサイルのコントロールを奪っただと?能力は何だ!」
 「先輩!回避しますよ!」
 F-4もフレアを撒きながら回避活動を始める。 回避行動は徒労に終わる事になる。 ミサイル達は発射をしたF-35の方へ飛んでいったのだ。
 F-35の戦闘機のパイロット達は、予想だにしない事に慌てながら回避を始める。 散会しながらフレアにチャフをまき散らしながら、ミサイルを回避する。 だが、上手くいっていない様で、一機また一機っとミサイルに追いつかれ爆発する。
 「米軍の回避は完璧だ、しかもミサイルは熱追尾だがまさか……」
 「先輩?どうしたのですか?」
 「奴はミサイルを操る能力なのか?」
 「まさか!そんな能力が有るのですか?」
 「分からん!」
 そう言い合っている間にも、残りの米軍機は一機になってしまった。 2つのミサイルに追われるF-35は、上昇を始め回避行動を行う。 乗っているパイロットはベテランの様で、上手くミサイルを躱す。
 されど、人間という生き物は一つの事に囚われ過ぎると片方を疎かにする。 勿論、戦闘機のパイロット達は同時処理マルチプレイの訓練を受けている。 訓練の良い点は、実戦と違い失敗しても死ぬことが無く事である。 そういった意味では、心に安定があるともいえる。
 されど、今は心のゆとりなど無く命懸けである。 そのパイロットは、雲海の中を突っ切り逃げ惑うが有る物を見落としていた。 JANAL123便、最新機体A380で乗客数524名である。
 突如として、A380とJANALと描かれた尾翼がパイロットの目の前に現れた。
 <a href="//19656.mitemin.net/i245892/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i245892/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 パイロットは緊急回避に成功するが、追ってきたミサイルの一発を受け墜落。 残りのミサイルはというと……。
 尾翼に当たり、破壊していたのだ。
 「くっそ!アメさん余計な事をしやがって!」
 「先輩どうします!」
 「それより!奴は何処に行った?」
 「A380の近くを飛行中です!」
 「近づけさせるな!風防を開くぞ」
 突如として、先輩少年はF-2の風防を開きナイフを展開し男に向かって投げる。 ナイフは高速で、男の持っていた細長い銃身に刺さり火花を上げる。 男は銃を見た後に、使用不能と判断したのか手から落としA380へ向かい取り付く。
 「くっそ!悪化した!俺のナイフが機体に刺さたら機体が壊れちまう」
 「先輩!僕に行かせて貰って良いですか!機体に飛び乗ります」
 「分かった!無理はするなよ!」
 F-2がA380の上を通ると同時に、鉄斎少年は機体に飛び乗る。 タンっと鉄斎少年は機体に飛び乗り、男と対峙する。
 「貴様のスキにさせないぞ」
 メンタルギアの刀を展開する。 男はフーットため息を吐くと、指に付けていた指輪を外す。 風を切る色素が薄い紫の髪、」紫水晶の様な瞳、ツインテールが特徴の少女が姿を見せる。
 「君は……髪型は違えとまさか」
 「気がついた?鉄斎君!だけど何もかも遅かったわ」
 少女はそう言いながら、武器の銃を展開し弾を放つ。 鉄斎少年は弾を避け、少女に襲い掛かるが少女は既に機体から飛び上がっていた。
 「じゃーねー、また会いましょう」
 少女は雲の中に姿を消していった。
 「一体、何をしたんだ。藍野那姫子あいのなきこちゃん」
 鉄斎少年は、壊れた尾翼を眺めながら呟く。 この時、鉄斎少年は更なる試練が自分に降りかかる事を知る由も無かった。
 偶然にも時間は、離陸から12分後の18時24分。 彼等の計画が動き出す。

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