グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第100話 羽田空港狂騒曲 (6)


 ――2100年4月27日11時00分羽田空港
 羽田空港、警備室。 先輩少年と鉄斎少年がソファーに座っている。 向かい合って座っているのは、スーツに眼鏡を掛けた男。
 『で、我々は首都圏首席から任務を与えられている』
 「任務とは?」
 『それは、言えないが鉄斎は私の部下だ』
 「彼は、元グンマー校の生徒ですが?」
 『すでに放校され、グンマー校とは無関係だ』
 先輩少年の言葉を受け、男は鉄斎少年をじっと見つめる。 足元から頭まで、刺さる様な視線が投げかけられる。 思わず、鉄斎少年は躰を竦ませる。
 「ふっ、こんな臆病な人間だからグンマー校から放校されたのか」
 中等部の生徒に対して、吐く言葉では無い。 だが、男が前に出会ったグンマー校の生徒は違った。 その生徒は逆に、男を怯えさせる様な存在で有った。
 (前に会った彼女に比べたら、此奴はぺぺーだな)
 そう思いながら、男は先輩少年の向きなおす。
 「分かりました、くれぐれも我々の邪魔をしない様に」
 『そちらこそ、邪魔をしない様にな』
 先輩少年はソファーから立ち、鉄斎少年も引きずって行く。 そんな光景を見送るっていると男の部下が話しかけて来た。
 「あのまま放っておいて良いのですか?」
 「ああ、問題は無い。彼等に何か出来るとは考えていない」
 「だと良いのですが……」
 そう言い合っていると、ガチャと扉が開き別な部下が入って来た。 別な部下は、男に耳打ちする。
 「それは本当か?」
 「本当です」
 「分かった向かおう」
 男達は、部屋から飛び出し何処へ向かう。
 ◆  ◆  ◆
 男達が、向かったのは空港入口。 白塗りに金色のリムジンが停車している。
 『やっぱり、羽田空港は大きいね』
 「そうでしょ!民間では日本で一番大きい空港なんだよ!」
 『管理も大変そう』
 「そこは、面倒だから国に任せている」
 銀髪に朱い瞳の少女は、滑走路の様に平坦な胸を逸らしながら言う。 が、残酷にもフラットは幾らそらしてもフラットだった。
 『ウチの上毛フロンティアカルタ空港は生徒が管理しているわ!』
 「管理まで、ご苦労な事で」
 『イエイエ、何事も取り込んでシステムを内製化しないとね』
 赤茶髪に赤い瞳。 二つのたわわに実ったレドームが、制服の上から見える。 周りの男達の視線が、一気にレドームに捕捉される。
 関東平野のごとく平面なのは、首都圏首席の白虎乙姫びゃっこおとひめ。 レドームなのは、グンマー校の前橋宇佐美まえばしうさみ
 2人が空港内へ足を向けた時。 自動扉が開き、男達が姿を見せる。
 「貴様!何故ここにいる!」
 『あら、良い男の阿部さん。公安関係者の方に再び出会えるとはね』
 良い男の阿部と言われた男は、宇佐美を睨む付ける。 宇佐美も下から阿部を覗き込む。
 「今日は、貴様の思う通りにはさせんぞ!」
 『あら、何もまだしていませんよ』
 「目的は、何だ!」
 『あ、到着する機体で、グンマー校に戻ろうっと思っていました』
 どうやら、羽田に到着する機体でグンマー校に戻ろうしていた様だ。 来るまで、全機がグンマー校に直接戻った事を知らない様だ。
 阿部は悪い笑みを浮かべながら、宇佐美に話し掛ける。
 「残念ながら、グンマー機はゴーアラウンドした」
 『え、本当?』
 宇佐美は、ポケットからスマホを取り出し確認する。 グンマー校の特定資格を得た者は、機密情報を見る事が出来るのだ。
 画面には、グンマー校所属の機体の行き先が表示される。 全てが、上毛・フロンティア・カルタ空港っと表示されていた。
 『あら本当、仕方が無いわね。電車で帰るわ』
 「送るよ」
 『ありがとう』
 宇佐美は、白いリムジンの中に入っていく。  その後に、続いて乙姫も中に入る。
 やがて、リムジンは空港か去っていく。
 「アイツ等、何をしに来たんですかね?」
 「わからん、だが警戒を強めるんだ」
 「ハイ、分かりました」
 男達は、空港内へ去っていく。 そんな男達を見ている影がいる。
 「流石、宇佐美隊長、荷物は受け取りました」
 その影の小指には、糸が付いていた。  糸は解け、一つのジュラルミンケースに変わる。 ケースを持つと、影は空港内に姿を消した。

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