グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第78話 殺戮兎《キラーラビット》後編★


 ――2100年4月23日12時00分東京某所
 病院の廊下を走る少女がいる。 少女は病室の前で、ガラっとドアを開ける。
 「あ、ほまれちゃん。来てくれたの」
 『勿論、姫の一大事なのですから」
 そう言いながら、病院服を来た乙姫の胸、腰、大腿部を撫でる。
 <a href="//19656.mitemin.net/i235907/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i235907/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 「中年親父みたいだな、変態」
 『うっさい、宇佐美が何故いる?さて、姫を攻撃したのは貴様か』
 宇佐美の前に、多数の矢が展開される。 キリッと音がし、誉の周りに糸が展開される。
 「全く、変態さんは細切れ美少女肉にされたいのかしら?」
 『貴様こそ、ハリネズミにされたいのか?貴様の罪を懺悔せよ』
 「懺悔ザンゲフ?何それ、格闘ゲームに出てくるキャラ」
 「誉ちゃん、ウサちゃんじゃないよ?」
 クワっと瞳を開き、乙姫の両肩を掴む。 思わず、乙姫もビクッと躰を震わせる。
 『一体、誰が?何の為に』
 「何か知らなけど、警備局の2人が降ってきた。鉄斎君達3人は警備局の病院よ」
 『分かりました、拷問じんもんしてきます』
 ヒュンと音と共に、誉の姿は消えた。
 ◆  ◆  ◆
 警備局の病室内。 先輩少年と鉄斎少年、老人は同じ病室内にいた。 寝ている鉄斎少年を見ながら、老人に質問するのは先輩少年。
 「で、張老、地獄の傀儡師ヘルマリオンが東京に来た理由は?」
 「良く分からないが、首都校とグンマー校が取引をした様じゃ」
 「今回の司法関係者暗殺は、地獄の傀儡師ヘルマリオンでは無いと?」
 「そうじゃ、間違えなく。別な奴による犯行」
 「張老が襲われたのは、何故?」
 「あれは、10年前の関西動乱時にだな……」
 ヒュンと音がし、1人の少女が姿を現す。 トストスっと音と共に、張老人と先輩少年のすぐ傍に矢が刺さる。
 「ヒッツ、誉副書記」
 『成程、張、お前が黒幕か?』
 「儂は何もギャっ」
 老人の両脚に矢が刺さる。 さらに、多数の矢が展開される。
 「誉副首席、私が張老を現在聴取しております」
 『分かるぞ、姫を爆殺しようとしたんだな』
 「儂は、ただグンマー校と首都圏校の取引……」
 張老の言葉が続く事は無かった。 彼の胸には、矢が刺さっていた。
 『フン、余計な事を調べおって。貴様の躰をエタノールに変えた』
 「少年……この女の企みを……グホッ」
 『黙って、死ねば良かったのに』
 頭に矢が刺さり、白目を向ける。 躰が、壁に倒れると同時に張老人は揮発し消滅した。
 『さて、次はお前だが殺すには、惜しい人材だ』
 「副首席……貴女達は一体」
 『死にたく無かったら、2人と一緒に老人の組織関係者を抹殺しとけ』
 「イヤだと言ったら?」
 『お前の妹が死ぬが?可愛いまとだと思うだが』
 にやりと凶暴ヴァイオレットな瞳を笑わせる。 そして、一斉に矢が先輩少年へ向かう。
 「分かりました、副首席。でも、調査はさせて貰います」
 両手を上げながら、不敵な笑みを浮かべる。 依頼には従おうが、自分のしたい事をする。
 『まぁ、いいけど、取り敢えず姫の下着を見た罪は払おうか』
 「グホッ」
 先輩少年の躰中に矢が刺さり、ベッドが血に染まる。 血を吐きながら、先輩少年は呼出ベルを押す。
 『以外にシブトイ』
 「殺す気でしたね」
 『生きてた褒美にヒントをやろう、殺戮兎キラーラビット可哀想な羊スケープゴート
 「何ですか?それは?」
 副首席に問うがすでに姿は無かった。 やがて、呼出ベルで呼ばれた看護師に躰を抑えられ、ベッドに縛り付けられる。 鉄斎少年は、動じずスヤスヤと寝ている。 ある意味、大物かそれともズボラなのか……いずれ明らかにされるかもしれない。

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