グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第75話 少年の初任務と襲撃 後編


 2100年4月23日09時00分都内病院。 薬品の匂いがする部屋の中で、鉄斎てっさい少年は目を覚ます。
 『知らない天井だ……』
 呟きながら躰を起こす。
 「おはよう鉄斎起きたな!」
 先輩が鉄斎少年の傍に座る。
 『先輩、大丈夫だったんですか?』
 「健康増進装置ヘルスマシンで直ぐに治ったさ」
 『自分は、苦手です』
 「これからは、モット使う機会が増えるさ」
 『ハイ……で、任務はどうなったのですか』
 「勿論、成功はしたさ」
 リモコンで、テレビを付ける。 時間は12時で、お昼のニュースを放送している。 其処には、老人の写真が映っている。 先程まで、護送していた最高裁判官である。
 検察庁内で、急死したとテロップに表示されている。
 『先輩失敗したのですか!成功したと言いましたよね!』
 「ああ、そうだな!囮任務は成功したじゃないか?」
 舌を出しながら笑顔で、ディスプレイを展開し作戦詳細を説明する。
 詳細を纏めるとこんな感じ。 首都圏校の護衛は囮であり、本当の護衛は自衛隊特殊部隊が行う。
 「まぁ、我々の任務は成功した。これが、報酬さ」
 ディスプレイの映像が変わり、鉄斎少年の口座に入金が示される。 3000万円と中学生には高額で法外な金額で有った。 
 『1回の任務で、3000万は多すぎませんか?』
 「任務は継続中、命の値段だと思えば安いだろう?俺の場合は……」
 別な口座が表示され、5000万円の入金が表示される。
 「まだ、前払いだ。俺たちの任務は後4回ある」
 『酷い……1回400万じゃないですかー』
 「死んだら、指名者が居ない場合は首席に回収されるからー生き残れ」
 『首都圏の首席は、ブラックだーー』
 鉄斎少年が声を上げる。
 ◆  ◆  ◆
 その頃、首都圏校のホームにて、クシャミをする少女がいた。
 「乙姫首席大丈夫ですか?」
 『ほまれちゃん!誰かが私の噂をした様だねー』
 「分かりました、早速調査し、可及的速やかに消します」
 『誉ちゃん、噂くらいは許してあげようーよ』
 「姫の噂をするなど、言語道断です殺すべしです」
 物騒な会話をしている2人の美少女。 首都圏首席の白虎乙姫びゃっこおとひめと副首席、山手誉やまのてほまれである。
 彼女達が待っていた物が、ガタンガタンと音を立てホームに入って来た。 UNと描かれた国連所属の列車である。
 プシューっと音をたてドアが開く。
 周りを黒服に黒サングラスに囲まれて出て来たのは、1人の少女。
 「お久しぶり、首席さん!最後に会ったのは関西動乱以来10年ぶりかな?」
 『そうだね、宇佐美さん』
 出てきたのは、赤茶の髪に朱い瞳、ウサ耳を付けた少女。
 宇佐美は乙姫に手を差し出し、握手を求める。 乙姫は、宇佐美の手を握り握手をする。 チリッツバチッと音がし、空間が一瞬歪む。 男達が、懐から出した銃を宇佐美に向ける。
 「まったく、首席殿とは縁が無い●●●●様ですね」
 『ええ、有っても圧縮して●●●●潰すけどねーー』
 銀髪に朱い瞳を笑わせながら、宇佐美を見る。 握手をしているが、試合前の握手という雰囲気を醸し出している。
 「ところで、依頼した物は揃っているかしら?」
 『代金は?』
 「すでに、振り込んだわ」
 宇佐美が言い、乙姫はディスプレイを展開し口座を確認する。
 『入金を確認したわ……100億なんて何処から出たの?』
 「グンマーの名産物、G型トラックの売買かな?」
 『フフ、今回は貴女が仕事人ね』
 「そうだけど、そうで無い。今回の私は、可哀想な羊スケープゴート
 『殺戮兎キラーラビットじゃなくて?』
 「詳しくは、後で話すわ」
 2人は護衛官達に囲まれながら、出口の方へ足を進める。
 宇佐美の可哀想な羊スケープゴートとは……。 残り、4人の任務……鉄斎少年に待つのは囮か護衛か……。
 どっちだろう……か。

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