グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第70話 石川攻略 後編

  土煙が、晴れ始める。
 「隊長もエゲツナイワー」 「だから、隊長やってられるんだわなー」 「そもそも、いただきますを言わないのが悪い」 「半知性を持ったビーストも其処まで、知恵が回らなかった」
 周りの隊員達は、酷評する。
 観音像から生えた千本の腕は全て、ゴリラ型ビーストを押しつぶす。 全力の一撃は、肉の山と一緒に全てをペシャンコにした。
 「ヤったか?」 「それフラグだってば!」 「分かって言ったのだ!」 「フラグ回収するのは、隊長の仕事でしょ!」
 言い合っていると大地が、バゴンっと音を立て吹き飛ぶ。
 「ぐあらららら」
 躰を震わせ怒ったビーストが姿を見せる。 全身から殺意が溢れさせ、観音像に乗ってる白衣びゃくえを睨む。
 『あら、いい顔出来るのね!流石、半知性体といった所かしら』
 そう言っている間に、ビーストは槍の様な骨を振り回し迫る。 右足でタタラを踏み、一気に両手に持った槍で観音像を袈裟斬りにする。
 「ヤったか?」 「それは、願望?」 「イヤ、言葉が話せないビーストの為に翻訳した」 「言霊って、怖いんだよ」
 隊員の言葉通り、観音像は見事にビーストの槍を受け止めていた。 メシメシと音がし槍がしなる。
 「ぐるるるりゅ?」 『世の中は、正直者がバカを見ることもある』
 バキっと音がし、槍がへし折れる。  ビーストは、慌てて後ろに下がる。
 そして無手で、構える。
 『ウン、私の勝ち』
 突如、ビーストの後ろから多数の手が現れ雁字搦めにする。
 『技の一つ森林菩提樹アマゾンオブブッダ、植林した手の分だけ生えてくる』
 「ぐるるるぐぐぐるるる、るるるぐるる」
 腕に雁字搦めにされながら、ビーストは観音像を見る。 先程までは、1000本あった手が500本に減っている。
 『500本程、手を植林した……だから生えてくるの』 
 白衣の言葉が周りに木霊する。
 「んな馬鹿な!」 「卑怯よ!卑怯よ!」 「それは?」 「ビーストの言葉を翻訳した!」 「嘘だよビーストは、こう言った」
 『辱めは受けぬ、くっ殺せ。そうね、武士の情け一撃で楽にするわ』
 シュっと風切り音がし、ビーストの首が宙を舞う。 その顔は意外にも戦いの中で死ねた事で、怒の表情は無かった。 100m弱の巨大な躰が大地に崩れ落ちる。
 『無事にボスビースト撃破完了!金沢を開放したわ!」
 ワーッと歓声が周りから声が聞こえる。
 『さて、この死体どうしましょう?』
 「私が、燃やして上げましょうか?」
 『朱音あかね副首席』
 声の主は朱音。 脚の裏から炎を出し、立っている。
 『そうですね、骨以外は燃やしちゃって下さい』
 「了解」
 右目を開くとアッという間に、ビースが骨だけになる。 勿論、骨は鉄で出来ており再利用出来る。
 『朱音副首席、貴女が此処に来たという事は?』
 「ウン、加賀から金沢まで沿岸部と山の一部は喰べて来た」
 『山の中は?』
 「能登のと牛と沢蟹さわがにとかは喰べた。それ以外はまだ」
 朱音の言葉で少し考え、白衣は決断をする。
 『山岳戦が得意な部隊を編成し山狩りを!後はこの街のビーストを駆逐するわ!」
 「「「「ハイ!」」」」
 彼が指示通りに編成し、動くのを確認し横の朱音の方を向く。
 『朱音副首席はボスビーストの駆除宜しく』
 「シレっと酷い依頼されたよーー」
 『だって、汚そうだしね……』
 「仏様は汚泥の中から罪人を引き上げてくれるのにねー」
 『糸を垂らして争わせたり、業火の炎で焼いたりもするけど?』
 「分かったわ!やるわよー」
 両手を上げ、降参っというポーズをする。 白衣の方から目を離し、今度は巨大な大空洞へ脚を進め中を見る。
 「本当に燃やしていいの?」
 『いいですよー』
 「分かったー」
 ボン、ダンダンっと音がし大地が揺れる。 観音像の周りも土煙が上がり、砂が下に堕ちていく。 巨大な重量の観音像もバランスを崩す。
 『なっつ!!』
 「中の廃棄物でメタンが溜まっていて大爆発が起きたみたいー」
 『やってくれたわね!』
 「何の事だかねーこのままだと爆発に巻き込まれちゃうなー」
 『白々しい!!』
 白衣の声と共に、観音の背中に大量の腕が生え羽の様に変わる。 観音像が空に飛び上がると同時に、大地が裂け大爆発が起こる。
 『フー危なかった』
 「てっきり、下に墜ちるかと思った」
 『観音様が堕天とかないわー』
 ギロっと観音像が朱音を睨む。 普通の者なら、失禁脱糞してしまいそうな眼光。 だが、朱音も右目を爛々と輝かせ観音像を睨む。
 「燃やせないか……私はあと少しだけ、山狩りして本校に帰るわ」
 『とっとお帰り……賢治首席様に評価して貰えるか後で勝負よ』
 「もちろん」
 『わたし』
 2人の間で。何かが割れるような音がし離れていく。
 2100年4月20日11時00分。 ゴリラ型ビースト通称:又左と戦いは、親衛隊隊長の白衣が勝利。 同時に、朱音副首席が加賀から金沢間のビーストを喰い尽くし開放。 これにより、15年ぶりに石川県のほぼ全域がグンマー校により開放された。

「グンマー2100~群像の精器(マギウス)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く