グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第68話 帰省


 NEO埼玉駅構内、黒と白の列車が汽笛を鳴らす。
 「それでは、また」
 「こちらこそ、また」
 賢治と乙姫両首席が握手をし、フラッシュが焚かれる。 2人とも笑顔で互いを見送り、列車の中に入る。
 そんな彼らを見送るのはオペ子。
 『3日間は長い様で、短かったわ……』
 「フン、私だけは除け者にされた様だな」
 『あら居たのですか、南関東首席」
 黒髪に糸目が特徴な木更津君津きさらずきみつ。 彼はこの3日間、自分の予定以外はお呼びが掛からなかった。 それに、不満の様だ。
 『我が国は、首都圏校とグンマー校との友好が重要なのです』
 「2校とも我が校と同じ様に、日本に属しているでは無いか?」
 『日本は九条により、他国で戦争が出来ない国ですよね?』
 「その通りだが」
 『グンマーが国になったら、九条が問題になるでしょう』
 「!?」
 『内戦だからこそ、自衛隊は九条問題で煩わされず戦える』
 九条は国際紛争を解決する手段として武力を永久に放棄すると書いて有る。 国際紛争……つまり、グンマーが国として独立したら戦争が出来なくなる。 県であるからこそ、国内問題として処理が出来るのである。
 『グンマーは、イタリア襲学旅行アサルトトラベル等で日本に気を使っています』
 「そもそもは、10年前にグンマーが東京の傘下に入っていれば……」
 『結果論ですが、我々米国は日本政府よりグンマーと首都圏を好みます』
 「10年も変わらない体制を、独裁政治ファシストと呼ぶのでは?」
 『米国は、同盟国の県政と都政に口は挟みませんよ」
 オペ子は、にやりと笑顔を見せる。 逆に、南関東首席は苦虫を潰した顔をする。  彼的には、グンマーが独裁政治ファシストと言って欲しかった様だ。
 まぁ、仕方が無い事。 彼には、知る術がない戦争や外交が有るのだから。 
 10年前の群馬独立戦争グンマワーで、米国はグンマーを知った。 1年間に渡る戦闘で、米国は大損害を出した。 5年前のグンマー首席暗殺時も同じ様に、大損害を出した。
 その後の5年間は米軍と有志連合は、グンマーと世界各地で代理戦争を開始。 死傷者数は凡そ30万人。 此れは、ベトナム戦争以来の戦死者数で有った。 多くの戦死者により各国で抗議デモが多数起きている。
 それに対して、グンマーは重傷者は出したが戦死者はゼロで有った。
 圧倒的な物量で多国籍軍の攻勢に対して、幼い適合者フィッター達に負けた。 戦争が【量から質】に変わった歴史的瞬間でも有った。 唯一対等に戦えたのは、首都圏校のみ。 更に、グンマーと日本政府の関係を各国は理解した。
 ビーストに占領された群馬の奪還後に、日本政府は行政代執行を行ったのだ。 これにより、グンマーと栃木、日本政府の内戦が勃発。
 【くだらない理由で!内戦を始めたのか!】 世界は怒り、日本政府に匙を投げた。
 同時に、米国はグンマーとの接触を始めた。 その結果、米国はグンマーの友好関係を築く事に成功した。
 基本は相互不干渉……っという建前に合意した。 一応、日本を守るという名目の下でNEO埼玉基地を建設し圧力を加えた。
 グンマーは、圧力を受けるどころか押し返した。 10年で10万人の人口増加で、学園都市に変わり、逆に無言の圧力を加えている。
 『グンマーは、我々に力を示しました南関東も力を』
 「分かっている!示してやるさ」
 南関東首席は踵を返し、列車の方へ向かう。
 (これで、フィリピン戦線へ参戦を望んでくれるでしょう)
 (ようは、グンマーをおとせれば良いのだろう?)
 2人の意志と思惑は違う方向へ動いていく。

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