グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第27話 賢者と司令官


 NEO埼玉司令官ジョンは、椅子に座る。 が、周りの違和感を感じた。 護衛の兵士達が、全員床で寝ているのだ
 「一体何が……まさか?」
 「その通り」
 「基地に暗殺者が……不味いですね」
 「!?」
 賢治は、自分がやったと言ったつもりだった。  司令官は、勘違いをした様だ。
 司令は早速、監視カメラの映像を展開する。 賢治が銃子に抱きつき、銃を構えた銃子が窓から飛び降りる。
 護衛の兵士達が窓際に向かうが、糸が切れた人形の様に倒れる。 暫くして、銃子が戻り賢治に抱きついた。
 マギウス波は、計測したが一瞬の為に誰の物か測定不能と表示された。
 状況を見るなら、賢治が銃子を呼び襲撃を伝える。 銃子は、窓から飛び降り襲撃者を追いかける。 何らかの襲撃を受けた兵士達が倒れる。 襲撃者を追い掛け、戻って来た銃子が賢治に抱きつく。
 「銃子秘書、ターゲットは何処にいました?」
 「米軍陸軍航空基地内にいたよー」
 「本当ですか?」
 「一応は、始末はしたよ」
 「どうやって?」
 「私のメンタルギアを使って」
 「そうですか」
 そう言いながら、司令官は何処かの部署に指示を出している。 恐らくは、基地内の警備隊だろう。 賢治は、銃子の頭を撫でながら司令官に尋ねる。
 「で、司令官殿は、何の御用で?」
 「首席殿は、能登の此れからをどうするつもりで?」
 「さぁ、異国の方にお教えするとでも?」
 賢治も詳しくは、まだ分かっていない。 能登半島については、りん書記と浪漫部が決めている。
 首席は、武を担当する。 書記は、知を担当する。
 首席の立場として、ハンコを押しているが詳しくは見ていない。 そんな訳で、どうこうと言える訳では無い。
 「ですが、グンマーが1県で、統治出来る広さでは無いです」
 「詳しくは、凛書記にお尋ね下さい。で、他には?」
 「栃木と群馬の県境の件ですが」
 ジョン司令は、地図を展開する。 展開された地図には、旧古河市から県境沿いの土地が赤く塗られている。
 「自衛隊が平和維持で、管理する所ですね」
 「ハイ、此処を我が国連軍が管轄します」
 「随分、思い切った事をしますね、自衛隊は何処を管轄するのですか」
 「白石山等の奥秩父を管轄して、貰う事にしました」
 山の中に配備された、国連部隊と自衛隊を入れ替える図が示される。
 「ジョン司令も人が悪い、都会に国連部隊を持ってくる何て」
 「イエイエ、奥秩父はビースト侵攻阻止の重要地点です」
 2人は、悪い笑みを浮かべる。 1人は、ド田舎過ぎて士気が下がった部隊の編成に悩んだ司令。 もう1人は、10年前から自衛隊が嫌いな首席。
 「国連軍とは仲良くしたい物です。国連軍のみ、館林へ立ち入り許可します」
 「10年ぶりに、最大の前線都市、氷城の館林アイシクルタテバヤシが開放されるのですね」
 「館林を管理しているのは、榛名彩華はるなさやか庶務」
 「10年前の戦いで、日本全土を積雪10mにしたという吹雪女ブリザガル
 「彼女は、狡猾で悪戯好きです。慎重に人員を気をつけて選んで下さい」
 「は、ハイ」
 ジョン司令は、相槌を撃つ。 群馬県館林市、日本で暑さの1・2位を争う都市。  現在は、栃木市と対立の暑さで紛争地域の1位に輝いている。
 毎日、砲弾が飛び交い互いに爆撃を行う。 それが、前線都市の館林。 10年前の戦いでは、国連軍から義勇軍で参加した部隊と激突。
 派遣された義勇空軍の旗艦名は、大和。 国連所属メンタルギア超弩弓戦艦一番艦、GMGBS001が正式名将。 大戦闘の後に古河市上空で、撃沈された艦でも有る。
 10年間に渡り封印された前線都市、館林。 此処との交流を許可されただけでも、ノーベル平和賞物。
 後日、ジョン司令はノーベル平和賞を貰うが2人はまだ知らない。 賢治は、秘書を猫の様に撫でながら、交渉を続ける。 ジョン司令と賢治2人の会談は、後に【NEO埼玉会談】と歴史に名を残す。 

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