グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第10話 少年への試練


 鉄斎少年は、目を覚ます。 (見慣れた保健室の天井)。 っと思い、起き上がる
 「躰は!」
 適合者フィッターだけ有って、何とも無い様だ。
 「自分の躰の心配とは、良い身分だな」 
 「貴女は、朱音あかね副首席」
 朱い髪に瞳の美少女、朱音あかね副首席が冷たい瞳で見る。
 「普通なら、バラバラにされた彼女の心配をするべきでは?」
 「彼女は?」
 「死んだよ」
 「死んだ……どうして」
 「適合者フィッターじゃ無いから」
 朱音は、鉄斎少年に生徒のデータを見せる。 少女は、適合者フィッターで無く普通ノーマル科の生徒だった様だ。
 「彼女に会うことは……」
 「出来ない」
 「どうして?」
 「私が、燃やした。よく燃えた、適合者フィッターで無い穀潰しはよく燃える」  
 鉄斎少年は、顔を怒らせ朱音の方を見て、口を開く。
 「彼女は!僕のたった一人の家族!」
 「ウン、知っている?でも、死んだ人間は、直ぐに、燃やす決まり」
 「良くも彼女を!」
 朱音に拳を振るうが、振りかざした右手がボッと燃え、床を転げ回る。
 「アッチ、アチチチ」
 「そんな、感じで燃やすんだよ、死体は……」
 朱音は、詳細を話してやる 少女の死体が燃えていき、躰を逸らし、灰に変わる所の過程を……。 最後に、骨を砕いていく所では鉄斎少年は耳を塞いでいた。
 「もう、やめて。聞きたくない」
 「お前さんに、プレゼントだ」
 朱音は、鉄斎少年にダイヤのネックレスを渡す。 鉄斎少年は、不思議そうな顔をする。
 「あ、これ、灰から作った彼女のダイヤな」
 「うわっつ」
 思わず、鉄斎少年は仰け反る。 朱音は腰を降ろし、鉄斎と同じ位置に顔を合わせる。
 「お前のせいで、彼女は死んだ」
 「クっつ」
 「穀潰しで有っても、彼女は優秀な生徒だった。失った、首席殿はお怒り」
 「彼女を穀潰し、何ていうな!」
 抗議の声を上げ、朱音へ唾を吐きかけるが燃えて消える。
 朱音の靴が、鉄斎少年の腹に突き刺さる。 鉄斎少年の髪の毛を掴み、転がったダイヤを口の中に入れ殴る。 ゴスゴス、ゲホッつベシっと音がし、血反吐が出ない状態まで折檻された。
 「ウン、悪い子は折檻しないと!さて、彼女は?」
 「ごふくtsぶしです」
 「聞こえない!」
 腹に思いっきり脚を下ろす。 口の中から、ダイヤが飛び出す。
 「穀潰しです」
 「良くできました、最初から言わなかったので、お仕置き」
 ボス、ゴハ、ゲッホっと音が響き、鉄斎少年はボロ雑巾に変わる。 折檻が終わった時、服は燃やされ血の海に転がっていた。  
 「ウン、で話の続き、鉄斎君?」
 躰にバケツの水を駆け、目を覚まさせる。
 「ゲッホ、ゴホッツ」
 「という訳で、首都圏校に、放校処分が決定。向こうの首席は、知っている」
 「君の変わりの首席には、別な優秀な首席の秘書が付く」
 「そんな、事が……」
 「弱い人間は、要らない。刀を使える人間で有っても」
 「覚えてろよ」
 「最後にもう一度、覚えさせる。今日の夜の最終便で、君は出荷される」
 ゴヒッツ、ギュ、ゲハッツ、ボハ、凄まじい折檻の音がする。 1時間後、虚ろな瞳で空を見つめうわごとを吐く鉄斎少年の姿が有った。
 「ウン、頑張ってね!」
 朱音は、健康増進装置ヘルスマシンに鉄斎少年を放り込む。 そして、保健室から出た。
 廊下の壁には、賢治首席が背を付けていた。
 「お疲れ、朱音あかね副首席」
 「ケンちゃん!あんなのやだよー怖かったー」
 「ウンウン、朱音ちゃんは優しいもんね」
 頭を撫で撫ですると朱音は、嬉しそうな顔をする。
 「ケンちゃん、明日のお買い物に付いて、生徒会のお風呂で相談しよう」
 「ウン、分かったよ。待っているよ」
 朱音は、嬉しそうにホップステップし、生徒会室に消えていく。   賢治は、スマホを取り出し、何処かに連絡を入れる。
 唯一聞こえたのは、この会話のみ。
 「あ、凛書記。GPUゲーペーウーを使い、彼の育った孤児院を宜しく」
 不穏な気配を残しながら、賢治は生徒会室へ向かう。 

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