グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第6話 監察官と監督官★


 賢治達が、午前中の授業を受けている間の話。 此処は、群馬の監督・監査官室。 群馬局(GunmatSection)、通称GSと呼ばれている。
 生徒会の群馬最高司令部《GunmaHeadQuarters》、通称GHQと対を為す組織。 OTONA国連側から、派遣されて来ている。
 監督官と言っても武力は、持っていない。 ただ、国連の直下で自衛隊と国連派遣軍に支援要請する権利を持つ。
 監察官の名前は、楫取素彦かとりもとひこ。 明治維新後の政府官僚の様な姿に、引き締まった顔が特徴の男性。
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 「うう、頭が痛い」
 「どうしました?」
 尋ねるのは、赤いメガネが特徴で鞭を持っているのは監督官の女性。 名前を吉田松子よしだまつこという。
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 「南関東連合の監督・監察官が辞任した」
 「監察官、またですか?1ヶ月も持ちませんでしたね」
 「そうだ、不眠症と胃潰瘍で入院した」
 「原因は?」
 「連日の東はビーストの攻勢、西はグンマー校との紛争」
 「NEO埼玉と国連の反応は?」
 「無反応です。フィリピンに上陸した敵ビーストと交戦で大忙しです」
 「碓か、ハワイ島を巣にするビーストだったわね」
 「ハイ、そうです」
 監察官は、映像を展開する。 そこには、恐竜時代のメガウネラ型の巨大なトンボが姿を見せる。 その他にも、巨大な鯨やエイの様な怪物が空を飛んでる。
 トンボは巨大な羽を動かしながら、抱えていたココナッツを落とす。 その様は、第2次世界対戦中のB29。 大地に落とされたココナッツは爆炎の花を咲かせる。
 迎撃げいげきは、国連軍や米国軍の戦闘機が行っている。 撃墜されるビースト、火を黒煙を吹き上げる戦闘機。
 「戦局は、一進一退で国連側からグンマー校へ支援要請です」
 「監察官、お断りの方針で」
 「ですが、理由が無いと」
 「そうだなー、沿海漁業マグロ下二田ネギ防衛を生徒会に依頼した為」
 「監督官……正気ですか?」
 「我が群馬県は、マグロの消費率が高くネギトロも国内で唯一作っている」
 「フィリピン経由で、輸入される小麦が国内へ入荷出来ませんが」
 「我が県は、本土で最大の小麦生産率」
 「県内で消費するパスタの量は、タブ付いています。まさか」
 「そのとおり、国内に回せる」
 ふっと、女性監督官は笑顔を見せる。 彼女は頭の中では、海外からの食料援助に拘らなくても良いと思っている。
 その為に、群馬復興を農産業アグリカルチャー脳産業デカルチャーをメインにした。 食と精神メンタル、両方を充実させる。 それが、中央に依存しない県作りであり新の地方創生。
 「監察官、我々は政府や東京に依存しない。グンマー県で有る」
 「その様に伝えて起きます……国連や政府が反発しそうですが」
 「我々は10年間に渡り、この地を支えた。実績を持つ人間を処罰出来ない」
 「確かに……我々は、グンマーの生徒会とも友好な関係に有る」
 「南関東が揺れてる所で、我々を解任出来ない」
 監督官の彼女もある理由で、此処を離れたくない。
 「ところで生徒会は、次は何を企んでいるのでしょうか?」
 「栃木県境に親衛隊と群馬警備隊ゲーペーウーを付けていますが、本命は」
 彼女は、長野と新潟の地図をスクリーンに展開させる。 群馬の西先端、吾妻郡の嬬恋つまごい駐屯地から矢印が、展開される。
 「監察官!国連と日本政府はグンマーは、どっちへ進むと読んでるの?」
 「恐らくは、長野だと踏んでおります」
 「理由は?」
 「リニアBルートの確保です」
 「確かに!諏訪湖からリニアが使えれば、国内の輸送が楽」
 「監督官もそう思われます?」
 「イヤ、私は違うと思う」
 「では、何処を?」
 「恐らくは、新潟だろう」
 「魚ですか?」
 「そうだ!本部には直前まで、言わなくて良い」
 「分かりました」
 2人は、地図を見ながら言う。 さて、彼等の予想は当たるのだろうか……。   

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