大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。

慈桜

12


「ってなわけでSPの回収してたわけ。」「大変だったんだなぁおいぃ」
話し相手が欲しかったのかも知れない。堰を切ったように言葉が溢れ出してた。隠すにも隠せない気がして全部話してしまった。我ながら浅はかだと思う。うん。
「そうか、それなら俺も暇潰しにお前の手伝いしてやるよ。」「え?いいよ。危ないよ。」
正直な感想だ。国相手に喧嘩します、なんてふざけた話を、じゃあ俺もみたいなちょっと買い物に着いていく感覚で言われても困ったちゃんである。LV3隠蔽も貰った事だしさっさと消えて貰いたい今日この頃。
「子供が遠慮すんなよ!俺もこう見えてフィヨルムに一人しかいないSランクだ。邪魔にはならないと思うぜ?それによ?お前をこのまま放置したらこの国の冒険者が原因不明の弱体化で滅びそうな気がするしよ。」「・・・うぅん。それについては致し方ないと言うか。」「致し方があるんだよ。俺が前面的にバックアップしてやるから!なっ?いいだろ?」
こいつはなんなんだろう。なんの利点があると言うのだ?実質スキルとステータスはばれてるから物珍しく思ってるにしろ、食いつきが良すぎるような。
「なんか得な事あるの?おじさんに損しか無い気がするんだけど」「それは俺が決める事だ。こんな面白そうなガキ、この先お目にかかれそうもないしな。しかも互いの利点もある。この先お前に降りかかる面倒事は俺のせいって事にしてもいいぞ?」
うぅん。まぁいいか。邪魔になったら身ぐるみ剥いで隷属化してスキルとか全部没収すればいいわけだし。
「わかった。じゃあ、協力して?」「おう!素直になれるんじゃねぇか、じゃあ盟約印を結ぼうか」「盟約印?」「なんだしらねぇのか?ってもしかしなくても、その歳ならまだギルド登録してないよな?」「うん、してないね。」「そうか、じゃあ登録すっか!!」「え?いや、密入国だし。」「大丈夫大丈夫!!」
あれよあれよとギルドに連れていかれ、ギルドカード発行と共に掌に魔法印を施された。金はおっさんに出してもらった。正直ギルドに登録なんてするつもりも無かったので迷惑料だ。安いけど。Sクラスの特権ワガママで5歳児の俺が通ったけどなんだかなぁ。
『我ら盟約を元に互いを助け支えあう事を誓う』
登録と同時にアレンが痛い事を言い出した。誓うとかプププ。
「ほら!!お前も同じ文言を唱えろ」「えぇぇ!?まじかぁ。」
やめてくれ、HPがなくなる。しかたない・・・のか?『我ら盟約を元に互いを助け支えあう事を誓う』ゴハッ
互いの右手の掌の魔法印が輝くと、アレンが手を差し出してくる。
「ほら、握手するんだよ」「あっ、うん」
一方的にだが、アレンからの誓いや約束や信念が頭の中に流れこんでくる、そして理解する、自分からも盟約を必要とする事を。
『裏切るな』
何故かこのフレーズが強く浮かんだ。
「ふう、パーティ契約完了って奴だな、リリーナ、簡単な依頼纏めてくれ」「あっ!!はい!!」呆けていた受付嬢に声をかけると我に返ったかのように動き始める。周りの冒険者達も目を見広げて驚いている。後に知る事だが、このアレンと言うボッチのおっさんは初めてパーティを結成したらしく、歴史的瞬間の扱いを受けていたらしい。
口頭での臨時パーティなどはありふれているが、盟約印を用いての結成は極稀と聞いた時はおっさんを殴ろうと心に決めた。
話は逸れたが。
「なるほど。これで互いは信頼できる仲間と言うわけだなおっさん。」「おい坊主、いきなり雰囲気変わりすぎだろ」「猫を被るのをやめただけだ。なんならそのままでいてあげようかお・じ・さ・んっ!」「ぐっ。なぜか早まったかと脳内で警鐘が・・・」「ふざけてないでさっさと行こう。致し方があるって言ったんだ、さっそく教えてくれよ。なんならこれ隠すよ?」「わかったから剣かえせ馬鹿!!!」
そんな風に調子に乗っていた時もありました。外壁の近くの厩舎から馬を連れてくるとおもむろに乗せられ俺の可愛いポークビッ○が鞍にオラオラオラオラオラオラ状態で・・・。
「止めろ!!止めてくれください!!おい!!おっさん!!」「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!」
もう一度言う。俺はこのおっさんを殴る。

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