大統領フルスイングで殴ったら異世界に転生した件。

慈桜


暫く歩き続け日差しも強くなり、川のほとりで休憩を取る事にした。オバナ軍団は数名残り山に食料の調達に行っている。村から運べるだけは持ってきているが、オバナに喰わせる程俺は優しくない。
太陽が真上を射す頃、オバナの一団が帰ってきたのだが、どうやら様子がおかしい。
「ボス、バシャベリータクサンネ」「うん?どっかの兵隊か?」「メイビー!フィンブルスル、マザファカネ、クロイノヤツメニメニネ」
フィンブルスルは黒い鎧が有名だ、これは間違いないだろう。まぁババアから得た知識だから眉唾だが。
「わかった、その猪はここに置いておけ。後で増やしてやる。オバナを50人程増やすからダメージを与えろ、そして何人か生け捕りにしてくれ。俺は最後尾で指揮を出す。所持金等はこのカバンに入れろ。見張りとして数人残す。作戦開始だ。」「オーケーボス」
だるい体を引き摺って約80名のオバナと馬車攻めを敢行する。馬車道をフィンブルスルの方向へ駆けるとフィヨルムの兵とは明らかに違う黒い鎧の兵隊が列を成しこちらに向かって来ている。距離は相当離れているが、遭遇は時間の問題だ。物資運搬の荷馬車と歩兵の数から見ておよそ200。これは拙い。SPの残りは66。使いきればまだマシかも知れんが、もし壊滅に陥った場合切り札が無くなる。いや、やらずの後悔はもっと性質が悪い。尊国日本で童帝わらしべのみかどと呼ばれる特権階級持ちだった俺が言うのだから間違いない。後悔ダメゼッタイだ。
即座に60人のオバナを追加する。後は死んで舞い戻ってきたポイントのオバナをいかに効率良く復活させるかだ。
「各自そのまま森の中で待機、最後尾が見えたら殲滅開始しろ。武器を奪い速やかにだ!!ここには60名であたれ!」「イエスボス!」「武器を持つ物は急ぎ橋を切り落とせ!!支柱を斜斬りにするんだ!後は自重で壊滅するはずだ!そのまま橋の下で待機、動ける者を攻撃しろ。」「イエスボス!」「残りは中腹から横槍。辛いかも知れんが40人編制で死んで来てくれ。出来る限り橋の下に落ちるように追いやって欲しい。その後復活したポイントで最後尾から責める。」「イエスボス!」「各自捕虜は殴り倒し四肢欠損の無いようにしてくれ。」「イエスボス!」「健闘を祈る。」
大軍のオバナが散って行く。俺はもっとも危険だが、最終的に最も安全になるであろう最前線に向かう。森深くで1時間程息を潜めると、兵団が通りすぎていくのがわかる。
さぁ、戦闘開始だ。
◇◇◇

隊列の最後尾が見えると同時にオバナ達は山間を駆け抜ける。それより先に、おそらくだが橋を落とす事に成功したのだろう、一団が慌しくなる。
「敵襲だ!!橋が崩れた!!足を止めろ!!」「なに??フィヨルムが裏切ったのか??」「そんなはずは無い!!こちらは捕虜の交換で来ているのだぞ!交渉の場での裏切りなんぞ!!」「くそ!!はめられたんだ!!こちらが捕虜を渡せなかったらフィヨルムが一気に有利になる!!」
捕虜の交換か・・・。なんかきな臭いな。まぁ、いい。
「シンデクダサァイ!!」
総勢60のオバナが一気に山道へ抜け出し、斬られようが刺されようが殴り続け装備を整えて行く。
「敵襲!!!敵襲!!!!!」「なんだこいつら!!一緒の顔してやがる!!!」
ここからの俺にできる仕事は自分自身のSPの確認。最後尾オバナが斬り捨てられて増えるポイントの感覚では、まだ追加してはいけない。中腹の死んでこい隊に出した指示は橋の方へ兵を追いやれ。挟み打ちになる状況だ。いかにオバナが死にづらいかは知らないが、背後から斬り付けられて無事とは考えづらい。一気に死ぬタイミングがあるはずだ。来た!!!!SP欄が一気に24増えた。これで残存のポイントが58。50人を最後尾に追加する。
「イエスボス!!」「お前等の仕事は敵の殲滅だ!!急ぎ森を駆け抜け山道での戦闘に参加しろ!!!」「サクセンドオリネ!イエスボス!!」
50人のスーツ姿のおっさんが山を駆け抜ける。これで後は最後尾から力押しで行けば最終段階に行ける筈だ。しかし、今複製したオバナ、作戦通りと言ったか?どう言う事だ・・・。あいつはもしや死んだ個体なのか?それとも存在その物がバグとしか言えないオバナは共有人格なのか?いや、今はそんな事関係無いな。目先の戦いに集中すべきだ。
「このまま押し切る!!!」
「おい!ガキがこんなとこで何してやがる!!」

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