10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

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 ビーステイルダム首長国ねぇ。
 晩飯食うのも忘れて爆睡してたら一瞬で朝だった。 腹の鳴り方がおかしい。 腹減りすぎたな。
「主君!!女将が朝食の用意が出来たと言っております!」
「あそ、あれ?四星と五星は!?」
「下で主君が来られるのを待っております!」
「そか。りょーかい。」
 ふぁ、眠すぎる。 昨日は女将の顔すら見ずに金だけ払って寝てしまったからな、改めて挨拶しておいた方がいいだろう。 寝起きだってのにやたらと肉が食いたい気分なのはなんでだろう。 集落だったら牙猪の特大ステーキ溶岩焼きの気分だ。
「おふぁようごさぁいはぁす」
「あらあらまだ寝ぼけちゃってんのかい?早くご飯食べちゃいな!今からモーニング始まるからバタバタしちゃうよ!」
 小太りの猫耳のおばちゃん。 なんでだろう、胸元が空いた白いセーターに薄ピンクの前掛けが似合う。 これは純情可憐な女神装備の気がしてたけど、おばちゃんでもグッとくるな。 何よりも柔らかそうでたまらん。 そうか俺はロリコンなんかじゃなかったんや。 下は毛が生えてから上は骨壷まで行ける口やったんや。
 何の話しだ。
 そうか、朝飯だ。
「ありがたくいただきます」
 今朝は香草で漬けたチキンの蒸し焼きにオリーブ系ドレッシングのグリーンサラダと黄金色のスープ。 そして黄色い米的な。 これはなんだ?ターメリックライス的なあれか? なめんな、白米にしろ。 まぁ、食うけどな。
「いただきます」
「「「いただきます」」」
「わうっ」
「なんだ、もうライは食べたのか?」
「いえ主君。そろそろライの分も……来ました。」
 ライ用に要因されたのたササミの湯引きだ。 しかも特大の。 これは鳥の魔物かなんかが名産って事なのか? 神域も奥まで行けば馬鹿でかい鶏が分布していたが、食物連鎖で下位に存在する為に数が少ない。 ここらで取れるなら狩りまくってもいいだろう。
 まぁ、感動するぐらいに美味いからそんな事考えたんだがな。
「その子神獣様の子供だろ?おばちゃん奮発しちゃったよ!お代はいいからね」
「え?あぁ、あざっす」
 チッ、いいケツしてやがる。 じゃなくてなぜばれた? ライはちっこいバージョンの時は角も毛の中に隠れてるし、ただのモフモフの白銀色の犬だぞ。
 まぁ、サービスってんなら甘んじて受けよう。 よかったなライ、たまたま神獣で。
「主君、今日はどうなされますか!?」
「ん?あぁ、まぁお前らで蛙の情報調べろ。袖の下通すのに指輪型のアイテムボックス渡しとくからうまく使え。」
「了解した!」「御意」「はーい。旦那は何するんですかい?」
 直後カルマの拳がスーシェンの腹を打つ。
「モルスァァァァア」
「スーシェンよ、主君への口の利き方がなってないぞ?」
「ずみまぜん!」
 なんでこうなるかなぁ。
「いい、気にすんな。スーシェンもカルマも飯時ぐらいじゃれるのはやめろ」
「ちょ、じゃれては…」
 まぁ、無視しよう。
「俺はライと散歩してくる。まぁ、俺なりにも調べるつもりだから心配すんな。昼一にとりあえずギルド前に集まろう」
 コトンとテーブルに置いた指輪を広い三者は足早に駆けていく。
「わふっわふっ」
 ライも特大ササミを食ってコテンと転がった。
「行くぞライ。女将!ご馳走様!!」
「はいはぁい!また泊まるなら6つの鐘までに来るんだよ!」
「あっ、あれだったら三日分払っておくんで、部屋押さえといてもらえますか?」
 おっけーと明るい笑顔で金貨三枚を受け取る女将の谷間の奥深くまで覗けた事にこの物語は完結する。
 まぁ、冗談は置いといて。
 まずは、城下だな。 俺の今回の目的は蛙なんかじゃない。 ケモミミ達の飲み屋を探すのが仕事だ。 出来ればいけないお店がいいが、最悪一緒にお酒を飲めるだけでもいい。 まずは守衛のレイファンに聞いてみよう。 あいつは昨日俺と面識が出来たからマッピングすれば緑色に表示されるはずだ。
 くくく、楽しくなって来た。
 どうやら仕事は休みらしく、緑の点は城下でウロウロしているようだ。 城下へ抜けると先日の守衛のレイファンがホクホク顔で買い物をしているのを見つけた。 全身甲冑の姿とは正反対のラフな格好だ。 ちょっと盗み聴きしてやろう。
「この中で最近の流行りっつーか、若い女が喜ぶのって無いかい?」
「でしたらこれですね、白金製のイヤカーフ。これが今のトレンドです」
「いくらだ?」
「12万ベルですね」
「おっけおっけー!それ買うよ!」
 くくく、昨日の魔晶石で儲けたんだろ、女にプレゼントなんていいご身分じゃねぇか。 包装を済ませて踵を返すと、俺の可愛い笑顔に三度見して驚きやがる。
「なんて邪悪な笑顔してやがんだリブラおめぇ!!ははは!!」
 なん………だと? 可愛い可愛いと育てられた俺の笑顔が邪悪だと? いや、確かに邪な考えをしていた為に片頬だけつり上がっていたのは認めよう。
「景気良さそうだなレイファン」
「あぁ、おかげさまでな!今日はどうした?妹さん達はいねーのか?」
「あぁ、あいつらも別行動で買い物だ。時にレイファン、ちょっと聞きたい事があるんだがな」
「どしたい?ん?」
 両手一杯の紙袋を抱き寄せ片眉を釣り上げて俺の口元に聞き耳を立てる。
「かわいいねーちゃんがいる飲み屋を紹介してほしい」
 直後にレイファンの顔はグググと邪悪な笑みに変わった。
「いこうかぁ!!楽園に!!」





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