10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
70
「何故こんな事に……ロウエント・ビーステイルダムからここまでくるには我が国の領地が……民が……」
シェルルは戯言のように自国の領地や民を思い涙を浮かべ、そして歯を食いしばり立ち上がった。
「姫!何を!?」
「戦います!」
「いけません!!姫は殲滅屋、いや殲滅魔法術師です!後方より穿つにも一度きり!しかもケライアは既に城下に潜入しています!民を姫の魔法で殺すおつもりですか!!」
「ではどうしろと!指を加えて我が国を嬲られる様を見届けろと言うのですか!?」
涙を浮かべ叫ぶシェルルにホーキ・ボンドは冷静に一度目を瞑り小さく頷いてから目を開きシェルルの目を見る。
「私が出ます。」
「しかし!!!」
「ご安心下さい。戦争は苦手ではありませんから」
茶色い髪の美しく顔が整った身の丈2mを越す竜人であるホーキ・ボンドはニッコリと笑うと城下へ飛び降りる。
その様子を心配そうに見守るシェルル姫は胸に手を組み祈りを捧げる。
「お願いしますどうかどうかノースウォールをお守りください」
城下ではケライアが滑空しては爪を立て弓を交わし剣を交わし縦横無尽に暴れまわっている。
そこにホーキ・ボンドは体に光のエフェクトを纏いながら身の丈数倍に至る5m程の大剣をアイテムボックスから引き抜く。
『緊急クランクエスト・ノースウォール内の外敵を北方同盟全力を上げて……殲滅せよ』
ホーキ・ボンドからの発令に北方同盟2000の軍勢が雄叫びを上げる。
「ウォラァァァォ!!!」
大剣を振り抜くと三人のケライアが真っ二つになる。
「追跡者は応戦してくれ!!民間人は避難を徹底!ぐっ、子供達や老人達を率先して助けてくれ!!」
「なぁんかおもしろそうなやついるじゃーん」
「お前がケライアの頭か?」
「そそそ、ザングちゃんってよんでぇー」
ケライアの頭領ザングとの衝突である。 中でも一際大きな羽に段違いの闘気。 元前線から領地プレイに移行したホーキ・ボンドには少々厄介な相手である。
「久々だなん、ボンド氏」
そこに全身を仰々しい鎧で包んだ男が現れる。
「ん?お前は!丸太ぺにおか?」
「そゆこと。漏れが助太刀してやる件。感謝しろし。」
「助かる!!」
そこで現れた奇跡の助っ人は以前カルマに一撃で挽肉にされた雷々亭丸太ぺにおだった。
「なんにんいてもいっしょだよねー」
ザングは黒い雷を鋭い爪に纏い電光石火の如き早業で襲いかかる。
だが、当然のように全身鎧に身を包んだ顔も見えない大柄な男がそれを受け止める。
それも腕を組みながらだ。
「うーん、子猫ちゃん。いや、雀程度だと言っておこうか。」
その発言にザングは怒りに表情を醜く歪ませる。
「ほざけぇ!!!」
「はい、怒っちゃったね。発動しまーす」『怒りの螺旋』
丸太ぺにおが術式を発動すると同時にヘルムが開くと、丸太ぺにおは鼻を広げ焦点の合わない人をおちょくりきった脱力顔でザングを見つめる。
「なんだなんだなんだ!なにをしてでもこいつがころしたい!」
「助かった。礼を言う丸太ぺにお!!」
「いいって事よ。変な名前同士助けあわなきゃな。」
「ぐっ」
『虎振り』
ホーキ・ボンドの大剣の腹でザングを叩きつけると二の太刀で真上から叩き斬る。
「死に職MAXの大剣闘士にしては綺麗な勝ち方であった。」
「いやいや、死に職最高潮の重戦士が頑張ってくれたからですよ」
「ほう。」
「なんだ?」
ザングを肉片に変えた所でいくら3万の群れだと言っても徐々にケライアを跳ね返すまでには陣形が整い始める。 だが、ノースウォール側の被害は測り知れない。
「ケライアに門を開けさせるな!!ケンタウロスが来てるぞ!!」
追跡者の連絡網がフルに生かされ次の手が判ると乱立した数々の外壁にケンタウロスが集まっている事が分かった。
「俺が食い止める!!アニーは一発ブチ込んでから回復に徹して!!」
「でもっ!ノースウォールの兵隊さんに当たっちゃうよ!!」
「下げるから待っててくれ!!」
その情報を受けて真っ先に外壁に向かったのは竜刃、こちらも雷々亭のメンバーの一人だ。
ホーキ・ボンド同様に光のエフェクトを纏い閃光の如きスピードで前線に出ると第一第二の外壁は既に破られておりケンタウロスが槍を振り回し軍の兵士と応戦している最中であった。 城下までは後6つの外壁がある。 ここを守り抜ければ多くの人を避難させる事が出来ると考えたのだろう。
「助太刀する!!!!」『飛鳥ぁぁ!』
竜刃はケンタウロスの背を水面に浮かぶ板を飛び移るように踏みつけ走りぬけると首を胴から切り離されたミノタウロスが地面に倒れる。
「ノースウォールの皆さんは一般人の避難と第三壁の守備に回って!!今からこっちに追跡者が集まりますから!!」
魔法や弓が降りしきる中、竜刃はそれをかいくぐりケンタウロスを切り結んで行く。
第三壁にノースウォール軍が下がる勢いに任せケンタウロスも勢力を拡大する。
『アニー!俺ごといって!!』
『でも!!他も巻き込んじゃうよ!!』
『じゃあ第二壁を潰してくれ!』
『わかった!!!!』
通信が終了すると竜刃はケンタウロスに囲まれる。
「お前は、どこで生き返るんだ?何度でも何度でも殺してやるぞ」
「城下だよ、お前らが届く事はねぇよ」
「ほざけ!!!」
ケンタウロスが一斉に竜刃に槍を突き立て命を刈り取ると同時に第二壁に無数の炎の狐が襲いかかり大爆発を起こす。
それに巻き込まれたケンタウロスは大きく数を減らすが、進軍を休める様子は無い。
「おい!!第三壁の中に狼人が現れたぞ!!」
「くそっ!!どうやって??」
「外壁を乗り越えて来たんだろ!」
「ありえねぇーぞ!!」
山間から険しい道を抜け外壁に縄梯子をかけて狼人族と狼牙族が雪崩れ込むように第三壁の中に現れる。
雷々亭のセレスと共に北方同盟より集まった医療班が第二壁のケガ人を治療し、第四壁まで誘導する最中に起こる虐殺の悲劇。
民は怯え泣き崩れ切り捨てられていく。
そして限界を迎えたシェルル姫が震えながら城下に降り立つ。
「危険です姫!!」
「ボンド様このままではノースウォールは蹂躙されてしまいます。」
「しかし…」
「いえ第四壁へ紫龍を放ちます」
覚悟を決めたシェルルは術式を展開する。
シェルルは戯言のように自国の領地や民を思い涙を浮かべ、そして歯を食いしばり立ち上がった。
「姫!何を!?」
「戦います!」
「いけません!!姫は殲滅屋、いや殲滅魔法術師です!後方より穿つにも一度きり!しかもケライアは既に城下に潜入しています!民を姫の魔法で殺すおつもりですか!!」
「ではどうしろと!指を加えて我が国を嬲られる様を見届けろと言うのですか!?」
涙を浮かべ叫ぶシェルルにホーキ・ボンドは冷静に一度目を瞑り小さく頷いてから目を開きシェルルの目を見る。
「私が出ます。」
「しかし!!!」
「ご安心下さい。戦争は苦手ではありませんから」
茶色い髪の美しく顔が整った身の丈2mを越す竜人であるホーキ・ボンドはニッコリと笑うと城下へ飛び降りる。
その様子を心配そうに見守るシェルル姫は胸に手を組み祈りを捧げる。
「お願いしますどうかどうかノースウォールをお守りください」
城下ではケライアが滑空しては爪を立て弓を交わし剣を交わし縦横無尽に暴れまわっている。
そこにホーキ・ボンドは体に光のエフェクトを纏いながら身の丈数倍に至る5m程の大剣をアイテムボックスから引き抜く。
『緊急クランクエスト・ノースウォール内の外敵を北方同盟全力を上げて……殲滅せよ』
ホーキ・ボンドからの発令に北方同盟2000の軍勢が雄叫びを上げる。
「ウォラァァァォ!!!」
大剣を振り抜くと三人のケライアが真っ二つになる。
「追跡者は応戦してくれ!!民間人は避難を徹底!ぐっ、子供達や老人達を率先して助けてくれ!!」
「なぁんかおもしろそうなやついるじゃーん」
「お前がケライアの頭か?」
「そそそ、ザングちゃんってよんでぇー」
ケライアの頭領ザングとの衝突である。 中でも一際大きな羽に段違いの闘気。 元前線から領地プレイに移行したホーキ・ボンドには少々厄介な相手である。
「久々だなん、ボンド氏」
そこに全身を仰々しい鎧で包んだ男が現れる。
「ん?お前は!丸太ぺにおか?」
「そゆこと。漏れが助太刀してやる件。感謝しろし。」
「助かる!!」
そこで現れた奇跡の助っ人は以前カルマに一撃で挽肉にされた雷々亭丸太ぺにおだった。
「なんにんいてもいっしょだよねー」
ザングは黒い雷を鋭い爪に纏い電光石火の如き早業で襲いかかる。
だが、当然のように全身鎧に身を包んだ顔も見えない大柄な男がそれを受け止める。
それも腕を組みながらだ。
「うーん、子猫ちゃん。いや、雀程度だと言っておこうか。」
その発言にザングは怒りに表情を醜く歪ませる。
「ほざけぇ!!!」
「はい、怒っちゃったね。発動しまーす」『怒りの螺旋』
丸太ぺにおが術式を発動すると同時にヘルムが開くと、丸太ぺにおは鼻を広げ焦点の合わない人をおちょくりきった脱力顔でザングを見つめる。
「なんだなんだなんだ!なにをしてでもこいつがころしたい!」
「助かった。礼を言う丸太ぺにお!!」
「いいって事よ。変な名前同士助けあわなきゃな。」
「ぐっ」
『虎振り』
ホーキ・ボンドの大剣の腹でザングを叩きつけると二の太刀で真上から叩き斬る。
「死に職MAXの大剣闘士にしては綺麗な勝ち方であった。」
「いやいや、死に職最高潮の重戦士が頑張ってくれたからですよ」
「ほう。」
「なんだ?」
ザングを肉片に変えた所でいくら3万の群れだと言っても徐々にケライアを跳ね返すまでには陣形が整い始める。 だが、ノースウォール側の被害は測り知れない。
「ケライアに門を開けさせるな!!ケンタウロスが来てるぞ!!」
追跡者の連絡網がフルに生かされ次の手が判ると乱立した数々の外壁にケンタウロスが集まっている事が分かった。
「俺が食い止める!!アニーは一発ブチ込んでから回復に徹して!!」
「でもっ!ノースウォールの兵隊さんに当たっちゃうよ!!」
「下げるから待っててくれ!!」
その情報を受けて真っ先に外壁に向かったのは竜刃、こちらも雷々亭のメンバーの一人だ。
ホーキ・ボンド同様に光のエフェクトを纏い閃光の如きスピードで前線に出ると第一第二の外壁は既に破られておりケンタウロスが槍を振り回し軍の兵士と応戦している最中であった。 城下までは後6つの外壁がある。 ここを守り抜ければ多くの人を避難させる事が出来ると考えたのだろう。
「助太刀する!!!!」『飛鳥ぁぁ!』
竜刃はケンタウロスの背を水面に浮かぶ板を飛び移るように踏みつけ走りぬけると首を胴から切り離されたミノタウロスが地面に倒れる。
「ノースウォールの皆さんは一般人の避難と第三壁の守備に回って!!今からこっちに追跡者が集まりますから!!」
魔法や弓が降りしきる中、竜刃はそれをかいくぐりケンタウロスを切り結んで行く。
第三壁にノースウォール軍が下がる勢いに任せケンタウロスも勢力を拡大する。
『アニー!俺ごといって!!』
『でも!!他も巻き込んじゃうよ!!』
『じゃあ第二壁を潰してくれ!』
『わかった!!!!』
通信が終了すると竜刃はケンタウロスに囲まれる。
「お前は、どこで生き返るんだ?何度でも何度でも殺してやるぞ」
「城下だよ、お前らが届く事はねぇよ」
「ほざけ!!!」
ケンタウロスが一斉に竜刃に槍を突き立て命を刈り取ると同時に第二壁に無数の炎の狐が襲いかかり大爆発を起こす。
それに巻き込まれたケンタウロスは大きく数を減らすが、進軍を休める様子は無い。
「おい!!第三壁の中に狼人が現れたぞ!!」
「くそっ!!どうやって??」
「外壁を乗り越えて来たんだろ!」
「ありえねぇーぞ!!」
山間から険しい道を抜け外壁に縄梯子をかけて狼人族と狼牙族が雪崩れ込むように第三壁の中に現れる。
雷々亭のセレスと共に北方同盟より集まった医療班が第二壁のケガ人を治療し、第四壁まで誘導する最中に起こる虐殺の悲劇。
民は怯え泣き崩れ切り捨てられていく。
そして限界を迎えたシェルル姫が震えながら城下に降り立つ。
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