10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
68
急いで集落へ帰ると見渡す限りを埋め尽くす海賊船が海に浮かんでいた。
取って付けたようないかにもな海賊の帽子に赤いコートを着た蛙が俺を見ると座りながらに頭を深く下げた。
カルマが出した鮫の燻製を咀嚼しながらもう一度ペコリと頭を下げると同時に俺も焚き火の横に置かれた丸太に腰を落とす。
うん。どう見てもカエルだ。
「はじめまして、わたしはラグ・エルート・パルサー。蛙人族の王なんてもんをやらしてもらってるです。」
「俺はリブラだ!ってえぇ!?王様なの?」
素直に驚いてしまっても仕方ないのではないだろうか?髑髏のマークの帆船なんて海賊しか乗らねぇだろ。
「ごちそうさまでした、して海賊のように見えたのなら半分セイカイです。わたしたちは元は海賊から始まった国ですから」
「はぁ……。で、なんでまた真珠と米なんかを??」
カエルは顎に手を添え二回瞬きをすると言い出す言葉に悩みはじめる。
「少し長くなるのですが……」
どうやら、このカエルのラグさん達が拠点としている三日月島ってゆう絶海の孤島では船大工は勿論、魚の干物と人魚の加護を受けた真珠が特産品であったらしい。 莫大な富を得た蛙人達は新たな特産品を作ろうと山を切り開き畑を耕し、広大な農地を確立したあたりから人魚がめっきりいなくなり、真珠一つ送るだけでも船を出す価値があったにも関わらず、真珠が無くなってしまっては船大工も仕事を失い、貿易で得られる収入も無く困っていると。
「でも、それなら真珠を米と交換してもメリットは無いのでは?どのみち損じゃないか?」
「はい、わたしたちは真珠を様々な物品と交換していましたが、やはり主食であるミルクワームとの交換が大部分でした。」
「えとミルクワームと言うと確か」
「はい、乳牛をまるごと食べて育つ白い地竜です。かのミルクワームはとても高価です。本来であればわたしたち蛙人族はここまで数を増やしません。ですがこのままでは…」
なるほど。 一攫千金で数を増やしたけど大変な事になったと。 けど米とミルクワームは交換出来ないのか? その問いには。
「ミルクワームの養殖に成功しているセスタ島は米の名産地です。ですからいかにいい米であろうと交換には応じてくれません。ミルクワームはフランガリア大陸で高級食材とされていますから。」
だそうだ。 そこで、真珠を探してこの大群で航海している所に拳大の真珠でキャッチボールする人魚とカルマ達を見つけたと。
「その米は今ありますか?」
「ええ。」
ラグさんの下っ端が数名がかりで運ぶ麻袋を開けると銀シャリが輝いた。
「素晴らしい。脱穀までしてるとは」
「ええ、真珠のように輝くお米を目指しました。」
「いいですねぇ、ラグさんはこの人魚の真珠とこの米をどれぐらいの量で交換したいと思ってますか?」
渋い顔で神妙に頷くとラグさんは口を開く。
「袋込みで200で考えています。」
ふむ、悪くないな。 もっと叩いてくるかと思ったが、カエルのくせに中々いい判断だ。 この麻袋を編むのも相当大変だろうし、ここに来るまでのリスクだってあるはずだ。 シェルルだと150から160までは叩いてくる。 後は……。
「この米はどれだけ用意できる?」
「一言で、いくらでも。」
「いいだろう。これからいい付き合いができそうだ。」
「ありがとうございます!ありがとうございます!!」
カエルの海賊は座りながらにも何度も何度も頭を下げた。 生意気だなとか思っていたが恐らくこれが蛙人族の礼儀なのだろう。
「じゃあ今持って来ている米は全て引き取ろうか、一応中身は全て確認させてもらうが。」
「本当ですか?すごい量ですよ?」
「構わん。こちらも真珠は腐るほどある。ついでと言ってはなんだが食事でもしながら交易の需要なんかを教えてくれないか?」
「わたしで良ければ勿論です!!」
さぁ、聞こう。ずっと気になっていた一つだけ腑に落ちない部分を。
「なぁ、ラグさん。なんであんた強いのにそんなへりくだるんだ?」
ラグさんはニヤッと笑い小さく頷く。
「強いからこそでしょう。海賊から始まったわたしたちの国は、自国の窮地には武力行使で乗り切ってきました、竜人や蛇人に気をつければ大きな力を持ちますからね、だが、ここは皆が異常だ。特にリブラさん、あなたは特におかしい。」
「なんか心外だな。その言い方。」
「蛙の戯れ言ですよ、おきになさらず。ですが、これだけの武力を持ってすれば可能やもしれませんね。」
「何が??」
「興味がお有りかどうかは分かりませぬが竜宮とよばれる海底都市へ行く事ですよ。」
「なにそれ面白そう。」
「良ければ米の交換が終われば船でご案内しますよ?」
取って付けたようないかにもな海賊の帽子に赤いコートを着た蛙が俺を見ると座りながらに頭を深く下げた。
カルマが出した鮫の燻製を咀嚼しながらもう一度ペコリと頭を下げると同時に俺も焚き火の横に置かれた丸太に腰を落とす。
うん。どう見てもカエルだ。
「はじめまして、わたしはラグ・エルート・パルサー。蛙人族の王なんてもんをやらしてもらってるです。」
「俺はリブラだ!ってえぇ!?王様なの?」
素直に驚いてしまっても仕方ないのではないだろうか?髑髏のマークの帆船なんて海賊しか乗らねぇだろ。
「ごちそうさまでした、して海賊のように見えたのなら半分セイカイです。わたしたちは元は海賊から始まった国ですから」
「はぁ……。で、なんでまた真珠と米なんかを??」
カエルは顎に手を添え二回瞬きをすると言い出す言葉に悩みはじめる。
「少し長くなるのですが……」
どうやら、このカエルのラグさん達が拠点としている三日月島ってゆう絶海の孤島では船大工は勿論、魚の干物と人魚の加護を受けた真珠が特産品であったらしい。 莫大な富を得た蛙人達は新たな特産品を作ろうと山を切り開き畑を耕し、広大な農地を確立したあたりから人魚がめっきりいなくなり、真珠一つ送るだけでも船を出す価値があったにも関わらず、真珠が無くなってしまっては船大工も仕事を失い、貿易で得られる収入も無く困っていると。
「でも、それなら真珠を米と交換してもメリットは無いのでは?どのみち損じゃないか?」
「はい、わたしたちは真珠を様々な物品と交換していましたが、やはり主食であるミルクワームとの交換が大部分でした。」
「えとミルクワームと言うと確か」
「はい、乳牛をまるごと食べて育つ白い地竜です。かのミルクワームはとても高価です。本来であればわたしたち蛙人族はここまで数を増やしません。ですがこのままでは…」
なるほど。 一攫千金で数を増やしたけど大変な事になったと。 けど米とミルクワームは交換出来ないのか? その問いには。
「ミルクワームの養殖に成功しているセスタ島は米の名産地です。ですからいかにいい米であろうと交換には応じてくれません。ミルクワームはフランガリア大陸で高級食材とされていますから。」
だそうだ。 そこで、真珠を探してこの大群で航海している所に拳大の真珠でキャッチボールする人魚とカルマ達を見つけたと。
「その米は今ありますか?」
「ええ。」
ラグさんの下っ端が数名がかりで運ぶ麻袋を開けると銀シャリが輝いた。
「素晴らしい。脱穀までしてるとは」
「ええ、真珠のように輝くお米を目指しました。」
「いいですねぇ、ラグさんはこの人魚の真珠とこの米をどれぐらいの量で交換したいと思ってますか?」
渋い顔で神妙に頷くとラグさんは口を開く。
「袋込みで200で考えています。」
ふむ、悪くないな。 もっと叩いてくるかと思ったが、カエルのくせに中々いい判断だ。 この麻袋を編むのも相当大変だろうし、ここに来るまでのリスクだってあるはずだ。 シェルルだと150から160までは叩いてくる。 後は……。
「この米はどれだけ用意できる?」
「一言で、いくらでも。」
「いいだろう。これからいい付き合いができそうだ。」
「ありがとうございます!ありがとうございます!!」
カエルの海賊は座りながらにも何度も何度も頭を下げた。 生意気だなとか思っていたが恐らくこれが蛙人族の礼儀なのだろう。
「じゃあ今持って来ている米は全て引き取ろうか、一応中身は全て確認させてもらうが。」
「本当ですか?すごい量ですよ?」
「構わん。こちらも真珠は腐るほどある。ついでと言ってはなんだが食事でもしながら交易の需要なんかを教えてくれないか?」
「わたしで良ければ勿論です!!」
さぁ、聞こう。ずっと気になっていた一つだけ腑に落ちない部分を。
「なぁ、ラグさん。なんであんた強いのにそんなへりくだるんだ?」
ラグさんはニヤッと笑い小さく頷く。
「強いからこそでしょう。海賊から始まったわたしたちの国は、自国の窮地には武力行使で乗り切ってきました、竜人や蛇人に気をつければ大きな力を持ちますからね、だが、ここは皆が異常だ。特にリブラさん、あなたは特におかしい。」
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