異世界闇金道~グレーゾーン?なにそれおいしいの?~(仮題
第三十八話
煌びやかなネオン街の怪しい店にサカエと少年ロイが消える頃、アルストやシクラと共に魔法学校の生徒達は途方にくれていた。
「なぁ、アルスト。とりあえず宿とらねぇか?」
「だね、けどこんな人数で泊まれるのかな?33人もいるのに」
シャンスとアルストが同時に溜息を吐くとシクラが突然歩き始めた。
「あ、シクラさん!どこ行くの?」
「うーん、宿?探してくるよ!」
「一人じゃ危ないよ!!」
「大丈夫だよ!わたし強いから!!だからアルスト君はみんなを守ってあげて!花火でドーンて!!」
手を広げる楽しそうなジェスチャーに男子生徒は頬を赤らめるがアルストは納得がいかない様子で渋々と頷く。
それを見兼ねてシャンスはアルストの肩を叩く。
「完敗だな」
「そう言わないでよ」
「いや。アルスト、シクラさんはハードルが高すぎるぞ?マリアナ辺りで手を打ったらどうだ」
「そんな気持ちでマリアナの気持ちに応えるわけにはいかないよ」
「つくづく真面目だな、俺のマブダチ君は」
「はは、けど、好きとかじゃないと思うんだ、なんかサカエさんが大好きなシクラさんが好きって言うかなんて言うか難しいんだけど」
「大いに悩め!失恋も悪くないぞ」
サムズアップしてアルストを励ましていたシャンスが突然思い出したように沈み始めた。
「ほらシャンス!!なんで自分で仕掛けた地雷踏み抜くかなぁ!!」
「いいんだ、どうせ俺なんか貴族のボンボンでからっぽな奴ね!キライ!なんだよ」
「ちょ、振られた言葉をリピートしないでよ!シャンス!しっかりして!!」
ワイワイと恋話に盛り上がっている中、通りすがりに男が通る。
「あっ!!サカエさん!!探しましたよ!!」
「ガァァー、ぺっ」
「え?」
「リア充なんてゲロ野郎は俺の知り合いにいねぇよ」
再会に安心したアルスト、だがサカエはアルストの顔面に痰を吐きつけて小さな少年と共に姿を消した。
それは事実上放置される事が決定された瞬間でもあったのだ。
「で、でもリンダさんやロイさんがいれば大丈夫よね?」
「こっちにはシクラちゃんがいるもの!サカエさんとも交渉できるはずよ!」
あまりに唐突に捨てられたので不安が募る生徒達を女生徒達が自分に言い聞かせるように励ましあう中でシクラが戻ってくる。
「おーいみんなー!ボロっちぃ旅館だけど、この人数でも大丈夫だって!大部屋だけどいいよね?一応襖一枚で男女分かれれるみたいだけど」
流石に16や17の中で一人成人のシクラはお姉さんパワー全開である。 すぐに宿の段取りをつけて一先ず宿の前に到着した所で全員が一番の問題に気付いたのだ。
荷物は全てサカエが預かっていると言う事実を。
宿代ならばシクラはなんとか立て替える事はできる、だが、着替えや荷物が全て無いとなると一大事である。
「サカエさんを探そう!!」
サカエ大捜索が始まったのである。
♥︎♤♦︎♧
その頃ビルに突っ込んで意識を失っていたリンダとロイだが、案の定警備に捕らえられてしまい、手を背中に回されて施錠された状態で取り調べを受けている最中であった。
「何が目的でここに来たのだ」
「たまたま飛んでたらここに突っ込んだのよ」
「さっきから何度も同じ事を!ふざけているのか!」
「ふざけてないわよ!タマタマの話がしたいならふざけてあげもいいけど!」
「ちくしょう!話にならん!そっちのお前!下ばかり向いていないでなんか言え!」
警備員が棒でロイの顎を上げると眉間に皺を寄せた不機嫌そうなロイが無言で警備を睨みつける。
「な、なんだよ。なんでそんな怒ってるんだよ!突っ込んできたのお前達だろうが!!」
全くもってごもっともな意見が飛び交うが答えは出ない。
リンダもロイもおそらく互いに考えているのだろう、サカエが助けに来るだろうと。 なれば余計な事は話さずに救援を待とうと。 しかし甘いのである、サカエは既にこの2人の事は脳裏の片隅にも残していないのだから。
警備の応援が徐々にかけつけ、2人の移送が決定するが当然の如く2人は岩のように動こうとしない。
「立て!!立てといっているだろ!!」
数発六尺棒で叩かれるが痛みに顔を歪める事は無く、2人は小声で話を始める。
「これサカエちゃんこないわね」
「だな、だがどうする?こんなに頑丈に施錠されちゃあ動けないぞ?」
「普通…ならね、けど外すのに時間がかかるわね」
堪忍袋の緒が切れたのか話を聞かない2人を衛兵達は運んで行く。
「ちょっとそんな持ち方したらパンツ見えちゃうじゃない!!」
「だまれ変態が!!」
「ぷふ」
「ちょっとロイ!何笑ってんのよ!」
こうしてリンダとロイは牢へ運ばれていった。
♡♠︎♢♣︎
「うほほほほーい!うほほほほーい!!」
「おい、チビロイ。お前すげーな」
「チビじゃねぇーし!てか何が?普通じゃね?」
四方向にボインを並べて8パイビンタに勤しむのが普通だと言うならば普通なのだろう。
「おねーさん!もうなんか俺色々挟みたい!!」
「こーら!だめっ!それは出しちゃだめっ!」
むむむむ。 俺もしたい、同じ事したい。
でもチビロイはチビで子供っぽいから許して貰えるかも知れんが俺がやったらお縄頂戴な話も十分にありえる。
そもそもこの店は何屋なんだ? セッキャバか?普通の飲み屋か?
他のテーブルを見る限りじゃ大人しく飲んでいるからキャバクラぐらいな感じなのか?
解せん。
チビロイが欲の限りを尽くしているせいで楽しみ方に迷いが生じている。
そんな所にマイクから大声が響く。
『さぁさぁお待ちかね!!ハッスルタイムでーす!!』
ハッスル……タイムだと?
それはつまりそう言う事なのだろうか?
ハッスルしちゃっていいって事はセクシーキャバクラまたはすぅーぱーキャバクラ、もしくはおっぱい祭り、パイオツフェスティバルなのか!?
ならばチビロイのはしゃぎかたもわからんでも無い。
『それでは一度衣装直しに姫は下がります!!』
フロアが真っ暗になり、各テーブルに小さな光が灯る。 するとチビロイが横に腰掛けてくる。
「あんちゃん、何してもいいからな!!照れたら負けだぞ」
「何してもって、何してもか?」
「うん、15分間何してもいいんだ、交渉は必要だけどね!あそこの光る砂時計が落ち切ったらハッスル終了、男見せてくれよ?」
「おい、それは最後までしてもいいのか?」
「まぁ、俺ぐらいなったら三人に挟んでもらってぺろぺろしてもらった上に口にビーチク咥えたまま酒飲んだ事あるけどね」
小指を口の端っこに咥えながらビールを飲むチビロイを見て感心する。
「お前レベルたけーな」
「モチのロン。だてに成長止まってないぜ」
チビロイがニカッと笑うと同時にフロアにはユーロビートのような懐かしくも新しい音楽が鳴り響き、虹色のスポットライトに照らされて嬢達が現れる。
先ほどまでドレス姿だった嬢達は胸元がはだけたミニスカートの花魁姿に着替えており、なんとも言葉にし難いエロスを放つ。
「おっまったっせぇー!!」
チビロイが指名していた四人の女の子が飛び込みチビロイに抱きつくと俺のボルテージも全開になる。
「お待たせしました!!」
可愛らしい声の女の子だ。
俺は酒をテーブルに置き、暗がりの中で横に座る女の子の肩に手を回した…だが回らない。
その背中はいかに手を伸ばそうとも広背筋を触る事しか叶わない。
ふと不思議に思った俺は暗視スキルを発動した。
だが、それは失敗であった。
俺の目の前にはゴリラがいたのだ。
揶揄でも比喩でもない。
ガチのゴリラだ。
俺は店のシステムがわからずもなんとか可愛い女の子達の釈で楽しんでいたのだが、この瞬間、真空でなんとか色を保っていたバラが空気に触れた時のようにみるみるうちに茶色に萎れてしまった。
「何故ゴリラがいる」
「何故ゴリラだとわかった」
「うわぁぁぁん!!!」
俺は泣いた。
号泣した。
そして走った。
「まてよあんちゃん!!お会計は!!」
チビロイの声なんて俺の魂の叫びと言う名の走りを止める事は出来ない。
それほどまでに俺の心はズタズタだった。
だが、俺の脚を持ってしてもゴリラに勝てるはずがない。
俺はそのままタッチダウンを決められ地面とタイマンを張らされた後にチビロイを道連れに連行された。
「もうぜってぇーこねぇからな!!ゴリラ放し飼いにするような店!」
「ウホッ!」
「ウホッじゃねぇよ!ばかー!」
こうして俺とチビロイ牢へ運ばれた。
「なぁ、アルスト。とりあえず宿とらねぇか?」
「だね、けどこんな人数で泊まれるのかな?33人もいるのに」
シャンスとアルストが同時に溜息を吐くとシクラが突然歩き始めた。
「あ、シクラさん!どこ行くの?」
「うーん、宿?探してくるよ!」
「一人じゃ危ないよ!!」
「大丈夫だよ!わたし強いから!!だからアルスト君はみんなを守ってあげて!花火でドーンて!!」
手を広げる楽しそうなジェスチャーに男子生徒は頬を赤らめるがアルストは納得がいかない様子で渋々と頷く。
それを見兼ねてシャンスはアルストの肩を叩く。
「完敗だな」
「そう言わないでよ」
「いや。アルスト、シクラさんはハードルが高すぎるぞ?マリアナ辺りで手を打ったらどうだ」
「そんな気持ちでマリアナの気持ちに応えるわけにはいかないよ」
「つくづく真面目だな、俺のマブダチ君は」
「はは、けど、好きとかじゃないと思うんだ、なんかサカエさんが大好きなシクラさんが好きって言うかなんて言うか難しいんだけど」
「大いに悩め!失恋も悪くないぞ」
サムズアップしてアルストを励ましていたシャンスが突然思い出したように沈み始めた。
「ほらシャンス!!なんで自分で仕掛けた地雷踏み抜くかなぁ!!」
「いいんだ、どうせ俺なんか貴族のボンボンでからっぽな奴ね!キライ!なんだよ」
「ちょ、振られた言葉をリピートしないでよ!シャンス!しっかりして!!」
ワイワイと恋話に盛り上がっている中、通りすがりに男が通る。
「あっ!!サカエさん!!探しましたよ!!」
「ガァァー、ぺっ」
「え?」
「リア充なんてゲロ野郎は俺の知り合いにいねぇよ」
再会に安心したアルスト、だがサカエはアルストの顔面に痰を吐きつけて小さな少年と共に姿を消した。
それは事実上放置される事が決定された瞬間でもあったのだ。
「で、でもリンダさんやロイさんがいれば大丈夫よね?」
「こっちにはシクラちゃんがいるもの!サカエさんとも交渉できるはずよ!」
あまりに唐突に捨てられたので不安が募る生徒達を女生徒達が自分に言い聞かせるように励ましあう中でシクラが戻ってくる。
「おーいみんなー!ボロっちぃ旅館だけど、この人数でも大丈夫だって!大部屋だけどいいよね?一応襖一枚で男女分かれれるみたいだけど」
流石に16や17の中で一人成人のシクラはお姉さんパワー全開である。 すぐに宿の段取りをつけて一先ず宿の前に到着した所で全員が一番の問題に気付いたのだ。
荷物は全てサカエが預かっていると言う事実を。
宿代ならばシクラはなんとか立て替える事はできる、だが、着替えや荷物が全て無いとなると一大事である。
「サカエさんを探そう!!」
サカエ大捜索が始まったのである。
♥︎♤♦︎♧
その頃ビルに突っ込んで意識を失っていたリンダとロイだが、案の定警備に捕らえられてしまい、手を背中に回されて施錠された状態で取り調べを受けている最中であった。
「何が目的でここに来たのだ」
「たまたま飛んでたらここに突っ込んだのよ」
「さっきから何度も同じ事を!ふざけているのか!」
「ふざけてないわよ!タマタマの話がしたいならふざけてあげもいいけど!」
「ちくしょう!話にならん!そっちのお前!下ばかり向いていないでなんか言え!」
警備員が棒でロイの顎を上げると眉間に皺を寄せた不機嫌そうなロイが無言で警備を睨みつける。
「な、なんだよ。なんでそんな怒ってるんだよ!突っ込んできたのお前達だろうが!!」
全くもってごもっともな意見が飛び交うが答えは出ない。
リンダもロイもおそらく互いに考えているのだろう、サカエが助けに来るだろうと。 なれば余計な事は話さずに救援を待とうと。 しかし甘いのである、サカエは既にこの2人の事は脳裏の片隅にも残していないのだから。
警備の応援が徐々にかけつけ、2人の移送が決定するが当然の如く2人は岩のように動こうとしない。
「立て!!立てといっているだろ!!」
数発六尺棒で叩かれるが痛みに顔を歪める事は無く、2人は小声で話を始める。
「これサカエちゃんこないわね」
「だな、だがどうする?こんなに頑丈に施錠されちゃあ動けないぞ?」
「普通…ならね、けど外すのに時間がかかるわね」
堪忍袋の緒が切れたのか話を聞かない2人を衛兵達は運んで行く。
「ちょっとそんな持ち方したらパンツ見えちゃうじゃない!!」
「だまれ変態が!!」
「ぷふ」
「ちょっとロイ!何笑ってんのよ!」
こうしてリンダとロイは牢へ運ばれていった。
♡♠︎♢♣︎
「うほほほほーい!うほほほほーい!!」
「おい、チビロイ。お前すげーな」
「チビじゃねぇーし!てか何が?普通じゃね?」
四方向にボインを並べて8パイビンタに勤しむのが普通だと言うならば普通なのだろう。
「おねーさん!もうなんか俺色々挟みたい!!」
「こーら!だめっ!それは出しちゃだめっ!」
むむむむ。 俺もしたい、同じ事したい。
でもチビロイはチビで子供っぽいから許して貰えるかも知れんが俺がやったらお縄頂戴な話も十分にありえる。
そもそもこの店は何屋なんだ? セッキャバか?普通の飲み屋か?
他のテーブルを見る限りじゃ大人しく飲んでいるからキャバクラぐらいな感じなのか?
解せん。
チビロイが欲の限りを尽くしているせいで楽しみ方に迷いが生じている。
そんな所にマイクから大声が響く。
『さぁさぁお待ちかね!!ハッスルタイムでーす!!』
ハッスル……タイムだと?
それはつまりそう言う事なのだろうか?
ハッスルしちゃっていいって事はセクシーキャバクラまたはすぅーぱーキャバクラ、もしくはおっぱい祭り、パイオツフェスティバルなのか!?
ならばチビロイのはしゃぎかたもわからんでも無い。
『それでは一度衣装直しに姫は下がります!!』
フロアが真っ暗になり、各テーブルに小さな光が灯る。 するとチビロイが横に腰掛けてくる。
「あんちゃん、何してもいいからな!!照れたら負けだぞ」
「何してもって、何してもか?」
「うん、15分間何してもいいんだ、交渉は必要だけどね!あそこの光る砂時計が落ち切ったらハッスル終了、男見せてくれよ?」
「おい、それは最後までしてもいいのか?」
「まぁ、俺ぐらいなったら三人に挟んでもらってぺろぺろしてもらった上に口にビーチク咥えたまま酒飲んだ事あるけどね」
小指を口の端っこに咥えながらビールを飲むチビロイを見て感心する。
「お前レベルたけーな」
「モチのロン。だてに成長止まってないぜ」
チビロイがニカッと笑うと同時にフロアにはユーロビートのような懐かしくも新しい音楽が鳴り響き、虹色のスポットライトに照らされて嬢達が現れる。
先ほどまでドレス姿だった嬢達は胸元がはだけたミニスカートの花魁姿に着替えており、なんとも言葉にし難いエロスを放つ。
「おっまったっせぇー!!」
チビロイが指名していた四人の女の子が飛び込みチビロイに抱きつくと俺のボルテージも全開になる。
「お待たせしました!!」
可愛らしい声の女の子だ。
俺は酒をテーブルに置き、暗がりの中で横に座る女の子の肩に手を回した…だが回らない。
その背中はいかに手を伸ばそうとも広背筋を触る事しか叶わない。
ふと不思議に思った俺は暗視スキルを発動した。
だが、それは失敗であった。
俺の目の前にはゴリラがいたのだ。
揶揄でも比喩でもない。
ガチのゴリラだ。
俺は店のシステムがわからずもなんとか可愛い女の子達の釈で楽しんでいたのだが、この瞬間、真空でなんとか色を保っていたバラが空気に触れた時のようにみるみるうちに茶色に萎れてしまった。
「何故ゴリラがいる」
「何故ゴリラだとわかった」
「うわぁぁぁん!!!」
俺は泣いた。
号泣した。
そして走った。
「まてよあんちゃん!!お会計は!!」
チビロイの声なんて俺の魂の叫びと言う名の走りを止める事は出来ない。
それほどまでに俺の心はズタズタだった。
だが、俺の脚を持ってしてもゴリラに勝てるはずがない。
俺はそのままタッチダウンを決められ地面とタイマンを張らされた後にチビロイを道連れに連行された。
「もうぜってぇーこねぇからな!!ゴリラ放し飼いにするような店!」
「ウホッ!」
「ウホッじゃねぇよ!ばかー!」
こうして俺とチビロイ牢へ運ばれた。
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