だんます!!

慈桜

第八十七話 俺のターン?

  ヘローだんますだよ。 ちょっと話があって太郎ちゃんのとこ来たんだけど…あっ、あれね、麻草さんのほうね。 いつも通りにリビングでサクッとスタンバイしてモンブラン食べながらゲームしてる。
 なんで発売前のβ版とかあるんだろな、この家。 これが国との癒着か、恐ろしい。 俺楽しいからいいけど。
「おい!電話も出やがらんくせにいきなりきやがったな!」
 相変わらず欧州マフィアみたいな格好して帰って来やがった。 多分奥さんが気を使って連絡してくれたんだろな。 奥さんは庭でジャリとゴロゴロしているが誰得かわからんので言及しなかった事を許して欲しい。
「いきなり無視すんなよダンマス」
「届かない言葉は宙に舞うんだぞ太郎」
「それはお前、離さないで手を繋いどけってフリか?」
「あれ、話わかるようなってない?」
「ライブすら行ったわ」   流石としか言えんが、いつ仕事してるんだろうか? 考えたら負けだぬん。
「あぁ!! つかお前、それ俺もまだやってねぇんだぞ!!」
「はっは! 黒髪王子は俺の手の中にある!」
 ソファにストールとハットを置いて、柔らかソファを占領する太郎。 俺が毎日来てた頃は、この柔らかソファの取り合いだったマニアックな情報を覚えてる奴は誰もいまい。
「で、それはいいが、いきなりどうした?」
「あぁ、忘れんうちに言っておこう。俺は別にどうでもいいんだが、ロシアの動きがウザい」
「…確か、例の小学生の関係で色々あったみたいだな」
「まぁ、あいつらは好きにさせとけばいいが、ここらで俺の侵略者としての一面を見せておくべきかと思ってる」
 ガシャンと俺のコーヒーのお代わりを淹れてくれようとしていたコーヒーを若干零しやがった。 カーペットとカーペットの間の微妙なフローリングで助かったなジジイ。
「それはどう言う事だ? やはりプラモンの軍備が気に食わんか?」
「あ、全然。正直に言えば冒険者以外瞬殺出来るからあんまり気にしてない。そうじゃなくて、そろそろ本格的に冒険者を世界各地に派遣する」
「いやいや待て待て、今やっと冒険者を日本国民として認めるか否かの議題まで持っていけたんだぞ?」
「は? 逆に絶対やめろよそんなの。公表は敵で裏では良き隣人程度の扱いでいいんだよ。じゃないと日本の立場が最悪になる、あっ」
 とりあえずわかりやすく説明する為に世界地図を出そう。 これまでちょっと斜めに回りくどいアプローチで悉く裏目ってるから、今回から直球多めに使って行くつもりだ。
「まず半島南北とそっから繋がる中国のエルフの森」
 とりあえず赤ペンで囲っておこうか。 そしてハルビンからの流れも軽く説明しておこう。
「待て、何故それで彼は敵対する?」
「知らん、八つ当たりだろ。んま、そんなこんなで、ここは今結構危ないのが揃ってる。ハクメイ、ジンジャーは俺がなんとか対処するが、此処に敵対組織の子飼いが紛れ混んでる。で」
 次は液晶だ、コア画面に頼む。 映し出すのは多々羅達に殺された奴らの記憶映像だ。 足取りはナージャのミスリル反応でわかるからいいが、今回不思議な反応が出たのでコアに探らせた結果の映像だ。
「今こいつらは、多々羅の見た目のままに偽物のデバイスを配ってQ国を中心に勢力を広げてる。もし、多々羅の子飼いが偽物の首を持ってハクメイ達に取り入ったら」
 露国と中韓を大きく囲うと、太郎ちゃんは普通に溜息しやがる。
「これは俺が一本勝ちだなダンマス。多々羅が国の裏から露国やハクメイ達を駒にするって言いたいんだろ? それなら先に中東の偽物を排除するべきだろう。全て解決だ」
「バカ。敵は纏めた方が楽だろう。あっちこっちに分散してる方がだるい。そこで太郎ちゃんに頼みがあるんだ。俺はむしろこの流れに持って行くようにお膳立てする」
「いや、此処からで頼みがあると言われても無理難題しかないだろう?」
「いぃや、簡単だ。本当に簡単な事なんだ。ただ、日本として顔が立つようにしておいてくれたらいい」
 それから暫く長居する事となったが、なんとか話を纏める事が出来た。 そろそろお暇しよう。
「次の日露交渉までに頼むぞ」
「出来るだけやってみるよ。そうだダンマス、リアルでFPSみたいなゲーム創る気ないか?」
「ミスリル集めて勝手にどうぞ。他所の国は自力でやってるよ、つか忙しいからまた!」
 一先ず転移しとく。 別にそこまで忙しくないんだがな、また電話するわとかと同じだな。 とりあえず長話は斬る。
『先程の話ですが本当によろしいのですか?』
 結局はいい感じになるだろうと予測ひてるからな。
『曖昧ですね。マスターらしくないです』
 曖昧でいいんだよ。この前トム爺の動画見て初心に戻った。 明日からじゃなくてあの日から本気出してる感じ。
『マスターは彼に好かれようと必死でしたね。それに人であろうと努力もしていました』
 それでDP注ぎ込み過ぎておかしなアバターになったから笑えないんだがな。 いやぁ、しかし懐かしかったなトム爺。 コアちゃんの編集には所々悪意みたいなの感じたけど。
『そうですか?マスターが従魔師のデータを集める為に弟子入りした貴重な映像です』
 あの時は時間が有り余って暇だったからな。 まだダンジョンマスターとしても三下だったし周りは人外魔境だったし。
『必死で誘い込んでなんとか僅かなポイントを稼いでいました』
 そそ、それで精神体からアバター作って人間のふりして弟子入りしたんだ。懐かしいな、DPぶっ込みまくってボロが出ないように才能極振りに必死だった。
 そんなこんなで一番弟子になって可愛がって貰えて、魔物の神とも言える奴らを受け継いだ。 ぶっちゃけレアモンって言えばあいつらだろって感じでデザインしてレア種で組み込んだついでに、冒険者なら魔石で強化した魔物で、どんな奴が相手でも没収無双できるだろうって感じで組み込んだのに、チビ達がこうなったのは予想外だった。
 いつか本当の従魔師の弟子をとろうと、3つの異世界を渡っても弟子を取れてない俺なりの試行錯誤でプラモン改造したんだが、あいつらは難しいな。
 どうせ貴重な師匠パートをするならば、女子、それも美少女が好ましいのは俺の我儘だろうか? それを否定する奴は永久にゴブリン嗾けてやる。
 俺的には北海道のいち早く白夜をゲットした女の子に従魔師を目指してもらいたかったな。 魔女クラスに可愛いと知ったのが最近だったのは一生の不覚。
「おいっすだんますっ!おらっ!」
「ハリセンやめろ! 大臣。どんな感じだ?」
 こいつ会うや否やハリセン振り抜いてきやがる。 その動画投稿したらタイマン申し込んでやる。 もちろんハリセンでな。
「貴族連中は気の合った連中とパーティ組んでアタックしてるけど、ダミーコアの制御ゲットするのは、まだ先っぽい。なんか日本のゴブリンより強い感じ? やっちゃってるよね?」
「完全に敬語捨て去りやがったな」
「あーい! パリピな感じ出してきます?」
「やめろぉー! そのチャラいのやめろおい!」
 こいつに関しては、ほぼ諦めてるから別に構わんのだが、それを見た他の冒険者から舐められるのはよろしくない。
「そりゃあ苦労した方が感慨深いだろ。レベル設定はカリカリのラインでやってるよ」
「いやひどい!だんます鬼!悪魔!っけど、貴族連中はいいけど、冒険者選んだ奴がチラホラ不満言ってる。日本に帰るに5万DMって5億かよ! やりすぎだっ! 飛行機で帰ろうって」
「で、どうしたんだそいつらは」
「何十億でも作ってやるから街行って揉め事起こしてこいって言った。俺ちゃん的にあいつら貴族にならねぇんならロケットダッシュ用の使い捨ての兵隊扱いって事でいんだよね?って思ってる」
「お前無茶苦茶口悪いな」
 無茶苦茶口は悪いが、大臣は深く読んであっさり実行に移す。
 大臣を王として定めようにも、何もわからずは良くない。とりあえず貴族として何処まで出来るか見せてくれと、言ってから、状況は大きく変わった。
 ダミーコア制御を短期間で五つも取っているのだ。 簡単に説明すると何故そんな事が可能だったのか分からないが、こいつなりに人となりを見てギリギリのラインを無意識に攻めてるんだろ。
 俺にハリセンばんばん振り抜くのもいい例の一つだ。 何故か怒れん。
「とりあえず俺ちゃん的には冒険者達もガッツリこっち側来てると思ってるけど、まだまだガンガンやってく感じでいい?」
「ガンガンってもう形は出来てるだろ。何するつもりだ?」
「それは後のお楽しみってやつ?まぁ、見てなって。あっ、そういやこの前だんますしばいた動画300万再生キタコレ」
「よし、その喧嘩高値で買い取ってやる」
 やめろとあれほど言ったのに。 暫くハリセンで殴りあいをしてから、命の森に飛ぶ。
「さぁ、俺のターンと行こうか」



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品