銀黎のファルシリア

秋津呉羽

プロローグ

 まだ、ファルシリアがククロに出会うよりも前の話――父親の復讐に強く囚われ、世界のありとあらゆるものが敵に見えていた頃の事だ。

 ファルシリアは、サウスダンジョンの入り口で少し変わった少女を見かけた。
 年の頃は恐らくファルシリアと同じ。金髪碧眼をしたお人形さんのような少女だ。
 その手に持っている武器はライフル、身に帯びた防具は革の軽装、そして、体は今からダンジョンに入る恐怖でガチガチになっていて。手にしている武器だけはかなり変わっていたものの、どこからどう見ても、新人冒険者のそれであった。
 そんな彼女がガチガチのままにサウスダンジョンに入って行くものだから、ファルシリアは慌ててしまった。サウスダンジョンは各地にあるダンジョンの中でも高難易度とされている場所だ。
 とてもではないが、初心者冒険者、おまけにソロで何とかなる場所ではない。
 案の定……というべきか、ダンジョン内に入った少女は、大量のモンスターに追いかけられ、泣いて悲鳴を上げながら逃げ惑っていた。何とかライフルでモンスターを倒してはいるものの……これでは、焼け石に水だ。

 これは危ないと判断したファルシリアは、慌ててモンスターと少女の間に割って入り……瞬く間にモンスターを倒してしまった。
 驚いたような表情をしている少女に向かって、ファルシリアはこれ見よがしにため息をついた。

「何でこんな所にいるの? ここは新米冒険者が来るような場所じゃないよ」
「それは……はい、その通りだと思います」

 ファルシリアの言葉に対して、少女は否定することもできずに項垂れる。
 では、何でこんな危険な所にいたのか……そう問いかけるファルシリアに少女はこう答えた。

「お金が……必要なんです」

 聞けば……不治の病に侵された両親を救うためにお金が必要なんだとか。
 親を救うため、という部分に共感を覚えたファルシリアは、小さく吐息をついて、へたり込んでいた少女へと手を貸す。

「分かった……なら、私も手伝ってあげる」
「良いんですか!?」

 表情を輝かせて、少女は顔を上げた。そんな彼女に苦笑を向けながら、ファルシリアは頷いて見せる。そして、手を貸して立ち上がらせてあげれば、彼女は慌てたように頭を下げた。

「あの、私、ミスリアって言います! どうぞ、よろしくお願いします!」
「私はファルシリア。よろしくね」

 こうして、ひょんなことからファルシリアに初めての友人、ミスリアができたのであった……

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