天使が暮らす家

ノベルバユーザー222759

天使が暮らす家

『チャミ先生、ユノさん。』

泣きそうな顔したユチョンが僕らを見上げる

大きな瞳が潤んでいた

《ん?》

優しく問いかけるけど、身体が固まってしまって

【あぅー!ゆちょなぁー!】

励ます様に、ぎゅっと抱きつくジュンス

〈座りましょうね?ゆっくり時間はありますから、ね?〉

優しく声をかけ、ソファーに促すと、ゆっくりとやって来て

『ん。』

温めた豆乳にハチミツを少し

牛乳アレルギーのあるキミ

優しい味がするこの飲み物がお気に入りだと言ってくれた時は、嬉しかったっけ

〈大丈夫です。何時もの豆乳ですから、ね?少し、苦しいでしょう?〉

『ん。ありがと。』 

《ゆっくりで良いからね?俺もチャンミンも何時でも良いと思ってる。ユチョナが、話せる時まで待つからね?》

『っ。チャミ先生、手繋いで?話したいけど、苦しくなったらお薬使う?』

〈そうですね。お薬の準備をしておきましょうか。〉

チャンミンは少しその場を離れ、冷蔵庫に保管している薬剤を取り出し、吸入器の傍に置く

ユチョンが緊張してしまわない様に、キッチンに一式を置いたまま、ソファーに戻って来た

『っ、ジェジュンさんとジョンヒョンはね?優しいよ、苦しくなっても、ご飯食べれない時も、眠れないって言ってもね?怒らないよ。我慢しなくて良いって言ってくれる。』

《そっか。優しいんだね?》

『ん、あのね?もっと、小さい時ね。僕ね、他の施設に居た。っ、あのね?僕悪い子、コンコンしたり、胸が苦しくなる。っ、ぁっ。』

〈ユチョナ?少し休みましょう。お話しようとしてくれて、嬉しかったですよ?〉

『っ、チャミ先生。最後まで聞いて?』
 
強い意志が光る瞳

医師としては、止めなくてはいけないのかもしれない

でも、彼の訴えを、心の叫びを聴きたかった

〈分かりました。〉

『前の施設ではね?僕の新しいパパとママを探してた。でもね、弱い子だからダメだって。僕がコンコンすると、先生に怒られた。優しく抱っこして欲しかったのに、ぎゅっとされる時は、お尻ペンされる時だけで、怖かった。』

《怖かったね、よく頑張ったね。》

『っ、ジュンスも僕も、一杯ペンだったの。悪い子だって。ジェジュンさんもジョンヒョンもそんなことないって言ってくれた。弱い僕達のこと、大事にしてくれた。』  

〈怖いですか?〉

優しく問いかけただけ

激しく泣き出したジュンスを抱きしめたのは、ユチョンだった

【ふぇぇぇ、ごめんなしゃぃっ。ゆちょ、ペンなぃーー!】 

『ごめんね、ジュンス。怖くないよ?先生じゃない。チャンミンさんとユノさんだから、ね?』

【やぁぁーーー!】

激しく暴れるジュンスを、優しく強く抱き寄せたのはユノだった

必死に抵抗する小さな身体

どれだけ叩かれても、蹴られても、噛みつかれても、ユノはその身体を離さなかった

《辛いなぁ、ジュンス。》

【ぁぁあーーー!】

あまりにも激しく暴れる彼

このままでは怪我しそうで、鎮静剤の用意をしていたのだが

《チャンミン、大丈夫だから。それ、使わないで。》

〈えっ、でも。〉

【っ、はぁはぁっ。】

《ジュンス、分かるかなぁ?ユノだよ。怖かったね?よく頑張ったね。》 

虚ろだった瞳に、一筋の涙が伝い

【ぁっこね?ネンネする。ごめんなしゃ。】
 
小さな謝罪をしてから、眠りに落ちていった

小さな身体で、沢山の傷を背負う2人

『チャミ先生?ジュンス、僕がお話したから?悪い子。っぁあ。』

〈大丈夫ですよ?ユチョナは何も悪くないです。話してくれて嬉しかったですよ、ありがとう。〉

『ん。』

疲れて寝てしまった二人を寝室に運び

可愛い寝顔を見つめる

《何があっても守ってやろうな?》

〈はぃ。〉




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