天使が暮らす家

ノベルバユーザー222759

天使が暮らす家

「おいで?ユチョン。」

『じぇじゅしゃ、ぁっこぉ?』

優しく抱き上げると、頼りない小さな身体がぎゅっと抱きつく

指しゃぶりを止めれないのは、不安の現れか

半年前に、乳児院からこの施設にやって来た

家庭的な雰囲気の中で過ごして欲しいという理事長の願いから、小規模な支援が行われ

この家には、子どもはまだユチョンを含めて二人だけ

最大でも5人の子どもを、職員が2人住み込みで世話をする

「ユチョナ、おはよう?」  

ソファーでお昼寝をしていた彼が目を醒ます

手を伸ばし抱っこを求める彼

優しく抱き上げると、小さく名前を呼ぶ

『じょんひょ。』

「元気かなぁ?コンコンないかなぁ?」

3歳の誕生日を迎えたばかり

『けほけほっ、こほっ。』

小さく咳き込み、苦しげに呼吸をする小さな身体

優しく背中を擦りながら

「コンコン出て来たね?モクモクさんしようか?」

『んっ。』

ソファーで寝ていたもう一人の天使が目を醒ました

【ふぇっ。】

「ジュンス、おはよう。ユチョナがコンコン苦しいから、傍に居てくれるかなぁ?」
 
【あぃ。】

左耳が聞こえないジュンスは、言葉がハッキリしないことも、しばしば

彼と話をする時は必ず右側から話をする

少しだけ発達も遅れているけど

ニコニコ笑う愛らしい天使

【ゆちょ。くぅし?コンコン、なぃなぃー。】  

『じゅんしゅ。けほけほ、こほっ。』

生まれつき呼吸器が弱く、重い喘息を患い、敏感な体質で様々な物に反応する彼は、俗に言う育て難い子だから

養親も、里親も見つからず

「我慢しなくて良いんだよ?」

『じぇじゅ、じゅっと。いっちょ?コンコンしても、おこ、ない?』

「怒らないよ。大丈夫だからね?チャンミンに会いに行こうか?」

ずっとお世話になっている大学病院の小児科医であるチャンミン

ユチョンのことを、とても可愛がってくれていて

『っくん、やぁらっ。』

「くふふ、そうだな。」

注射が嫌いでグズりだした彼

病院に行くのは、検査の為だったり、治療の為だったりするから

注射や点滴を避けることは難しい

【ゆちょ、まってぅね?】

『じゅんしゅ、ひつじしゃ、かしてっ?』

昨年のクリスマスに二人にそれぞれプレゼントしたぬいぐるみ

二人のお気に入りで、どこに行くにも一緒で

【ん。ゆちょ、うしゃしゃ。】

ユチョンは抱きしめていたウサギを手渡すと、代わりに羊を抱きしめた

『じぇじゅ、く。』

寒くないようにブランケットを被せ、病院までの道程をゆっくり歩く 

「今日はユチョナの好きな物を作ろうね?何食べたいかなぁ?」
 
『桃!』

桃缶がお気に入りで
 
食に興味がなく、食が細い彼

調子が悪いと食べ物を受け付けないことも、しばしばだが

桃缶だけは、小さく切って口に運べば受け入れた
 
連絡を入れておいたこともあり、病院に着くと個室に通された  

免疫力も弱いから、病気を貰いやすい

小児科には、様々な病気の子が来る

(ユチョン君、コンコン苦しいわね。)

顔馴染みの看護師さんが優しく声を掛けてくれる

(くふふ。大丈夫よ?ジェジュンさんに抱っこしてて貰いましょうね。指パッチンさせてね?)

『たくなぃ?』

(痛くないわよ?ユチョン君、今日はどのシールにしましょうか?)

『ましゅく?』

(頑張れるかな?)

小さく頷いたユチョン

酸素マスクが付けられ、シール帳には新たなシールが追加される

沢山のシールが貼られたノート

嫌いな治療や、お薬を飲むときなどに貼るようになったシール

沢山のシールが用意され、その中から1つを選ぶことを楽しみにしているユチョン

ユチョンが頑張った証

『じぇじゅ?』

ノックの音と共に優しい笑顔で、部屋に入って来たのは

〈ソナさん、問診票を。〉

(はぃ。)

〈spo2が88ですか。ユチョナ?背中の音を聴かせて下さい。〉

『たぃ?』

〈痛いことをする時は教えてあげますよ?大丈夫です。〉

『ん。』

〈ユチョナ、点滴が必要ですね。チックン頑張りましょうね?痛いことをします。〉

『っ。じぇじゅ、ぎゅ?』 

「大丈夫。ギューしてるよ?チャンミン先生、お願いします。」

〈3つ我慢ですよー?いーち、にー、さーん。〉

『ふぇっ。たぃぃーー!』

〈よく頑張りましたね?終わりましたよ。ジェジュンさん、気になることがありましたら、ボタンを押して下さいね?また、見に来ます。〉

『ちゃぁ、あーとぉ?』 

〈よく頑張りましたね。〉

モニターをもう一度確認してから、チャンミンは診察室に戻って行った

(ユチョン君、よく頑張ったわね。隣の部屋に居ますので、何かありましたら声を掛けて下さいね。少し休んで下さい。)

「ありがとうございます。ユチョナ、よく頑張ったな?ギューしてるから、少し目を閉じようね?」

『ん。』

発作や点滴の処置で疲れたのか、元々体力の無いユチョンはすぐに眠りに落ちていった 

小さな手は、ぎゅっとジェジュンの服を掴んでいた

「不安だよなぁ?大丈夫、独りにしないから。」

夢心地のユチョンが、少しだけ笑った様な気がした

『じゅんしゅ。』

「二人で遊んでんのかな?」

点滴が終わる頃にも目を醒まさなかったユチョン

〈ジェジュンさん、隔週でユチョンを連れて来て頂けませんか?ずっと苦しい状態が続いていると思います。元々、細くて弱い気管支が更に細くなってますから。〉

「分かりました。園長にも相談してみます。」

小さな身体で、苦しさと闘う彼 

傍に居て、背中を擦ったり、抱きしめたりすることしか出来ないけど

それでも、傍に居て欲しいと彼が言ってくれるから

「ユチョナ、一緒にこれからも頑張ろうな?」

『ん。じぇじゅ、ぁぃしゅきー!』

「俺も大好きだよ。愛してるよ、ユチョナ。」

それから、暫くたったある日

ユチョンを引き取りたいと、チャンミンさんとパートナーのユノさんがやって来た



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