褐色男子、色白女子。

もずく。

白崎さんと二度目の寄り道。

カップケーキをもらったその日の夕方、また私はレオンくんに寄り道へと誘われていた。
「小糸、今日も寄り道しよう。」
「う、うん。あの、今日はどこ行くの?」
「今日は二駅先の…名前が分かんねえ、パンケーキある店だ。」
「あ、分かった!あそこだ!」
私がまた過剰に反応するとレオンくんは嬉しそうに笑った。
「やっぱりそこにして正解だな。嬉しそうな小糸が見れて俺も嬉しい。行こう。」
教室から出るとすぐにさくちゃんと鉢合わせた。
「…どこ行くの?」
「パンケーキ屋さん!」
私はもうパンケーキが楽しみでワクワクしながら答えるとレオンくんに一瞬視線をやったさくちゃんはすぐに笑顔になった。
「そっか、楽しんで来てね!私は今から部活。」
バイバイと言ってテニスラケットを手に取ったさくちゃんは一度も振り返らずに歩いて行ってしまった。最近、さくちゃんの様子がおかしい。
「行こう、小糸。」
「うん。」
今はまだ聞くべきではない気がして踏み込めてないのも事実なんだけど。

「ふああああ…!」
パンケーキ屋さんについた私はすぐに目を輝かせた。沢山のパンケーキ、選べない。
「悩んでるのか、小糸。」
「うん、このストロベリーパンケーキとハニーレモンパンケーキで…」
私がメニューを見せながらそう言うとレオンくんはにっと笑った。初めて見る、年相応の笑顔だった。
「じゃあ決まりだな。」
「えっ」
すぐに店員さんを呼ぶと私が悩んでたパンケーキを両方注文してしまった。
「レ、レオンくんは…」
「両方食いたいなら半分ずつ食えばいいだろ。」
「ありがとう…!」
思わず感激してしまった。レオンくんはやっぱり優しい。戸賀くんは女の子に優しくないって言ってたけど私は優しいと思う。
「お待たせしました〜。」
「!!!」
運ばれて来たパンケーキに私はカメラをむけた。
「流行りのやつか。」
きっとレオンくんが言ってるのは女の子たちが写真をアップしまくる例のアプリなんだろうけど、私は首を横にふった。
「さくちゃんに送ってあげるの!」
「そうか、お前ら仲良いな。」
「えへへ、一年生の時から仲良しなんだ!」
そう、さくちゃんは紛れもなく私の一番の友達だ。誰にも追い抜かすことなんてできない、大事な友達。パンケーキにナイフを入れるとジワリと蜂蜜がとろけてでてくる。
「ん〜〜!」
なんて美味しいんだ。レオンくんがストロベリーパンケーキを半分にして、お皿に分けてくれる。
「ありがとう、こっちも、はい!」
私も同じようにお皿にのせてハニーレモンパンケーキを渡した。
「おお、ありがとな。」
レオンくんも二つのパンケーキを交互に頬張った。
「俺はこっちが好きだ。」
そう言ってハニーレモンパンケーキをもう一口食べる。
「私も!ストロベリーパンケーキも美味しいんだけど、ハニーレモンの味がたまらなく美味しい!」
「そうだな。…ははっ、悪い、前も思ったけど小糸って甘いものに目がないよな。」
「そ、そんなこと…ある…かも。」
「そういうところ可愛いと思う。」
無意識なのか口説いてきたレオンくんをじとっと見つめるとすぐに笑って、謝った。
「悪い、事実だ。」
全く反省なんてしてないようで。

可愛いって口走ったレオンくんが内心緊張していたなんて私はずっと知らないまま。


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