Bouquet of flowers to Messiah
The knight who protects an idle doll
「...衛...行かないで下さい...あんな男のところに...」
「...ごめん、ちょっとだけ呼ばれたから…何も無い、大丈夫。すぐに戻るから。だから待ってて?」
昴の所から戻ってきて数日後、俺だけ一嶋に呼ばれた。伊織は行かないでと言ったけど、どうせ下らないことで呼んだと知っている。
泣きそうになる伊織をベッドに座らせて俺の上着を着せて出ていく。
係長室に入ると思った通りだった。
「...何の用」
「お呼び立てしてすみません。草薙君の様子は如何ですか?」
「...大丈夫。ただ、ここに行く時に行くなと止められた。あんな男のところに行くなって。...それを聞くだけなら呼ばなくてもいい」
「嫌われ者になりましたねぇ、私も」
「...嫌われるのが目的だろうに今更何を...。伊織を長く1人にしておきたくない、戻る」
そう言って係長室を出る。戻る途中、ふと思い立って厨房に立ち寄る。海斗達が1度ハーブティーをいれてくれたことがあった。伊織の分だけでもいれていこうと思った。
最近寝ることを怖がらなくなったものの、まだ怖さは抜けていないみたいだった。そしてベッドにはなんか知らないけどチャーチの皆がくれたクッションが山積みになっている。くれた、と言えば聞こえはいい。正確には「押し付けられた」。
最近はそれでやっと寝れるようになった。
ハーブティーを淹れて部屋に戻る。ドアの前に立つと伊織とは違う人の気配がして、警戒した。そっとドアを開けて入ると、そこにはクッションに埋もれて寝ている伊織の傍に座って頬に手を当てる百瀬さんがいた。
「...百瀬さん」
一嶋からの命令で定期的に伊織の様子を見に来る。起きている時もあれば、こうして寝ている時もある。多いのは寝ている時だ。
でも、百瀬さんは優しい。命令がなくてもきっとこうして心配して来てくれていたかもしれない。
「ごめんなさいね、いつもの様子見にお邪魔してるわ」
「...大丈夫」
百瀬さんが伊織の傍から退いたのと同時にマグを置いて伊織の傍に座る。
相変わらず冷たい。体温が低いのはクローンだから、と、昴が言っていた。
でもさすがにこのままではいけない。少し揺すって伊織を起こす。
「...伊織、ちゃんと横になろう」
そう声をかけると伊織が目を覚ました。
「...ん...衛...?」
まだ眠そうな伊織をちゃんと横にして寝せる。
こんな形になったけど、裂いても裂けない絆ができていると思っている。
卒業で離れるというのはまだ実感が湧かない。
でも、離れなくてもいいんじゃないか。
そう思う時がある。
それぞれのメサイアにいろんな形がある。
俺達は俺達の形を作ろう。
「...俺達なら、大丈夫」
不思議とそんな気がしていた。
「...ごめん、ちょっとだけ呼ばれたから…何も無い、大丈夫。すぐに戻るから。だから待ってて?」
昴の所から戻ってきて数日後、俺だけ一嶋に呼ばれた。伊織は行かないでと言ったけど、どうせ下らないことで呼んだと知っている。
泣きそうになる伊織をベッドに座らせて俺の上着を着せて出ていく。
係長室に入ると思った通りだった。
「...何の用」
「お呼び立てしてすみません。草薙君の様子は如何ですか?」
「...大丈夫。ただ、ここに行く時に行くなと止められた。あんな男のところに行くなって。...それを聞くだけなら呼ばなくてもいい」
「嫌われ者になりましたねぇ、私も」
「...嫌われるのが目的だろうに今更何を...。伊織を長く1人にしておきたくない、戻る」
そう言って係長室を出る。戻る途中、ふと思い立って厨房に立ち寄る。海斗達が1度ハーブティーをいれてくれたことがあった。伊織の分だけでもいれていこうと思った。
最近寝ることを怖がらなくなったものの、まだ怖さは抜けていないみたいだった。そしてベッドにはなんか知らないけどチャーチの皆がくれたクッションが山積みになっている。くれた、と言えば聞こえはいい。正確には「押し付けられた」。
最近はそれでやっと寝れるようになった。
ハーブティーを淹れて部屋に戻る。ドアの前に立つと伊織とは違う人の気配がして、警戒した。そっとドアを開けて入ると、そこにはクッションに埋もれて寝ている伊織の傍に座って頬に手を当てる百瀬さんがいた。
「...百瀬さん」
一嶋からの命令で定期的に伊織の様子を見に来る。起きている時もあれば、こうして寝ている時もある。多いのは寝ている時だ。
でも、百瀬さんは優しい。命令がなくてもきっとこうして心配して来てくれていたかもしれない。
「ごめんなさいね、いつもの様子見にお邪魔してるわ」
「...大丈夫」
百瀬さんが伊織の傍から退いたのと同時にマグを置いて伊織の傍に座る。
相変わらず冷たい。体温が低いのはクローンだから、と、昴が言っていた。
でもさすがにこのままではいけない。少し揺すって伊織を起こす。
「...伊織、ちゃんと横になろう」
そう声をかけると伊織が目を覚ました。
「...ん...衛...?」
まだ眠そうな伊織をちゃんと横にして寝せる。
こんな形になったけど、裂いても裂けない絆ができていると思っている。
卒業で離れるというのはまだ実感が湧かない。
でも、離れなくてもいいんじゃないか。
そう思う時がある。
それぞれのメサイアにいろんな形がある。
俺達は俺達の形を作ろう。
「...俺達なら、大丈夫」
不思議とそんな気がしていた。
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