Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

Also someday with you

ーこんな…俺の…メサイアに…なってくれて…
ずっと…愛してた…

俺自身の最期の素直な言葉を告げたあの日から早1年。

命日だという今日、俺達が好きだった花を持って一嶋上官が報告しに来てくれる。

「平和だってよ、良かったね」

隣で頬杖を付きながら下を見下ろす大切な人の顔にかかる長い髪を耳に掛けてやりながら、微笑む。

「平和じゃなかったらどうするんだ、俺達の散った意味がないだろ」
「それ関係ある?絶対ないよね」
「お前なぁ…」

この野郎、と言いながら頭を荒く撫でてやる。

「ちょっと、何すんのさ!」
「お前がいらん事言うからだろうが!」
「事実言った迄でしょ!?それだけでこの仕打ちって酷くない!?」
「酷くない!普通だ!」
「そんな訳ないでしょー!?」

こんな事も、日常茶飯事だ。
俺達の相変わらずの距離感に、まだ生きているんじゃないかと錯覚を起こす。

「ほんと、俺達って死んでも変わらないね」
「全くだ、今更変わらなくてもいいけどな」
「そーゆーのさらっと言えるって凄いよね、ある意味尊敬するよ」
「は?」

なんでもなーい、と言うと、また下を見下ろす。

「あ、加々美さん」
「先輩?」

加々美先輩の愚痴と報告を聞いて、俺達は苦笑した。

「…加々美さんに悪い事したね」
「…そうだな」

ここに来て知った話だが、加々美先輩はどうやら今回の事を知らされていなかったらしく、急遽応援に駆けつけていたのだという。そこで一嶋上官からの命令で、俺達を探しに来てくれて、息絶えたのを見つけてくれた。いつもなら、任務に行く時は加々美先輩に行ってきます、と言っていたし、さよならは言わないつもりだった。
先輩が立ち上がって歩き始めると、どうやら同じ事を考えていたらしかった鯰尾と一緒に、軽く加々美先輩の背中を押した。最初は驚いていたが、「ありがとう」という言葉が聞こえ、2人で見つめあって笑い合った。

「…ねぇ、長谷部」
「…なぁ、鯰尾」

2人で口を開いた。

「え、なに、先に言ってよ」
「お前が先に言えよ」

ほんと、生きてる頃と変わんないねぇ、と鯰尾は呆れながらに言うも、口を開いた。

「あのさぁ…」
「…たぶん同じ事考えてるぞ」

えー、なにそれ、と笑う。

どうかこの先、俺達のように散りゆく命が無くなりますように、武器を持たず、手を血に染めず、愛する人を守れる世界になりますように。
…どうか、来世ではあんな経験をしなくて済みますように、そして、願わくばまた君のメサイアとなれますように。

君のメサイアで居られて良かった。
また、いつかどこかで。

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